平成ライダー三ヶ月半で全部見た ジオウ編

 こんにちは、マグロダです。
 
 「平成ライダー三ヶ月半で全部見た」とは、平成ライダーを二ヶ月で全部見ようとルーレットを回して作品を決めていたら、結局は全部見るのに三ヶ月半かかっちゃったチャレンジのことです。本記事では、視聴した作品を一作ずつ振り返っていきます。

 記念すべき20回目の視聴作品は「仮面ライダージオウ」。『ジオウ』は2018~2019年にかけて放送されたライダーで、平成ライダーのナンバリングでいう20作目に位置づけられます。この次は令和の「ゼロワン」なので、最後の平成ライダーになります。

 10周年記念作品の「ディケイド」同様、「ジオウ」も過去の平成ライダーたちがたくさん出てくるスペシャルな作品。それでいて新しく登場する人物たちは単なる歴代ライダーの引き立て役ではなく、しっかり「ジオウ」の中心として物語をけん引していくパワフルなキャラクター達なのです。


■目次
・どんな作品?
・登場人物ピックアップ
・注目ポイント
・個人的名シーン
・視聴のススメ


◆どんな作品?

 仮面ライダージオウは、一人の王様を目指す少年の物語です。主人公である常磐ソウゴ(ときわ ソウゴ)は、一見普通の高校生。しかし大真面目に王様になるという目標を掲げており、進路希望にも王様と書きます。大学にも行くつもりはありません。なぜならこれから王様になるからです。

 そんなソウゴ君が暮らしている2018年に、未来からの訪問者が現れます。彼らの名は明光院ゲイツ(みょうこういん ゲイツ)とツクヨミ。彼らは、50年後の未来で最低最悪の魔王「オーマジオウ」となってしまったソウゴくんを抹殺するために過去へやってきたのです。ゲイツくんとツクヨミさんはオーマジオウに対抗する、未来世界でのレジスタンスなのでした。

 ゲイツくんに追い詰められるソウゴくん。しかしソウゴくんに仮面ライダージオウとなる力を授ける人物がいました。彼の名はウォズ。未来でオーマジオウとなったソウゴくんの家臣です。彼はレジスタンスとは逆に、ソウゴくんがちゃんと王になれるように援護しに来ているのです。

 一方で、レジスタンスやウォズとは別に未来からやってきた集団がいます。その組織の名前は「タイムジャッカー」。ソウゴくんとは別の仮面ライダーを新しい王として仕立て上げ、それを意のままに操って未来の支配者になろうとしているのです。タイムジャッカーの活動は、「アナザーライダー」という怪人を生み出すこと。「ジオウ」より以前、すなわち「クウガ」から「ビルド」までの平成ライダーの力を他人に与え、利用しているのです。

 アナザーライダーは非常に面倒な存在です。彼らが生まれるとひとつの歴史に二つの同じライダーが存在することになり歴史に矛盾が発生。これを解消するために、同名のライダーは仮面ライダーだった歴史を失ってしまいます。例えばアナザービルドが出てくると、ビルドだった戦兎くんは仮面ライダーにならなかった人生を歩んだことに改変されてしまうのです。それなのにアナザーライダーたちは、同じ名前のライダーの力じゃないと基本的に倒せないという特性を持ちます。実質的に不死身なのです。

 この状況を打破するには、ソウゴくんがタイムスリップして過去のライダーたちと出会い、彼らの力をひとつひとつ継承していくしかありません。そうすることでジオウは別のライダーの力を上乗せして叩けるようになるのです。

 こうしてアナザーライダーを倒すため、ソウゴくんはゲイツくんやツクヨミさんとなし崩し的に協力していくことになります。しかし本質的には、レジスタンス、ウォズ、タイムジャッカー、そしてソウゴくんという複数の立場にいる人々が、それぞれの未来のために戦うという状況にあります。ソウゴくんが目指すのは、最低最悪ではなく最高最善の魔王。果たしてソウゴくんは、自信の思い描く王様になることができるのでしょうか?

◆登場人物ピックアップ

・常磐 ソウゴ(ときわ ソウゴ):仮面ライダージオウに変身する。将来は王様になるという発言を臆面もなくするためか、友達が全くいない。穏やかポジティブな人物。王様になりたい理由は、本人曰く「世界中の人を幸せにするには、王様にでもならないとしょうがないから」。過去に事故で両親を亡くしており、親戚と二人で暮らしていた。

・明光院 ゲイツ(みょうこういん ゲイツ):仮面ライダーゲイツに変身する。未来ではレジスタンスとして戦っており、世界を荒廃させた最低最悪の魔王、オーマジオウを激しく憎んでいる。しかし現代でソウゴと友情を深めていくにつれ、彼を倒すべきか信じるべきかで葛藤することになる。まじめな堅物で、古典的なツンデレである。

・ツクヨミ:ゲイツとともに未来からやってきたレジスタンス。最初は過激な行動をとるゲイツをいさめることが多かった。しかし話が進むにつれ、どんどん力を増してオーマジオウに近づいてるソウゴに警戒の念を向けざるを得なくなっていく。肝っ玉母ちゃんみたいな迫力がある。

・ウォズ:未来からやってきたソウゴの家臣。「逢魔降臨暦」という預言書を常に持ち歩いている。ソウゴのことが大好きで、彼が何かするたびに「祝え!」と芝居がかった大声でお祝いしだす。生身でも瞬間移動したりマフラーを操って攻撃したりと、仮面ライダーに変身したゲイツをラクラク倒せる程度には強い。中盤で二人に増える。

・スウォルツ:タイムジャッカーの中心人物。時を止める能力があり、その力を他のタイムジャッカーにも分け与えている。傲慢な性格で人を人とも思わず、それはアナザーライダーたちはもちろんタイムジャッカーの仲間に対しても変わらない。オーマジオウではない別の王を擁立するのとは別に、なにか目的を隠している。

◆注目ポイント

・続々登場レジェンドライダー

 ジオウもディケイドのように、過去のライダーの力を扱うことができるライダーです。ただし全く同じ姿になるのではなく、「〇〇アーマー」といった感じで追加装甲を装備し力を上乗せしています。また、ディケイドの士くんは別世界へ移動していましたが、ソウゴくんたちにはゲイツくんやツクヨミさんが乗ってきた「タイムマジーン」という人型ロボに変形するタイムマシンがあります。これで過去にタイムスリップして、これまでのライダーと共闘していくわけです。いろいろと差別化が図られているんですね。

 そして過去に戻った際に出てくる歴代ライダーが、それはもう豪華なんです。『アギト』の翔一くんに『龍騎』の木戸君と編集長、『555』からはたっくんや草加さん、『剣』は剣崎くんに始さんなど、かつての主役たちがずらり。最近の作品からも『ゴースト』のタケル殿にマコト兄ちゃん、『エグゼイド』の永夢くん飛彩さん(あと檀黎斗)、『ビルド』の戦兎くんに万丈くん。これまでのライダーが大集合です。

 もちろん呼べなかった俳優さんもたくさんいるわけですが、それでもこうやって昔のライダーをできるだけたくさん再登場させようと試みてくれるのはすごく嬉しいです。しかも、ちゃんと変身してくれるんですよね。これがもう当時そのままで最高なわけです。平成ライダー全部見てから視聴してよかった~! と思った瞬間でした。

 あと、『ディケイド』の主役にして時空移動能力を持つ士さんは歴代ライダーの中でもかなり特別で、『ジオウ』に20話近くも登場します。しかもソウゴくんたちがディケイドのいる時間にタイムスリップするんじゃなくて、士くん側から「仮面ライダージオウの世界」にやってくるんですよ。「世界の破壊者」であるディケイドを、タイムジャッカーたちがソウゴくんに対抗するために導いた形です。

 いや、士さんがタイムジャッカーの言うことなんか聞くわけないじゃん……! 視聴していた私の懸念通りに、士さんは完全にやりたい放題し始めます。ジオウとは戦闘になるものの本気で倒す気はないし、なんなら強化アイテムまで渡しちゃいます。その上タイムジャッカー相手に「そんな機械(タイムマジーンのこと)を使わないと過去の世界にも行けないのか?」とマウントを取り出す始末。自分は好き勝手に時空間移動できるからってメチャクチャ言ってるよこの人!

 最終的にはジオウとアナザーライダーの戦闘中に士さんが「どっちに加勢すればいい?」とタイムジャッカーの一員に聞いても、「好きにすれば?」と言われてしまうほど。どうせ何を言っても聞きやしないという諦めが感じられます。流石のふてぶてしさ。10作目記念ライダーの貫録を存分に見せつけてくれたのでした。

・ソウゴくんの王の器

 主人公であるソウゴくんは王様になることを自称する少年です。まるで幼児の夢物語のようですが、彼は本気です。そしてソウゴくんの王様への道は、未来からやってきたゲイツ君たちの情報と、ウォズに献上された仮面ライダーへの変身アイテムにより現実のものとなっていきます。そしてその中で、ソウゴくんの王としての器が明らかになっていくのです。

 まず、ソウゴくんってなんだかんだ強いんですよね。生身では流石に頼りないものの、いきなりジオウに変身しても普通に戦うこと自体はできています。しかも10話くらい経っただけで、相手の蹴りをスレスレで回避しつつ変身ベルトにかすらせて変身を起動する、みたいな高等技術まで披露するように。成長が速いんですよね。

 加えて頭もいいです。高校の成績は物理や数学がよろしくないのですが、アナザーライダーを何とかするために諸問題へ関わっているときの閃きや推理力には目を見張るものがあります。また、作戦を思いついたときやなにか行動を起こすときの周囲を巻き込んでいく力が強く、いつの間にかリーダーシップを発揮していることが多いです。これがいずれ王になるものの才覚……。

 それになにより、ソウゴくんはメチャクチャ優しいんですよね。王様になりたい理由を、彼は作中で「世界を全部よくしたい、みんな幸せでいてほしい。そう思ったら、王様にでもなるしかないじゃないか!」と語っています。ソウゴくんの王の器はジオウとしての強さや優秀さよりも精神的な部分が大きいのではないのでしょうか。両親を亡くした彼を必死に育ててくれた、大叔父の影響も強いんだと思います。

◆個人的名シーン

 私が好きなのは13、14話のあたりですね。ゴースト編であり、『ディケイド』から士さんが勝手にやってくる回でもあります。

 この回ではソウゴくんが幽霊になっちゃうんですけど、タケル殿だけはそれが見えるんですよね。なんなら霊視だけじゃなくて念力とかも使います。これは多分、彼にある霊能の才は仮面ライダーがどうとかに左右されないってことなんだと思います。元からお父さんがゴーストハンターだもんな……。そんなわけで、タケル殿だけはアナザーライダーのせいでライダーだった歴史を失おうが通常運転で事件解決に乗り出せるんです。流石俺たちのタケル殿!

 あと、途中で仮面ライダーとしての記憶を取り戻してからの動きもいいんですよね。ゴーストの変身ベルトは本人が望むと具現化するシステムなので、記憶さえ取り戻せば何も下準備しなくてもその場ですぐ変身できるんですよ。この強みが存分に生かされていて、タケル殿の大活躍っぷりに私はたいそう喜んでいました。

 それにタケル殿とソウゴくんはお互い数少ない高校生ライダー同士なので、彼らが仲良くワイワイ喋っているだけでもうれしくなっちゃいましたね。特によかったのが、実体に戻ったソウゴくんがご飯を食べて「おいしい~!」って喜んでいるところです。霊体だと食事の必要がない、というより食事できませんからね。同じ問題に直面していたタケル殿が、ソウゴくんの発言に「でしょ~!?」ってニコニコで同調しているところがすごくほっこりしていて好きです。

 なお大暴れしている士さんも当然大好きです。わざわざまだソウゴくんが会ってないアギトに変身して「俺はこいつにも変身できるんだぜ~」って見せびらかしてくるのが、士さんだな~って感じで最高でした(私の想像です)。さらに言うと士さんはファンサービス精神が旺盛なお方なので、アナザーゴーストとジオウゴーストアーマーが戦ってるところへわざわざゴーストに変身して乱入してくれます。これも流石という他ありませんでした。

 そうなんですよ。この人、ちゃっかり自分より後に放送されたライダーにも変身できるようにパワーアップしてるんですよね。完全に「仮面ライダーディケイド ジオウ編」の気分で登場してません……?


◆視聴のススメ

 『ジオウ』は歴代のライダーがオリジナルキャストでたくさん出てきたり、昔のライダーがメインの回は当時の作風を踏襲したような内容になっています。そのため「19作品全部見てから挑戦するぞ!」と無理に頑張るよりも、見たくなったら見ちゃって「あのライダーとか俳優さんは良かったな~」と次のライダーを見る動機にしても良いと思います。作品自体も過去のライダーをよく知らなくても楽しめるように作られていますしね。


 以上、今回は仮面ライダージオウについてお話ししました。『ジオウ』で頭がいいな~って思ったのは未来のライダーが出てくる回です。未来ではこういうライダーが放送されましたよって形式で過去の平成ライダーと同じようなゲストとして架空のライダーが登場するんですよ。これが出てきたときはなんて面白いギミックなんだと感動した覚えがあります。

 これにて『平成ライダー三か月半で全部見た』の記事は終了となります。皆様、ご愛読ありがとうございました。近日中に記事をまとめた電子書籍を有料販売し、そちらには特別ゲストの寄稿コラムのほか、特典として『仮面ライダージオウ劇場版 Over Quartzer』の記事を掲載いたします。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。

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