平成ライダー三ヶ月半で全部見た電王(でんおう)編

 こんにちは、マグロダです。
 
 「平成ライダー三ヶ月半で全部見た」とは、平成ライダーを二ヶ月で全部見ようとルーレットを回して作品を決めていたら、結局は全部見るのに三ヶ月半かかっちゃったチャレンジのことです。本記事では、視聴した作品を一作ずつ振り返っていきます。

 視聴の順番は完全ランダム。9回目の視聴作品もルーレットで決めたところ、今回見ることになったのは「仮面ライダー電王(でんおう)」でした。『電王』は2007~2008年にかけて放送されたライダーで、平成ライダーのナンバリングでいう8作目に位置づけられます。

 『電王』の主演は佐藤健さん。佐藤健さん!? また物凄く有名な俳優さんを若いうちに起用していますね……。実際、『電王』には主役のルックスや演技力が極めて高水準じゃないと成立しないようなギミックがあります。そのため主演俳優さんにのちのち有名になるような人物が抜擢されるのも必然と言いますか、むしろ今後有名になれるほど鍛え上げられたと言いますか。

 卵が先か鶏が先かみたいな話ですが、とにかく佐藤健さんというスターを極限まで有効活用したような話です。それだけでなく、沢山の魅力的なキャラクターを軸にした話も盛りだくさん。仮面ライダー全体を見ても非常に人気の高い作品なのです。

■目次
・どんな作品?
・登場人物ピックアップ
・注目ポイント
・個人的名シーン
・視聴のススメ

どんな作品?

 主人公の野上良太郎(のがみ りょうたろう)は、ものすごく不運ながらも心優しい青年。彼が暮らしている2007年に、未来から「イマジン」と呼ばれる実体のない精神生命体がやってきます。『電王』は良太郎くんやイマジンたちの出会いと友情、そして別れの物語です。

 イマジンは一体どんな存在なのでしょうか。彼らは人間に取りつき、その人の願いを叶えようと契約をします。それだけ聞くといい存在のようにも感じられますが、全くそんなことはありません。まず、イマジンは契約者の願いをちゃんと叶える気はサラサラありません。例えば「死ぬほど金が欲しい」と願うと、銀行を襲撃して窒息死するほど札束を持ってきます。細かいニュアンスはまったく汲み取ってくれません。

 それに、イマジンにも願いを叶えようとする理由があります。ひとつは契約成立時の効果で実体化すること。もうひとつは、更に過去へタイムスリップすること。取りついた人間の願いを叶えることで、その人物が願いを持つに至った過去を強く思い出させます。そうすると、過去を思い浮かべた人間がイマジンをその瞬間へとタイムスリップさせる扉として機能するようになってしまうのです。過去に戻ったイマジンは大暴れし街や人を傷つけます。

 そんなイマジンの暴挙を止めるために働いているのが、時の列車「デンライナー」。過去と未来を行き来する電車です。良太郎くんは偶然デンライナーに乗れるパスケースを拾ってしまいます。

 それは必然でもありました。良太郎くんは時間改変の影響を受けない特殊な存在、「特異点」だったのです。そして特異点であることは、イマジンと戦う存在「電王」に変身するための条件でもありました。しかし良太郎くんにはひとつ問題があります。それは、ものすごく弱いことです。彼は電王に変身してもハッキリ言ってへなちょこで、全然イマジンに勝てません。

 そんな良太郎くんにもひとつだけ勝機があります。それは、いつのまにか良太郎くんに取りついていたイマジン「モモタロス」。良太郎くんの勝機は、電王になり、更にモモタロスに肉体のコントロールを明け渡すことでした。じつはモモタロスは過去に戻って破壊活動をする気はありません。強い奴と喧嘩をしたくて2007年に来ているので、むしろ怪人であるイマジンと戦えるのは好都合なのです。

 こうして良太郎くんはモモタロスと一緒に電王として戦っていくことになります。それどころか、もう一人、二人、三人と、どんどん自分に憑依するイマジンが増えてしまい、みんなで戦っていくことになるのです。


登場人物ピックアップ

野上 良太郎(のがみ りょうたろう):ものすごく不幸な青年。1話では自転車に乗ったまま木の上に引っかかるというウルトラ不幸を見せた。時間の影響を受けない特異点であり、電王に変身する。心優しい性格で一見すると弱々しいが、度重なるアンラッキーで身についた心身の頑丈さは並大抵のものではない。チンピラに痛めつけられたり事故にあってもすぐ退院できるし、モモタロスのようなイマジンが相手でも全く自分の意志を曲げずに主張を押し通す。電王としての活動は大変なようで、変身するとすぐ筋肉痛になる。

モモタロス:良太郎に取りつく赤色のイマジン。良太郎の「強いと言ったら桃太郎」というイメージが反映された実体を持つ。電王への変身時は「ソードフォーム」になる。乱暴で喧嘩っ早いが、意外と仲間意識があり周囲を思いやる一面も。良太郎がチンピラに絡まれたときは嬉々として肉体の操作を代わってもらい喧嘩しようとする。キメ台詞は「俺、参上!」。

ウラタロス:良太郎に取りつく青色のイマジン。浦島太郎のイメージが実体に反映されている。電王への変身時は「ロッドフォーム」になる。嘘つきで女好き。良太郎が眠った隙に肉体を乗っ取り、街へと繰り出しては女性をひっかけている。そのため良太郎の肉体は実際のところあまり眠れていないし、良太郎のケータイは知らない女性のアドレスでいっぱい。キメ台詞は「僕に釣られてみる?」。

キンタロス:良太郎に取りつく金色のイマジン。金太郎のイメージが実体に反映されている。電王への変身時は「アックスフォーム」になる。おおらかで一本筋の通った性格。強さに関心を持つ。いいヤツなのだが、そのおおらかさのせいでテキトーな指針で行動し困ってしまうことも。キメ台詞は「俺の強さにお前が泣いた」。

リュウタロス:良太郎に取りつく紫色のイマジン。ドラゴンのイメージが実体に反映されている。電王への変身時は「ガンフォーム」になる。純粋だがワガママで身勝手、というより子供っぽい性格。包容力のある良太郎の姉のことが大好き。ダンスが得意で、なぜか周囲の人間を操りダンスを踊らせるという特殊能力を持つ。大量の人間がダンスしながら移動する様子はほぼホラー。キメ台詞は「お前、倒してもいいよね? 答えは聞いてない!」

桜井 侑斗(さくらい ゆうと):「ゼロライナー」という時の列車に乗る青年。なぜか既に死亡した良太郎の姉の恋人と同姓同名。「ゼロノス」という仮面ライダーに変身する。クールで傲岸不遜な性格だが、自分に取りついているイマジンのデネブに対してだけは極めてワガママな側面を見せる。ゼロノスへの変身には特殊なカードが必要で、カードを消費すると人々から桜井侑斗の記憶が失われていく。全てのカードを使い切ることはゼロノスに変身できなくなることだけでなく、自分を憶えてくれる人が全員いなくなることも意味している。じつはシイタケが苦手。キメ台詞は「最初に言っておく。俺は、かーなーり、強い」。

デネブ:桜井侑斗に取りつく緑色のイマジン。単独でも指先から銃撃するなどの戦闘が可能。ゼロノスに憑依することもでき、その場合は「ベガフォーム」となる。すごく優しくて世話好きな性格で、つっけんどんな侑斗にいつもおせっかいを焼いている。また、優しすぎて敵を二対一で倒そうとした侑斗に対して「卑怯でよくないと思う!」と戦闘を拒否したことも。料理が得意で、よくシイタケ料理を作っては侑斗に怒られている。


注目ポイント

・多数のキャラクターによるコメディ

 『電王』はなんと言っても魅力的なキャラクターたちによるコメディが魅力です。まず、良太郎くんは単体で不幸な目に合っているだけで面白いです。並大抵の不幸ではなく、ギャグみたいな不幸なんですよね。ピタゴラスイッチ式でどんどん酷いことになるので、ちょっと目を離した隙にズタボロになったりしています。目が離せません。

 ここにイマジンとの掛け合いが加わると更にコメディが加速していきます。調子に乗って痛い目にあい、他のイマジンからいじられ、逆に周囲の言動にツッコミをし、と大活躍のモモタロスに、唯一の知性派なのに全然場を収めずむしろ面白がって茶々を入れるウラタロス、モモタロス以上に脳筋の発現をして都合が悪くなったら寝たふりでごまかし切ろうとするキンタロス、無自覚に辛らつな発言をズバズバ言うリュウタロスと、テンポよく会話が展開されていきます。

 そんな彼らは、良太郎くんの体を乗っ取って現実世界で活動したりもします。気弱な良太郎くんが全然違う性格で事情を知らない知人と出会ってしまう様子も面白いです。

 なお、特定のイマジンが乗り移ると良太郎くんの容姿も変化するため、佐藤健さんは基本的にいつも5種類の恰好で5種類の性格の演技をしてるということになります。声もイマジンの声優さんのアテレコです。当然どんな格好をしても佐藤健さんはカッコいいし、声が自分のものでなくても違和感のない身動きでキャラの違いを表現できます。すごすぎる。

 佐藤健さんのお力をフル活用することで『電王』の面白さは生まれているんですね。なお、もちろんスーツアクターさんも各キャラの性格によって動きが全然違います。このお二人の撮影、どれほど大変だったんだろうか……。


個人的名シーン

 名シーンっていうと語弊があるかもしれないんですけど、7話の展開がものすごくインパクトに残っています。

 7話は良太郎くんに協力する二人目のイマジン、ウラタロスと親睦が深まる回の前編です。彼は良太郎くんの体を使って夜な夜な女遊びに繰り出しており、ついには男性との恋愛トラブルを抱えている女性を口説いてしまいました。

 この口説いた女性のトラブル相手の男性、大林友也という人物がもう滅茶苦茶なんですよ。彼はウラタロスの入った良太郎くんに口説かれた女性の元夫で、まだまだ元妻に未練たらたらなんです。しかも、怒りを抑えられない性格で何をしでかすか分からない。そんな彼が元妻にちょっかいをかけた良太郎くんを見かけ、大激怒しながらやって来るのです。

 大林はいったいどんなことをしたのか。まず良太郎くんの姉がやっているカフェに自電車に乗ったまま突っ込んできます。そして良太郎くんに殴り掛かります。ここまではまだなんとか怒っている人の行動として理解できますよね。この男はここからがヤバい。

 なんと、いきなりノコギリを取り出してカフェの柱を切断しようとしたのです。何故なら大工だからです。

 そんなことある!? 大工だからって私生活でもノコギリをふところに忍ばせていて怒りのあまり反射的に他人の建物の柱を切断しちゃおうとすること、ある!?

 それだけではありません。極めつけに、大林は腹には爆弾を巻いていていつでも起爆できるようにしているのです。

 なんだこいつ!? 爆弾に関しては大工だろうとそうそう持ち歩けないだろ! 仮に持ち歩けても腹に巻かないだろ!! どれだけの覚悟を持ってこの場に臨んでいるんだよ!?

 このように、『電王』のことをイマジンと良太郎くんがワイワイやってる笑いあり涙ありの大人気作品だと思っていた私は強烈なパンチを喰らってしまったわけです。イマジンが人間とは常識が違ったりすることでギャグになったり友情の芽生えに感動するのかと思いきや、それだけでなく人間側も激烈に濃い!! 『電王』の面白さはイマジンだけではなかったのです。油断していました……。

視聴のススメ

 『電王』、正直に言うと私は17話からが本番だと思ってたタイプなんですよね。なぜかと言うと『電王』は仲間になるイマジンとの出会いを前後編で2話、そのイマジンと親睦を深める前後編を2話、と1体のイマジンにじっくり4話かけてフォーカスを当てるんですね。つまりフルメンバーが万全の状態で揃うまで16話もかけているわけです。

 そのため『電王』のイマジン同士の掛け合いのようなものを楽しみたい方は17話くらいから更に面白く見れるのではないでしょうか。その頃になるとストーリーも進展を始めますからね。1~16話のギャグはインパクトがすごいので、自分のペースで用法容量を守って視聴してください。


 以上、今回は仮面ライダー電王についてお話ししました。私は侑斗とデネブの反抗期の男子と世話焼きママみたいな関係性や変身するたびに自分の記憶を誰かが失ってしまうというゼロノスの設定も大好きです。良太郎くんだけでなく侑斗君にも注目してあげてください。侑斗をよろしくお願いします。

 次回は仮面ライダー響鬼についてお話しします。お楽しみに!

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