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わにわに新聞Vol3のメイン記事はなんと「美少年狩り」なんです。

 自分でもまったく記憶にないので、こうして毎回「わにわに新聞」を発掘して、読んでみると新しい発見がある。
Vol.3号は平成元年の5月8日発行だ。もっともVol.3というのはどこにも記されておらず、「平成元年5月8日号」となっている。サイズはA4の裏表。まずは表面から見てちょ。

わにわに新聞 平成元年5月8日号

 今回はよりこさんが手伝ってくださっているようだ。よりこさんは、創刊号でも紹介されていた伝言ダイヤルの1039(倒錯)ダイヤルのメンバーでもある。ファンキー・タルホさん同様に雑誌や広告のデザイナーをやっている人だった。

美少年特集の最初の記事は「美少年狩り」


表面の上段の記事は「美少年狩り」。「まゆみの」と見出しにはあるので、まゆみさんが書いたのだろう。顔写真が掲載されているが、これがまゆみさんなのか。まゆみさんについてはまったく記憶にない。前号で宮さんが「マユミ」さんについて解説している文章があって、そこにも美少年好きだとあった。

まゆみさんの生年月日が書かれている。昭和45年2月9日生まれとあるので、当時は19歳。そして、現在もお元気なら53歳ということになる。
 冒頭の原稿を読んでみると、まゆみさん自身がが書いたことがわかる。ちなみに伝言ダイヤル会報誌という流れは続いていて、まゆみさんによれば108ダイヤルに伝言を入れているとある。だから声くらいは聞いたことがあるけれど、本人には会ったことはないような気がする。
 ちなみに前回の解説で尺八ダイヤルを1008と表記していたけれど、まゆみさんも書いているように正しくは108だね。1008だと千ハチだもんね。
 というわけで、具体的な美少年について、まゆみさんの定義などが書かれている。要するに年下のイケメンを求めているようだ。しかし、締めの文章などはなんとも下品である。

稲垣足穂の美少年

 表面の下段は、文章のコラージュだ。当時はなんのことやらよくわからなかったが、最後に小さな文字でイナガキ・タルホ『男性における道徳』と書かれている。たぶん、この本からの抜粋なのだろう。ファンキー・タルホさんこと、わにわに新聞のアートディレクターであるグレコローマン花田さんによる仕事だ。
 1039ダイヤルに最初に登場した彼のメッセージは今でも覚えている。エレキギターの爆音とともに「ファンキー・タルホです」と登場したんだね。この時期は、自分の好きな作家とかの名前をペンネームならぬ伝言ネームにしている人は多く、稲垣足穂が好きなんだといようなことを仰っていた。たった8時間しか残らない伝言ダイヤルのメッセージはなんとも刹那的だが、僕のようにぼんやりとメッセージを覚えていたりする。
 さて、下段の原稿だが、いちばん印象的なのは

「美少年とは『固く絞って水気とアクを抜いた美女』であり、美女とは『水増しして柔らかくほぐした美少年』である

という文章だ。稲垣足穂を僕は読んだことはなかったが、当時は有名な作家だった。『少年愛の美学』などの著作がある。
 リアルな女性からの美少年募集に稲垣足穂といった組み合わせがなんともカオスだけれど、それが当時の伝言ダイヤルを象徴しているように思えた。

裏面には、僕のコラム「マグロの信州紀行」がスタートしています。
裏面については申し訳ないが、有料となります。

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