上野の若いサラリーマンは朝も昼も弁当を買う

この記事はコロナ前の2019年8月に執筆したものです。

 サラリーマンやOLにとって「弁当」はどんなものだろうか。家から持ってくるものもあれば、会社が業者と提携し、ランチ時に配達をしてくれるものだったりする。また、近所のコンビニやお弁当屋さんで買うものもあるだろう。今回の原稿は、オフィスの近くで買うお弁当の話だ。
 新宿から上野に引っ越したのが、2014年6月のこと。朝、家の周辺を散歩をしていると若いサラリーマンが同じような包装紙の入った袋を持ち歩いているのを何度か見た。あれは、なんなのだろうかと思っていたのだが、しばらくするとその答えがわかった。

 包装紙は「紅や」という弁当屋のものだった。ネットで情報を検索するとこちらのお弁当屋さんは朝の7時から営業しているようだ。若いサラリーマンたちは朝ごはん用にこちらの弁当を買っていたのだろう。
 お弁当屋さんの場所は、昭和通り沿い、上野駅から入谷駅方向へ向かったところだ。実は以前から上野界隈を散歩していたときに、「紅や」さんの独特のたたずまいが印象に残っていて、その外観をカメラにおさめていた。もともといろいろな場所でお弁当を買い、公園などでいただくというようなこともしていたので、各地のお弁当屋さんは割と知っているのだが、この店舗ファッサードはなんともいえず、ぜひお弁当を買おうと思っていたのだ。

上野の人気のお弁当やさん「紅や」

というわけで、うかがったのは、引っ越して1か月ほどたった日の午前11時過ぎ。自分で弁当を買いに行ってみると、外観だけではなく、システムそのものが独特だった。店先にはズラリとおかずが並んでいるのだが、初めて見るような弁当のメニューばかりだ。

 どれもけっこうボリューミー。そして、安い。500円(税込)が中心だ。好きな弁当をお願いすると、店の女性が手際よくご飯といっしょに包装紙に包んでくれる。ご主人、奥様、娘さんという家族経営のようだ。


 

お弁当は包装紙に包まれている。他のお弁当屋さんとはまったく違った方法で提供される。

 

「シューマイ いか天」500円。ご飯の上には海苔が敷かれ、梅干しがひとつ。
イカ天が思った以上に大きく、やわらかいのに感動。
とにかくどのお弁当もコスパがいい。
 
「三色」500円(税込)。メンチ、唐あげ、ハンバーグといった3種類のおかずが入っている。明太子がちょっとついているのもうれしい。

その後も何度も「紅や」さんへうかがい、いろいろなお弁当をいただいた。早い時間帯は、けっこう高齢のお客さんもいる。12時になるとサラリーマンのお客であふれ、13時過ぎになると、弁当の数も減り、僕のような自由業系の人たちがやってくる。13時半には売り切れていることが多い。


ご飯とおかずは別になっています。

 
筆者は自分の家で食べるため、「割り箸はいりません」と断っていた。しかし、箸袋があまりに可愛いので、今回はもらってみた。
 
オリジナルの箸袋があって、そのイラストもなかなか味がある。たぶん、ご主人の似顔絵だろう。そっくりだ。


上野に住むうちに「紅や」さんだけではなく、この界隈には個性的なお弁当屋さんがあるということはわかってきた。

上野と浅草を結ぶ「かっぱ橋本通り」というのがあるが、ここにはユニークな個人営業のお弁当屋さんが多数ある。仕出し屋さんがやっている「たしろ」さん。実は僕が引っ越した先の近くなので、よく利用していた。

 
仕出し屋さんがやっているお弁当屋さんということで、最初はお高いのかなと思っていたのだが、店頭を見て驚いた。どれも500円なのだ。用意されているお弁当は毎日3種類。

 

3種類のお弁当に加え、丼というのが用意されている。ここには、カツカレーだとか、カツ丼、シチュー丼といった丼物が日替わりで用意されている。
 
この日は「豚の生姜焼き」だった。ご飯の上に豚の生姜焼きがのっかっているのだろう。これも魅力的だ。人気のものはすぐに売り切れるし、そうでない場合でも1時過ぎにはこのボードがはずされている。
 

お弁当を買うと、みそ汁、緑茶、ウーロン茶のいずれかが付いてくる。注文時にコールするといい。
筆者は自宅でいただいてのだが、インスタント味噌汁がけっこうあまっていたので、最初は飲み物をつけてもらうことが多かった。しかし、一度みそ汁をお願いしたら、とてもおいしかったので、以来、みそ汁をつけてもらっている。

 

買ってきたのは「カキフライ」。みそ汁付きで500円。
ふたからカキフライがはみ出している。
 

ちょっとついている卵焼きがめちゃくちゃおいしかったりする。

 
みそ汁もおいしいんだよねぇ。
筆者は引っ越しをして、今はめちゃくちゃ近いわけではないけれど、徒歩圏内なので今でもたまに利用している。こちらも「紅や」さんと同じようにサラリーマンやOLさんだけではなく、地元の人々も多く買いに来ていらっしゃる。

このかっぱ橋本通りをもう少し浅草方面へ行くと、さらにユニークなお弁当屋さんがある。

「魚金」という魚屋さんが出しているお弁当だ。

 
ごく普通の魚屋さんだが、お昼になると店頭にお弁当が並べられる。
 
さすがに魚屋さんのお弁当ということで、おいしそうな魚の弁当が並んでいる。
好きなお弁当をお願いすると、ご飯を入れてくれる。ホッケにしてみた。

 
ホッケ 680円(税込)
少々お高めだけれど、味はいいね。筆者の大好きなお弁当だ。
11時過ぎくらいから並びはじめ、午後1時に行くと売り切れていることもある。売り切れている場合は、向かい側にあるお肉屋さんのお弁当がおすすめだ。
魚屋さんと肉屋さんが向かい合っていて、それぞれが弁当を売っているというのも珍しい光景ではないだろうか。
 
筆者は向かいの「マルタケ」というお肉屋さんでもよく弁当を買う。
 
ズラリと弁当が並ぶ図は壮観だ。だいたい600円ぐらいだ。


 
いただいたのは、焼肉のり弁当。600円。炭火で焼いてある焼肉がめちゃくちゃおいしい。他の弁当もどれもおいしく、たまに無性に食べたくなるお弁当だ。
このあたりは住所的には松が谷で、公園なども近所にある。天気のいい日は個性的な弁当を買って、公園で食べるのもいいかもしれない。


追記
以上が2019年8月に書いたもの。いろいろな事情で掲載がかなわなかったので、ここに掲載しました。ちなみに「紅や」さんは2022年9月27日現在、休業中です。

現在は休業中の紅やさん

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