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ひとりぼっちのヒヨドリ その10


  前のお話 ➡ ひとりぼっちのヒヨドリ その9


猫やカラスに見つかってしまわないかと心配でならないが
ずっと廊下で見ているワケにもいかず、
あれこれ用事を足して戻ってみると、
ヒナは巣を出て
畑のキュウリの棚の上の端にヨロヨロしながら止まって、
細い声で「ピーー、ピーー、ピーー」と鳴いている。

  ヨカッタア
  そんな高い所に飛び上がることできたんだ。


  でもどうしよう・・・・
  なにもして上げられることは無いよねえ・・・


なすすべもなく家に入ると、
間もなく親鳥がどこかから飛んできて
ヒナに何かエサを与えた。

  ホッ 

でもその瞬間ヒナは落っこちてしまって、
そのあと何処に隠れてしまったのか
声はするのだが姿が見えない。


親鳥はすぐどこかに飛び立って、
(きっとエサを探しに行ったに違いない)
私も仕事がいっぱい溜まっているので、
仕方なくそこを離れ
ヒナからしばらく目を離していた。


しばらくすると

  ピーーーッ! 
     ピーーーッ! 
 
    ピーーーッ! 
      ピーーーッ!


と、激しく親鳥たちが鳴く声が聞こえる。


取り敢えず忙しい用事だけ済ませて来て
廊下からガラス越しにみると、
2羽で物干し竿に並んで止まって
必死な様子で下を見て鳴いている。


” ここまで飛んでおいで !” と呼んでいるらしい。


あのコブシの木の枝に営巣し
ヒナたちを巣立たせるまでは
あんなに人の気配をこわがっていたのに、
今は全く周りを気にするゆとりも無い様子。


きっとあのあたりの、草むらか花壇の中にでも
ヒナは居るのだろう。

  行ってなんとかしてやれるものなら・・・


後ろ髪引かれながら用事で出かけて
およそ1時間半後に帰宅すると、
もうヒヨドリ親子の姿はどこにもなかった。


急いで庭や畑のあちこちを探してみたが、
ヒナ鳥が猫などに食べられたような形跡は無く、
ほかに考えられることと言えば、
カラスとかトンビなどに連れさられてしまったか・・・ 



   いやいや、
   親鳥がせっせとエサを与えて、
   私が出掛けていた1時間半ほどの間に
   なんとか飛び立てるまでに成長できたのかもしれない。



   孵化後たったの12日で3羽は飛び立てたのだから、
   あの子もおよそ半日で成長が追いついた
   と考えてもおかしくはないよね。


   そうそう、きっとそうなんだ。
   なにしろヒヨドリの生長は超スピードなんだから。

   このところ、
   ヒヨドリが営巣したころからずっと
   猫もカラスもトンビも、
   この辺りで見かけなかったし・・・
 
   今頃どこかの大木にでもヒナたちを止まらせて
   親鳥はエサ探しに励んでいるのに違いない。
   うん、きっとそうに違いない。


   「悲劇を想像するのは無駄!」


そう自分に言い聞かせた。


   しっかり育ってね。


   メスかオスかわからないけど、
   あの私から豚肉をもらって食べたヒナ
その9参照
   いずれ伴侶を連れてきて
   この庭に巣作りするといいな。

   あ、
   またあんなにヤキモキさせられるのもゴメンだなあ。

       f (^ _ ^;) 
                 

       つ づ く

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    ひ とりぼっちのヒヨドリ その11


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よその あきこ
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