見出し画像

“支える”プロフェッショナルを目指して

スポーツ界には、スポーツを「する」「みる」「ささえる」という言葉がある。プレーを「する」人がいて、そのプレーを「みる」人がいる。そして、そのプレーする舞台を創り上げる「ささえる」人がいて初めてスポーツ界は成り立っている。

【ファンサポーターとしての立ち位置】

Jリーグを観戦していると、ゴール裏を陣取り声援を送りながら選手達を鼓舞し続ける団体がかならずいる。その人達を我々は「サポーター」と呼ぶ。

サポーターの「support」は日本語で「支える」「支援する」などを意味する。

上記で述べたスポーツを「する」「みる」「ささえる」のうち、「サポーター」はどこに該当するのだろうか?

皆さんも一緒に考えてみてください。

【“支える”プロフェッショナルとは?】

このようなタイトルで本記事を執筆しているが、「支える人」を極めようという種の記事になる事は間違いない。だが、“支える”プロフェッショナルとは何で、どのように取り組めば“支える”プロフェッショナルになれるのだろうか。

【アスリートには高めるべきVALUE(価値)が3つある】

player VALUE(競技者としての価値)

選手としてどれだけ試合の勝利に貢献出来るのか。アスリートとしての生命線

market VALUE(市場および社会からの評価)

その選手がどれだけ市場および社会から求められているのか、影響があるのか。集客力、発信力、巻き込み力、創造力などが含まれる。

market VALUEの高い選手とはクラブのみならず市場とファンに対してインパクトを与える選手の事を指す。

story VALUE(あなたならでは、の文脈的価値)

どれだけ共感を生み出せるのか。生い立ちやキャラクターが個性的で差別化を図れるのかどうか。又はその選手が持つ想いやビジョンがどれだけ人々を惹き付けるのか。

【サポーターが高めるべき3つのVALUE(価値)】

僕はサポーターにも同じことが言えると考えている。

アスリートだけではない。ファンサポーターを含めるアスリートを“支える”人達も選手同様だ。この3つのVALUE(価値)を高める事が出来れば、より日本のサッカーは文化として根付き、アスリートに対してもこれ以上ない“支える”を実践する事が出来るだろう。

player VALUE(“競技場”での価値)

もちろんサポーターはピッチに立ってボールを追いかける事は無い。が、様々なアクションによって選手達にメッセージを送り、バックアップする事は出来る。

選手達のプレーに「レベルが高い・低い」が存在するのと同じで、サポーターのアクションに「レベルが高い・低い」が存在すると考える。

そのチーム・監督がどのようなサッカーを志し、どのようなプレーに肯定感を持っているのか。相手を圧倒するうえでどのようなプレーが必要で、どのようなプレーをするべきなのか。逆にチームが目指そうとするサッカーに相反するプレーはどのようなプレーなのか。今の時間帯チームの状況は苦境なのか有利なのか。つまりは“player VALUE”の高いサポーターになる為にはサッカーを“見る目”と適材適所な“アクション”を起こすことの出来る人材にならないといけないという事だ。

イングランド・プレミアリーグのサポーターは“目が肥えている”。選手達を執拗にTVの向こう側の人間だと認識していない。選手達と同じ気持ちで闘っている。「今の自分にはどのような事が出来るのか?」と常に考えている。時には称賛し、時には罵倒する。スタジアムの一人一人がmanagerになりきっている。

アンフィールド(リヴァプールのホームスタジアム)では、リヴァプールが繰り広げる目まぐるしいサッカーを完全に体得している為、選手達を正当に評価出来ている。また選手達も正当な目でサポーターから評価されている為、ためらう事なくチームのミッションに従属する事が出来る。

market VALUE(サポーターとしての市場価値)

サポーターはマスメディアに取り上げられる事が滅多にない。が、インフルエンサーにはなり得る。

SNSを巧みに活用し、サポーターてしての市場価値を向上させる事も一つの手だ。今ではサポーターとの交流を積極的に促してくれるクラブが増加している。だからこそ、サポーターはクラブのプラスになる事を“他人行儀”で考えるのではなく、クラブの一員としての“当事者意識”を持って考えて行動するのだ。クラブのフロントは案外意思決定が早い。いくらでもチャンスが転がっているように見受けられる。

サポーターとしての市場価値(集客力/発信力/巻き込み力/創造力)を向上させる事が出来れば、クラブのブランディングにも役立つ事が出来るかもしれないし、サポーター発信のムーブメントを起こす事も出来るかもしれない。または、そのマーケティング力やライティング力が買われてクラブのフロントとしてヘッドハンティングされるかもしれない。

様々な夢や可能性が広がるばかりだ。

story VALUE(あなたならでは、の文脈的価値)

何故そのクラブを好きになったのか。「なんか好きなんで、応援したくなっちゃうんですよね」と言葉では表現する事の出来ない魅力を語るスタンスも悪くはないが、そのクラブとの出会いはいつ頃で、何故自分はこのクラブを応援し続けるのかという“自分ならではの物語”があれば、共感もされるし人を惹き付けるようなサポーターになれる。

サポーターにはサポーターの“物語”がある。その“物語”を知ることによって、背景が見えやすくなり、サポーター同士の繋がりも増えていく。

そのようにしてグループというのは形成されていくものだ。

【サポーターの品格がそのクラブの品格を決定付ける】

価値だけが全てではない。自分がこのクラブを応援する前後の文脈を明らかにし、クラブの一員としての“誇り”と“品格”を持つ。敵クラブを打つ事がすべてのゴールではない。自チームを冷静かつ熱狂的にサポートする。自分が好きなことに熱狂する。熱狂する為の努力を施す。そして、そこに対しての“誇り“と”品格”を持つ。そんなサポーターが真の高価値なサポーターではないだろうか。

【その国のサポーターがその国のサッカーを強くする】

日本代表がワールドカップで優勝する日は来るのかと考えたことがある人は少なくないだろう。

今現在、Jリーグは中断されている。手持ち無沙汰な週末が続いている。

選手はそんな状況でもJリーグ再開に向けて必死にトレーニングに励んでいる。我々サポーターはこの今の瞬間どうするべきなのだろうか。

ネット配信でヨーロッパのサッカーを観戦し、“player VALUE”を高める。

SNSの活用術を勉強し、“market VALUE”を高める。

自分の原点に立ち返りこのクラブを好きになったその理由を言語化する事によって、“story VALUE”を高める。

今だからこそというか、普段から取り組めることばかりだ。

やはりサッカーが強い国はサッカーが文化として根付いている。選手や協会が尽力してくれる事だけを待っていてはいけない。国民(サポーター)が自主的に取り組み、熱狂する事で、そのエネルギーが伝染し、時間をかけて文化は醸成される。

この不況を皆さんの力で乗り越えて、感動的なJリーグ再開を迎えましょう。最後まで読んでいただきありがとうございました。