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現役東大生、石丸泰大「スポーツを通した国際協力がしたい」

「スポーツを通した国際協力がしたい」スポーツクラブをハブとしたコロナ支援プロジェクトとは

現役東大生である石丸さんは、去年、一年間に渡る“世界蹴球の旅”に出た。スポーツビジネスの世界に興味を持ち、スポーツビジネスの最前線でそのノウハウを学んだ。そして、石丸さんの視線は徐々に、スポーツそのものではなく、スポーツに付随するその土地の環境や文化、更には発展途上と言われる国や地域が抱える問題に関心を抱くようになっていた。

それから僕と石丸さんは定期的に連絡を取るようになった。石丸さんは現役大学生としての勉学に励みながらも、こういった国際協力や、スポーツを凌駕した社会的価値に対する情報収集も欠かさない。

何より、飾らない青年なのだ。自身を誇張して伝えることは一切ない。出会ってから直ぐに、「あ、自分の等身大を語ってくれる人だ」と思った。それくらい自然体だし、違うことは違うと言える、僕にとっては心地の良い関係性を築けている。

生きていく手立てを失ったケニアの現状

石丸さんは世界蹴球の旅で、ケニアのスラムにも訪れていた。そして、日本に帰ってきて間もなく“コロナウイルス”がやってきた。世界中を驚かすコロナウイルスによって、ケニアの現状はどうなっているのかが気になり、ケニアのスラムに住む友人に電話をかけたという。

「以前に、ケニアの街を実際にこの目で見ていますし、友人もいるので気になって電話をしてみたんです。ケニアのその当時の状況は、早い段階でロックダウンを決行し、コロナウイルスの感染拡大を抑え込めていると、報告を受けました。ただ、それと同時に別の問題があるとも言われたんです…」

その別の問題とはいったい何の事だろうか。

「まずはケニアのスラムを自分も実際に見て把握はしていたんですけど、あの地域は住まいの衛生面や環境面は整っていないと言えます。例えば4人家族の住まいも、日本では考えられないほど極端に狭く、とても密を避けれるような状態ではないという事。そしてもう一つの問題が“稼ぎ”です。日雇いで、その日暮らしの生活をしている人々がほとんどの中、ロックダウンの決行によって働きにいけなくなり、収入を確保できなくなっていたんです。政府からの支援も行き届いていないでので、生きていく手立てを失ったと言っても過言ではありません」

日雇いでその日暮らし生活をしている人達に、貯蓄なんぞあるはずが無い。ましてや政府や公的機関からの支援も不十分で行き届いていないなかで、生きていく手立てを失ったと言っても過言ではないだろう。しかし、その悲惨な現状に手を差し伸べたプロジェクトがあった。

【A-GOAL Project】

世界蹴球の旅で出会った友人がこのプロジェク卜の発起人と繋いでくれたのだ。石丸くんは即座にこのプロジェクトに参画したいと申し出た。

「スポーツを通した国際協力がしたいという想いを持っているなかで、この話を頂いたんです。そもそも、こういったケニアや発展途上の地域にアンテナを張るようになったのも、昨年の世界蹴球の旅のおかげで、その先々の状況や土地の問題が『自分ゴト』のように思うようになってきました。そういった中で、このプロジェク卜に携わらせて頂いて良かったと思っています」

その旅の先々で、そこの住民と交流し、心を通わせた。日本に帰ってきてからも、石丸さんんの潜在意識がそこに目を向かわせだ。しかし、この支援プロジェクトのスポーツがどのような関わりを見せているというのか。

地域に根付いたスポーツクラブを起点に

コロナ禍で困っている人たちと、その力になりたい日本の人たちを、地元のスポーツクラブが結びつける。地域に強いコネクションを持ったスポーツクラブが、日本からの支援物資を中継して、支援を本当に必要としている人たちに届けるという“ハブ”の役割を果たすことからLOCAL SPORTS HUB PROJECTとも呼ばれている。

石丸さんは、早速このプロジェクトと自身の友人が営むスポーツクラブの架け橋となった。

「実際に支援を配当するのは自分の手ではありません。僕は日本の地でこの想いを持ち、そして地域に強く根付いたスポーツクラブが、僕たちのこの想いを届けてくれるのです」

早く、的確に

「このプロジェクトの面白さは地域に根付いたスポーツクラブだからこその利点を活かせているという所にあります」

地域に根付いているという事実が何故、支援プロジェクトの利点になり得るのか。

「支援する側としては、スピード感を持って、なおかつ、ニーズがある場所に正確な支援をしたいという考えがあります。そして、そのハブの役割を地域に根付いたスポーツクラブが補ってくれることによって、何処の住民が、どれくらい助けを求めているのかという度合いを素早く調べることが出来ますし、何を求めているのかという情報も収集することが出来ます。その地域にネットワークを張れているからこその利点です」

なるほど。支援の本質は支援する側の「支援してあげた」という自己欲求を高めることではない。支援される側が本気で求めているものを素早く届け、その届け物が生活の助けになることこそが、そもそもの支援の本質である。そういった点で、このA-GOAL Projectは、支援活動が本来見せるべき姿を見せられているのではないかと、僕は考える。

あの時の悔しさが心の何処かにある

実は以前、世界蹴球の旅を終えた石丸さんを取材させて頂いたことがる。その一節で石丸さんは、アフリカで行ったサッカーボランティアについて語っていた。

「いざ、カンボジアの子供たちを目の前のした時に無力感を感じたんです。自分はこの子達にどのような価値を提供出来るんだろうと」

「現役外学生にして」という言い回しは極力使いたくないものだが、彼は現役大学生にして、”座学”と“現場”での学びの両輪を同時に稼働させることが出来ている。

「プロジェクトに参画してみて、幾つもの支援プロジェクトを実行してきた先輩たちから多くの物を学べています。支援したい、助けたい、こういう社会にしたいというビジョンをいくら持っていたとしても、そのビジョンを実務的に推進させていくスキルが無いといけませんから」

支援プロジェクトに参画することによって、その最大の目的を果たしながらも、自身の学びにも結ばすことが出来る。これ以上のことはない。実のところ、僕自身も以前から社会問題や国際政治、人種差別や価値観や文化の多様性に関して興味があった。だからこそ、そこに対して真摯に学ぼうとする彼の姿勢に惹かれたのだ。彼は最初から最後まで謙虚だった。

A-GOAL Projectは今も精力的だ。あえて遠くの人から助ける必要はない。しかし、僕にとっては近い存在で多くの気づきを与えてくれる石丸さんの参画するプロジェクトであるということでけで、興味を持たざるを得ないのだ…

これからも、石丸さんの紆余曲折を覗かせて頂くつもりだ。

アフリカ支援プロジェクトのクラウドファンディング
https://spin-project.org/projects/44

石丸さん登壇予定のオンライントークイベント
http://ptix.at/nagWbk