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「溶けかけのキャラメルみたいな話していい?」
「ベタな話な。よーしこい」
「過去と未来、行くならどっち」
「断然過去」
「えーマジ?」
「多分俺は未来の自分からの助言を信じる」
「なんだよその自信」
「証拠さえ揃えばファンタジーも信じる心持ちで生きてる」
「なるほどね」
「釈然としてないお前は未来の一派か」
「仇みたいな呼び方。だって宝くじ当たるじゃん」
「お前その手札しかないのにこの話題持ってきたの?」
「違う違う! いやこれは最も強いカードだけど」
「プレイングが悪すぎる」
「未来の自分に会いに行くじゃん。すると、未来のそのタイミングで過去から若い自分が来るわけだろ?」
「そうなるね」
「かけられた言葉と違う言葉を伝えて世界線ごちゃ混ぜにする」
「極悪バカ」
「バカはお前だよ。過去に未来の自分が現れたことあったか? ないなら過去に行くのは叶わない」
「お前もしかして俺が過去に行くって言うのわかって聞いたろ」
「勝ちですね」
「勝ちですか?」
「なんだよ」
「お前、未来にいろいろ好き勝手できるなら、過去から見た未来である今も好き勝手できるわけだろ?」
「あ、わかんない話になりそう」
「この俺に未来から俺がきた経験がなくたって、俺から過去の俺に会いに行く可能性は否定できないよな」
「わかるように言って」
「お前は時間をループ前提で考えて、その上でループ乱そうとしてるじゃん。でもループするにも始まりがなきゃ説明がつかないから俺がループの発起人にもなれるんじゃないか?」
「確かに」
「認めちゃったよ」
「わかりやすく言ったつもりだろうけど、俺は全然わかってない」
「自信満々に言うんじゃねぇ」

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