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【数学】無限降下法とその回避

対象:難関理系,難関文系数学利用(国立2次,私大難関)者

論証問題で背理法を使う際「無限降下法」というものがあることはよく勉強している人は知っているでしょう
「あれ?自然数 x は無限に2で割り切れることになる→矛盾」
のような議論です

実際に問題で見てみましょう(九州大)





(1)(2)で誘導がついているので 剰余類で考えていきます
よくあるパターンですから 難しくはないでしょう
そして(3)ですが,(2)の結果を利用すると
$${a^2+b^2=3c^2・・・(*)}$$を満たす自然数の組$${(a,b,c)}$$に対し
各数を3で割った数の組$${(a',b',c')}$$も$${(*)}$$を満たす
→ 再度(2)より,これが繰り返される(無限ループ)
→ んなこたない(自然数が無限に3で割れることになるので)


これが「無限降下法」と呼ばれるものです
実数(または0)だったら無限に3で割っていってもよいですが
自然数は3で割り続ければいつか1未満となってしまいます

さてこの「無限降下法」ですが 名前のせいなのか「難しい・・・」と感じてしまう人も多いかもしれません(逆にそれで印象に残るのはいいところ)

ちょっと次の別解を見てみましょう(本質的には同じ)


青い部分で 無限ループを 回避しています

今回の問題の場合
(3)で議論が無限ループになるな・・・の後は
①そのまま無限降下法でいく
②設定をかえて無限ループを回避

のいずれかです

議論がループするなら,無限降下法のチャンス(ただし,回避もできるよ)

教科書にある「$${\sqrt{2}}$$が無理数であることの証明」においても
無限降下法を使わず回避しています(互いに素という設定)

今回は 無限降下法 と その回避 についてお話してきましたが

議論がうまくいかないから最初の設定を変える


ということが 非常に大切です


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