レガシー神トップ8・グリクシスデルバーガイド

自己紹介

どうも、関東でマジックをしている、めありんぬこーへーと呼ばれているものです。

noteで記事を挙げるのは初めてなので簡単な自己紹介から始めさせてください。

活動場所は主に高田馬場晴れる屋。特定のフォーマットのみをプレイしているわけではなく、その時その時の大型イベントに向けてスタンダード・モダン・レガシー・リミテッドと幅広くプレイしています。

しかしその中でも得手不得手はあり、得意フォーマットがレガシー苦手なフォーマットがリミテッドになります。

GPなどの大きなイベントで結果を残したことはないものの、晴れる屋で行われている神決定戦クラスのイベントでは各フォーマットで何度かトップ8には残ったことがあります。これ以上長々と自己紹介をしてもしょうがないので今回のレガシー神トップ8プロフィールに過去の戦績を載せたのでそちらをご参照ください。(名前で察しはつくかと思いますが、スイス3位が僕です。)

この度はトップ8止まりで有料記事を公開するか非常に悩んだのですが、デッキ選択・デッキ構築に自信があり、世に出しても恥ずかしくないと自負していたことや、読みたいと言ってくださったフォロワーの方々に背中を押されたことで本稿を執筆しました。エターナルウィークエンドに向けて何か参考になれば幸いです。

有料にしたからには僕の知る全てを伝えたいと思っていますし、何か質問があれば気兼ねなく聞いていただければ全て答えるつもりですので、よろしくお願いします。

デッキリスト紹介

4 《Underground Sea》
3 《Volcanic Island》
2 《血染めのぬかるみ》
2 《霧深い雨林》
2 《汚染された三角州》
1 《溢れかえる岸辺》
4 《不毛の大地》
【土地18枚】
4 《秘密を掘り下げる者》
2 《戦慄衆の秘儀術師》
2 《真の名の宿敵》
4 《グルマグのアンコウ》
【クリーチャー12枚】
4 《稲妻》
4 《渦まく知識》
4 《思案》
4 《思考掃き》
2 《致命的な一押し》
2 《呪文貫き》
2 《思考囲い》
4 《目くらまし》
4 《意志の力》
【呪文30枚】

2 《紅蓮破》
2 《悪ふざけ》
2 《外科的摘出》
2 《蒸気の絡みつき》
2 《苦花》
1 《疫病を仕組むもの》
1 《水流破》
1 《思考囲い》
1 《リリアナの勝利》
1 《冬の宝珠》
【サイドボード15枚】

こちらが今回使用したグリクシスデルバーです。
国内では某プロプレイヤーが好んで使っていたことでも知られる、《思考掃き》と《グルマグのアンコウ》が4枚ずつ入ったいわゆる掃きデルバーアンコウデルバーと呼ばれるものです。

その強みは何といってもデルバーミラー最強と名高い《グルマグのアンコウ》を最速で、かつ複数体並べることができるところにあります。

この記事を読んでいる方は当然レガシープレイヤーだと思うのでご存じだと思いますが、レガシーにおいて7マナ5/5のクリーチャーは白以外で除去することが非常に困難です。以前はアンコウがバニラであるが故の弱みが露骨に足を引っ張るマッチアップも多かったのですが、現在のメタゲームにおいてそれらのデッキは減少傾向にあります。

下記項目ではその理由を分析していきます。

メタゲーム分析

レガシーの環境は《レンと六番》の登場を経て、大きく変化を遂げました。昨今では少数派とされていたカナディアンスレッショルド(ティムールカラーのデルバーデッキ)が《レンと六番》の力を得て一躍トップメタに躍り出たのです。

そのデッキリストは、以前の《もみ消し》を構える構成から一転、《レンと六番》や《タルモゴイフ》、《呪詛呑み》のレベルアップとタップアウトして強いアクションを多く取るミッドレンジのような構成になりました。
『モダンホライゾン』発売後のレガシーはこのティムールデルバーを中心に回り始めました。

そして、ティムールデルバーにさらに強く構築されたのが最近流行の4Cデルバーです。
黒を入れ、《突然の衰微》を入れることで一方的に《タルモゴイフ》を除去することができるようになった構成です。
今回の神決でもトップ8に2人進出している、現環境最先端で最強とされているデルバーデッキで上記のティムールデルバーよりもさらにミッドレンジ色の強い構成になっています。
イメージとしてはさながらBUGカスケードやジャンドのようなゲーム感のデッキです。

前環境までトップメタであった《戦慄衆の秘儀術師》を用いた青赤のデルバーデッキは


・《タルモゴイフ》をうまく対処できないこと
・そうなると《タルモゴイフ》を前に《戦慄衆の秘儀術師》は一切攻撃に参加できないこと
・さらに《若き紅蓮術士》が《レンと六番》に弱いこと


もあり、現在の環境では立ち位置が悪くなってしまいました。

デルバー側がクリーチャー以外の攻め筋を得たことなどからミラクルとの相性も改善し、さらに《レンと六番》の【-1】能力が《悪意の大梟》に強いこともありグリクシスコントロールも数を減らしました。
《甦る死滅都市、ホガーク》デッキがレガシーでも通用することが浸透し始めるとそれらのデッキも増えてきて、コントロールデッキは週を追うごとに立ち位置が悪くなっていく。。。

と、ここまでが現在のレガシーメタゲームの変遷と実状です。
そして、このグリクシスデルバーはまさに現在立ち位置を悪くしているミラクルの《剣を鍬に》《終末》《悪意の大梟》が苦手でした。

《グルマグのアンコウ》はどこまでいってもでかいだけのバニラクリーチャーですから、簡単に処理する手段を有したコントロールには弱いのは必然ですよね。

なぜ、グリクシスデルバー?

上記のメタゲーム変遷を受けて、現環境を以下のようにとらえました。

・4Cデルバーの存在がある以上、《タルモゴイフ》はそこまで信用のおけるカードではなくなった。
・コントロールは数を減らした。また、立ち位置の悪さから勝ち上がりにくい(高橋優太さんは上手すぎて全てを乗り越えてトップ8にきたので感服しました)。
・4Cデルバーがフェアデッキに構成を寄せているため、コンボデッキの立ち位置は良さそう。今後コンボが増えることは大いにありうる。
・デプスが《サテュロスの道探し》や《エルフの開墾者》を採用し始めたこと(横にごみが多くエディクトをケアしやすい構成になっている)、《疫病を仕組むもの》でも《真の名の宿敵》は対応できることを受け《リリアナの勝利》は価値が下がった。
《真の名の宿敵》は《紅蓮破》でも《呪文貫き》でも消せない《疫病を仕組むもの》の登場により、現在でも強いことには強いが完走性能は落ちた。

結論:《グルマグのアンコウ》が最強=グリクシスデルバーが最強

話が飛躍したので噛み砕いていきます。
まず、先述の通りコントロールの減少は明確にアンコウデルバーにとって追い風です。

次に《突然の衰微》の増加。これもアンコウデルバーはそこまで重く踏むことはありませんので比較的楽な環境といえます(その枠にメインからエディクトや《四肢切断》が入っていた環境もあった)。

《突然の衰微》を重く踏まない構築を一貫するために《戦慄衆の秘儀術師》は採用しないようにしていたのですが、やはり《戦慄衆の秘儀術師》なしでは少なからずいる青白系のデッキに脆すぎてしまうことコンボへのガードが下がりすぎることもあり、現在のクリーチャー配分に。

さらに《真の名の宿敵》をまとめて処理しやすくなったことで、より《グルマグのアンコウ》を活躍させやすくなりました。
よくあるのが《グルマグのアンコウ》を延々と《真の名の宿敵》でブロックされゲームがグダる展開ですが《疫病を仕組むもの》によりその盤面を打開しやすくなりました。

《疫病を仕組むもの》の存在によって、そもそも構築の段階で《真の名の宿敵》に全体重を乗せるのがリスクになったのもいいですね。

環境で唯一《グルマグのアンコウ》のサイズを超えてくる《タルモゴイフ》用にメインから《致命的な一押し》を採用することが肯定される環境であることで《グルマグのアンコウ》の完走性能は以前よりさらに上がりました。

《基本に帰れ》を壊せないなど、《突然の衰微》より弱い点もありますが、こと《タルモゴイフ》を除去することに関して言えば《致命的な一押し》も《目くらまし》をケアして打つことは容易であり、《戦慄衆の秘儀術師》で使いまわせることも加味すると、一概に劣化ではないという見解です。

《グルマグのアンコウ》はたった1マナで唱えることができますから、《レンと六番》と《不毛の大地》によるマウントを唯一抜け出す可能性がある一手でもあります。

先述の通り、相手のデッキ内に《グルマグのアンコウ》を対処するカードが入っていないのですから、土地0枚からでも《グルマグのアンコウ》で《レンと六番》を奥義前に対処すればいつか復旧し、まくり返す可能性を残せます。

実際に《レンと六番》と《不毛の大地》で土地をはめられたものの土地を引くたびに《グルマグのアンコウ》を通し、最終的に3体の《グルマグのアンコウ》で相手を圧倒しデルバーミラーを制したこともあります。


このことから現環境におけるデルバーミラーの最強カードは《タルモゴイフ》でも《秘密を掘り下げる者》でも《戦慄衆の秘儀術師》でも《真の名の宿敵》ですらなく、《グルマグのアンコウ》こそが「最強」であり、それを一番強く使えるグリクシスデルバーこそがベストデッキであると判断しました。

さらに《秘密を掘り下げる者》以外のクリーチャーがすべて《レンと六番》で死なないのも強みです。

ちなみにコントロールには弱い《グルマグのアンコウ》ですが、時折バニラゆえにコンボにも弱いと勘違いしている人がいます。

が、これだけは断言しておきましょう。

このカードはコンボに強いです!

その根拠をまとめてみました

・1マナで出せるので隙を作らない。
・1ターン目に出したデルバーより3ターン目に《グルマグのアンコウ》を出すほうが1ターン早く、または同一ターンに勝てる。2ターン目に出せればデルバーよりも早い。
・上記の理由からクリーチャーなしハンデスカウンターキープをしたときに、クリーチャーを引いてから勝つまでが早い。
・コンボがサイドからこちらの速度を下げようと入れてくる除去に引っかからない(ショーテル系の《コジレックの帰還》や《紅蓮地獄》、ANTの《突然の衰微》etc)

ですから、アンコウデルバーは見た目よりもコンボには強いデッキなのです。

そして、リスト調整へ

はじめは《秘密を掘り下げる者》4枚《グルマグのアンコウ》4枚《真の名の宿敵》2枚のクリーチャー構成から始めました。
しばらくはデルバーミラーで《もみ消し》が強いという判断から、《もみ消し》を4枚採用していて感触は非常に良かったのですが青白系への脆さが浮き彫りになっていきました。

《もみ消し》というカードは青白系に対して効くのですが、《もみ消し》・《思考掃き》という通常のデルバーには入らない4枚ずつのパーツがデッキに入る都合、クリーチャーやカウンターを多くとることができません。


《グルマグのアンコウ》は白系に弱いカードですから、《もみ消し》で得られる青白系への優位性以上に《グルマグのアンコウ》のデメリットの方が大きく不利になってしまうという悲しい課題を抱えていました。

しかし、この時にグリクシスデルバーに強い可能性を感じたのもまた、事実でした。

ここから先は

9,026字 / 34画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?