思い掛けない方向から救われることもあるよ

人生初noteです。

初回の今回は、人は時に思いもかけない方向から

救われることがあるよ、というお話です。

僕は某ドラッグストアの店員をもう結構長いことやっています。

正直にぶっちゃけると、ここ最近はマンネリ化するルーティーンの

仕事に飽きを感じていて、自分が今行なっているこの仕事に一体

何の価値があるのか？

売上、作年対比ばかりを追いかける日々に虚しさのようなものを

感じていました。

元々理系脳ではないので、こういう数値に基づいた目標を目的化されることに

情熱を注ぎにくい性格なのです。

それでも、お金が無いと食べていけない訳で

たまたま受かった地元企業でダラダラと働き続けてしまっている

自分のこともあまり好きになれない、そんな日々でした。

ある日、年の頃は60歳前後といったところでしょうか。

割腹のよい、スーツをバッチリ着こなした男性に呼び止められました。

時間は夜の21時を超えていたと思います。

仕事疲れかな？と思いつつお話を伺っていると

「90歳を超える高齢の母が朝から何も食べ物を口にしなくて

酷く弱っている。咀嚼力も弱っているので、何か飲み物で栄養補給出来る

ものは無いでしょうか？」という質問でした。

ケアマネージャーの方から聞いた話を元に、慣れない介護に

戸惑っているようにも見受けられました。

僕はそれなら、と総合栄養バランス飲料の「メ○バランス」をお勧めしました。

母がストローで飲めるかどうか怪しい、ということで吸い飲みも併せて

お勧めさせて頂き、そちらを購入して帰られました。

そして翌日、時間帯は大体同じ頃だったでしょうか。

昨日と同様の格好をされた60歳前後のお客様が

今日も店舗に来店され、声を掛けてくださいました。

『昨日はどうもありがとうございました。お陰様で、母に飲ませたあと、

少し元気になった様で、パンを少しだけ食べることも出来る様にまでなりました」

年齢で言うと僕の倍近くはあろうという初老のお客様が

実に丁寧に感謝の言葉を伝えて下さったので、僕は少なからず戸惑いながら

「とんでもないです、本当によかったですね」

とだけお応えさせて頂きました。

今日は褥瘡のケアで何か身体に塗るクリームなどあれば、ということだったのでワセリンをおすすめさせて頂きました。

お客様がお帰りになられたあと、どこか満足気な自分がいました。

その感情は久しく忘れていた感情でした。

お客様は、あの歳の頃でスーツを着こなし、もしかしたら会社ではかなりの役職についているのではないかな、というくらいのオーラを放っていました。

親の介護、という誰もが通る経験に差し掛かり、慣れないながらも母親のために何か出来ることはないかと商品を探しに来たのだとおもいます。

普段見るお客様ではなかったので、たまたま仕事帰りにたちよっただけかも知れません。

それでも、あそこまで丁寧に、翌日に感謝の言葉を伝えて頂いたこと。きっとお忙しい生活をされているであろうに、その心配りをして頂いたことに胸がじんわり暖かくなりました。

人は、思いがけない角度から、思いがけない形で救われることがあるのだなぁと実感しました。

言ってしまえば、僕は店員としてただ商品案内をしただけです。

その事実だけです。それが、これだけのストーリーを生み出すきっかけになり、現に今僕はこのお話を元にnoteを書いています。もう文字数は1300字を超えました。

『感情報酬』という言葉があります。今、お金だけでは人は集まらない時代になっていると感じています。この感情報酬を多く受け取れる仕事、多くのストーリーを生み出す働き方が、これからますます注目されていくのではないでしょうか？

成果（お金）を生み出さない仕事が無価値であると共に、心のない仕事はまた無価値なのでは無いかと、そんなことを考えた出来事でした。

ここまで読んで下さりありがとうございました。

あなたの仕事も、きっと誰かの価値を生んでいるハズです。

そして、あなたも、誰かの仕事によって、価値を感じているハズです。

可能であれば、その感じた価値、得られた想いを言葉にして伝えてあげてください。人は、言葉にしてもらえないと中々自分の価値を実感出来ない生き物です。

僕も、今回の出来事をきっかけに、出来るだけ感じた価値を言語化して、言葉にして伝えるようにしようと思いました。ありがとうに少しの言葉を添えて。

それだけで、あの時の僕のように思いもかけない救いを手にする人も現れるのではないでしょうか。

そしてその連鎖が続けば、この国はもっともっと良くなる、住みやすくなる、優しい場所になるのではないかと思います。