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【司法試験/予備試験】論文が書けるようになる最強のアウトプット勉強法

「学ぶって、楽しすぎる。」-弁護士の岩瀬雄飛です。

本noteでは学ぶことの面白さや学習のノウハウ等を発信するとともに、自分が学んだことの記録を発信しています。

今日のテーマは「論文が書けるようになる最強のアウトプット勉強法」。

自分は、学習に集中できる環境だったこともあるが、法律を勉強し始めてから1年で予備試験短答試験合格、2年で予備試験合格、3年で司法試験に合格しており、比較的早く合格できた方であると思っている。その際、最も効果的だったのはアウトプットである。


(1)アウトプットの重要性

予備試験や論文試験で不合格となる人の傾向のひとつとして「アウトプット」不足が挙げられる。採点官はアウトプットされたもので評価するため、そのクオリティが低いと、どれだけインプットが十分、すなわち受験者が知識を持っていたり理解したりしていても残念ながら評価されない。

アウトプットの重要性については、以下の本でも力説されている。覚えたことを思い出す(リコール)する過程が一番脳に負荷がかかるため、記憶の定着に貢献する。これは、当時自分が司法試験学習をしていた際の実体験とも整合する。筋トレ同様、負荷のかかった勉強法が最も効果的であることは容易に想像できるだろう。

(2)最強のアウトプット法

それでは、具体的にどのようにアウトプットを行えばよいか。私の場合はルーズリーフを使っていた。

古典的な方法ではあるが、表に自作の問題を書いて、裏にその回答を作成する。表の問題だけを見て、回答を家であれば口に出し、自習室であれば頭で思い浮かべ、裏の解答で答え合わせするというシンプルな方法である。

例えば、刑事訴訟法における、捜索の限界を例にすると、表面に記載すべき問題は、以下のようになる。
「一定の「場所」を捜索対象として明示する捜査令状に基づき、令状には明示されていない、その場所に存在する「者」やそこに居る人の「身体」に対して捜索することは許されるか。」

そして、裏面に記載すべき解答は、以下のとおりとなる。
「そうした「物」は、「場所」の概念に包括されているといえるため、捜索可能
∵裁判官がある「場所」に対する捜索を許可する際には、通常その場所において管理ないし利用されることが想定される「物」についても、当然捜索対象になることを予定していると解されているため」
※    ∵は理由を示す省略記号である(パソコンでも「なぜならば」と打つと変換される)

ルーズリーフ作成の数日後に解くと、おそらく最初は「可能」という結論は答えられるものの、理由までは答えられないと思われる。このときに「覚えた気になっていた」ということを実感する。

数回復習し、覚えられると、次は「新たな気づき」が待っている。

上記の論点は平成6年9月8日の判決が発端となっている。この裁判では、被疑者A宅の捜索において、立会人X(Aの内縁の夫)が手に持っていたボストンバックを調べることの可否が問われた。

たしかに内縁の夫が手に持っている物については、A宅に「通常その場所において管理ないし利用されることが想定される「物」」といえそうである。

それでは、立会人が大家であったらどうか(被疑者が不在の場合に、大家がマスターキーを使って立会人になることは考えられる)。大家が持ち込んだボストンバックについては、「裁判官がある「場所」に対する捜索を許可する際に、通常その場所において管理ないし利用されることが想定される「物」」とはいえず、これを捜索することは違法になる。

このように、「可能」と結論だけを覚え、理由まで覚えていない場合、採点官には理解していないと判断され、低く評価されてしまう。アウトプット学習を続け、細かいところまで想起できるようにすることで、採点官に十分理解していることを伝えきる必要がある。

終わりに

司法試験は覚えることが多いため、ついついインプットに走りがちである。しかし、アウトプットされたもので評価を受ける試験である以上、重要なのはむしろアウトプットである。アウトプットを意識した学習を行い、インプット中心の受験生に差をつけてほしい。

※本記事の問題や解答例については、『LEGAL QUEST 刑事訴訟法』(有斐閣)を参照して作成しています。


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