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【司法試験】採点実感から考える合格ライン

「学ぶって、楽しすぎる。」-弁護士の岩瀬雄飛です。

本noteでは学ぶことの面白さや学習のノウハウ等を発信するとともに、自分が学んだことの記録を発信しています。

今日のテーマは「採点実感から考える合格ライン」。

本noteまでに、自分が受験した平成28年司法試験のA評価であった科目(民法以外。但し、選択科目についてはA評価であったが現時点では公開していない)について、採点実感を踏まえての解説や分析を追加した。以下のとおりマガジンにまとめている。

自分が受験生であった頃から過去問の採点実感は学習にとても役立てていた。今回、初めて自分が受験した年度の採点実感を読み込み、自分の答案と順位を踏まえて、合格ラインを推測してみたので本noteで紹介したい。なお、平成28年度の司法試験の採点実感を前提としているものの、毎年大きくは変わらないものと思われる。


(1)採点実感から考える合格ライン

採点実感では、(近年はやや総合考慮寄りとなっており明確ではないが、)答案は「優秀」、「良好」、「一応の水準」、「不良」に分類されるとされている。

私が推測する合格ラインは、「一応の水準~良好な答案」のちょうど間である(「一応の水準」寄りだと不合格)。そして、「良好な答案」であれば1,000位以内の合格、「優秀な答案」であれば100位以内の合格であろう。

自分の答案を客観的に評価する場合、「優秀な答案」に示されたすべての事項を押さえられたわけではないが、全体としてみればおそらく「優秀な答案」になるだろう。これで46位(※短答を含めた総合評価:44位)である。

また、「この点については多くの答案が書けていた」「この点について論述している答案は少なかった」等の記述を参考に答案のレベルの分布を推測することができる。この答案のレベルの分布と自分の評価を前提にすると、上記のような合格ラインが想定される。

(2)「良好な答案」を目指すために

それでは、ある程度余裕をもって合格できる「良好な答案」とはどの程度のレベルであろうか。各科目、各設問の内容によって異なるため一概には言えないが、採点実感を総合すると、概ね以下の3つを満たす答案であると考える。
①問題の所在に概ね(7割~8割程度)気づき、判例を踏まえた規範を提示している
②自分が立てた規範に基づき問題を検討している
③事実を列挙するだけではなく、法的な評価を加えられている

このうち、最も重要なのは②と③である。というのは、採点実感において①については多くの答案で比較的よくできていたと示されている一方、②と③については苦言が呈されていることが多いからである。すなわち、①ができていることは前提に、合格・不合格の分水嶺となるのは②と③になる。

これは、採点実感において、十分に理解しないまま覚えた論証パターンをただそのまま吐き出しているような答案が散見された、という趣旨のコメントからも伺える(採点者からすると②ができていないと①を理解しているか疑いたくなる)。時間の節約や検討のポイントを外さないために論証パターンを覚えることは必要であるが、それだけでは十分ではないことを再認識する必要がある。

なお、「良好な答案」を超えて「優秀な答案」となるためには、①自分の立てた規範に対して整然と、問題文に登場する細かな事情まであてはめ・評価したり、特殊性を考慮すると判例や通説とは異なる結論もあり得るのではないかと分析したりする等、十分な理解力と思考力を示す答案になろう。

もっとも、採点実感が想定する「優秀な答案」は想定するレベルがやや高いように思われ、自分も全ての設問においてこのレベルに到達していたとはいえない。近年、評価が総合的になっているように見受けられることからも、答案全体を俯瞰してみた際に法的な思考力や表現力を持ち合わせているかが重要になろう。

終わりに

「良好な答案」は通常の学習で十分到達可能なレベルである(※論証パターンを覚えることだけでは「通常の学習」未満であることに留意されたい)。もっとも、最初から「良好な答案」を目指していては最終的な着地点は「一応の水準」となってしまうであろう。高校3年生が予定どおり受験勉強が進まず、志望校を徐々に下げることになるのと同じである。

そこで気持ちとしては最初に目指すのは「優秀な答案」である。今後のnoteや公表している解説・分析付の再現答案を参考にしていただき、「優秀な答案」で求められる理解力・分析力・表現力・視野の広さ等、上位合格に必要な能力を多角的に磨いていただくことを期待している。

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自分が受験した平成28年年司法試験の全科目の再現答案を公開しています。
評価Aの答案(民法以外)については解説・分析付です。
論述の流れや事実評価の学習、合格答案のレベルの確認にお役立ていただければと思います。

・民法以外→415円 ※すべてA評価
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・民法→250円  ※民法は評価がBであるため他科目よりも廉価です
(ドトールアイスコーヒー代にさせていただきます。)

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