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お直しの一コマ話

「金継ぎお願いしたいんですけど。」
「はい。承ることできますよ。」
「いやね、高価なものではないんだけどね。急須だけどちょっとひびが入っていて、あとちょっと口がかけちゃっててね。直してもらえるかしら?」
「大丈夫ですよ。簡易金継ぎではないので少々お時間を頂くことになりますけど。」

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お客様のお話では、ご自宅の棚の奥に長い間眠っていた茶器セットがあって、嫁がれたお嬢様にそれを譲ろうと箱から出してみると、急須にし小さなひびが入っていたそうです。高価なものではないけど色々と思い出のある品なので、娘に譲る前に佇まいをちゃんと整えてからお嬢様へお渡ししたいとか。

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この茶器セットにいったいどのような素敵な思い出があったのでしょうね。
あれから半年以上の作業を終え、佇まいが整った急須はお揃いの茶碗たちと晴れて合流し、新しい主のもとへと引き継がれていきました。

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こういう素敵な機会に携わらせて頂いて、とても幸せに思いました。

くらし座 大村正







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