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ルータとハブの違いとはなにか?

おはようございます。またはこんにちは。もしくはこんばんわ。マゲっちSCと申します。9月18日の朝を迎えました。皆さんの地域は台風14号の状況はいかがでしょうか?私の住んでいる愛媛松山はかなり久々に台風が直撃しました。普段は台風の進路としてはだいたい高知県沖を通り抜けていくパターンが多いのですが今回は珍しいですね。ただ、台風の中心が直撃したため、雨が少々強めに降った程度で強風がビュービュー吹き荒れるとか、道路冠水してしまうというようなことは起こりませんでした。台風14合は今現在は和歌山県に上陸したとのことで、紀伊半島を過ぎれば太平洋へ出ていくようです。今日中に温帯低気圧に変化するようですが、大雨の地域もあるようですので油断なさらないようお気をつけください。

前回の振り返り

さて前回のブログですがマルチモニター環境についてざっくりとお話させていただきました。マルチモニターの一般的な導入方法をお話させていただきましたが、ノートPCでもD-Sub15ピンやHDMI端子を使えば外部モニターに映像出力が可能です。ただ、ノートPCのモニターをメインモニターとして使用すると思いますので、デスクトップ型のPCで作るマルチモニター環境よりも少々慣れが必要になるかと思います。PC上での作業スペースを増やしたい方は導入を考えてみてもいいかと思います。また、9インチ以下のポータブルモニターを使ってもマルチモニター環境は作れますが、小さいモニター用のモニターアームはなかなか数が少ないと思いますので、どのように扱うかが少々難しいかも知れません。

前置き

では今回のお話ですが、以前にWi-Fiルータのお話をインターネットセキュリティの面から簡単にお話させていただきました。予めお話させていただくと今回取り扱うのは家庭用に販売されているものになります。しかし、家庭用でも業務用でも取り扱うデータは同じです。今の段階では少し解りづらいと思いますがあまり気にしないでお読みください。

OSI参照モデルとは

ところで皆さんは店頭でハブとルータどちらを買えばいいのか悩んだ経験はありませんか?おそらく箱の説明書きを読んで違いを理解できる方はそうそういらっしゃらないのではないと思います。では、まずOSI参照モデルについて軽くお話させていただきます。なぜこのような専門的な話をするのかということですが、通信プロトコル(通信規約)をご理解いただいていたほうが説明がスムーズに進むからです。OSI参照モデルを定義しているのはISOという団体です。ISOはみなさんも耳にしたことがあると思います。OSIとISOをよく混同してしまいがちですが、通信規約の名前はOSIですのでお間違いないように覚えてください。なおこれらは情報処理試験にも出題されます。覚えておいて損はありません。

物理層について

まずは第1層の物理層です。その名の通り物理的な接続や電気信号そのものについてです。ケーブルとコネクタがきちんと接続されているかとか、コネクタの形状やピン数がきちんと対応しているかとか、金属ケーブルと光ファイバー間の電気信号と光信号との変換などを担当しています。

データリンク層

第2層はデータリンク層です。直接的または間接的に接続されている通信機器感の信号を受け渡しを行います。直接的というのはケーブルで装置同士が物理的につながっている状態です。間接的というのはWi-Fiなどを使った無線での接続です。

ネットワーク層

第3層はネットワーク層です。ネットワーク上での通信経路の選択を行いデータを中継します。

トランスポート層

第4層はトランスポート層です。ネットワークのスタート地点からゴール地点までの通信管理を行います。例えば通信中にデータが変更されて間違ったものが送られてきた場合のエラー訂正やパケット(ネットワーク上でのデータの塊)が何らかの原因で失われた際に再送信をさせるための制御などを行います。

セッション層

第5層のセッション層は通信プログラム間の通信開始から終了までを司っています。例えば何らかの原因で通信回線が切れてしまった場合に再接続を行います。

プレゼンテーション層

第6層のプレゼンテーション層です。データの表現方法を司っています。

アプリケーション層

第7層のアプリケーション層です。具体的な通信サービスを司っています。例えばメールやファイルの転送やデータベースへのアクセスなどです。

しかしながら注意しなければならないのは、インターネット対応のすべてのアプリケーションソフトウェアがこのモデルをもとに制作されているわけではないということです。あくまでもネットワーク上の情報のやり取りの一例であり、これを遵守してアプリケーションソフトウェアを制作しなければならないということではありません。OSI参照モデルで重要な部分としては第1~3層と第7層です。実はアプリケーション層で第4~7層すべてのやり取りを行うこともできないわけではありません。あくまでもネットワーク上でのデータやり取りとはこういうものであるというモデリングです。しかしネットワークの話を深堀りする際はOSI参照モデルに基づいて話を展開することが多いですね。

通信方法

続いてデータの通信方式のお話です。OSI参照モデルではネットワークを分離するとだいたいこの7つのレイヤーに分けられますよというお話でしたが、今度は実際にネットワークを使って情報を送受信する場合の通信プロトコルになります。OSI参照モデルとよく混同して混乱する場合がありますのでご注意ください。送受信の方法としてはTCP/IPとUDPの2種類が存在しています。

TCP/IPとは

例えばですが皆さんはキャッチボールをしたことがあるでしょうか?もしくはサッカーのパス交換でも構いません。おそらくほとんどの方が経験済みであると思います。ボールを持っている方と持っていない方がそれぞれある程度の距離を取り、ボールを持っている方が持っていない方へパスを出します。その際に今から投げる旨を相手の方に何らかの方法でお知らせすることがほとんどであると思います。A「今から投げるぞ」 B「OK。いつでも来い」のようなやり取りですね。実はTCP/IPを採用しているソフトやシステムの場合、端末(皆さんのコンピュータ)からサーバへ向けてこのように声がけをしています。例えば皆さんがメールサーバへ着ているメールの問い合わせをしたいと思った場合、端末からメールサーバへ通信を行います。その問い合わせの前段階でまず端末からSYNパケットがメールサーバへ送信されます。メールサーバはSYNパケットを受信すると正常に通信が行えるという返事を返します。この返事をACKパケットといいます。端末側はACKパケットを受信するとメールサーバの準備ができたと判断して、メールの問い合わせ命令をメールサーバへ送信します。キャッチボールの例で言えば、声がけが終わり相手がボールを投げてもキャッチできる状態であると判断しボールを投げた状態です。メールサーバはメール問い合わせの命令を受信して、新着メールが着ているかどうかの結果を端末へ投げ返します。キャッチボールで言えば相手側からボールが投げられて返ってきた状態です。TCP/IPはこれを繰り返してデータの送受信を行っています。

UDPとは

ではUDPの場合ですが、TCP/IPとは違い手続きが簡略化されています。キャッチボールの例で言えば先ほどは相手の状況を確認したあとでボールを投げましたが、UDPでは確認は行わずボールを持った側の準備ができ次第即ボールを投げます。相手の状況は関係ありません。キャッチボールの例で言えば二人の距離がある程度離れたらいきなりボールを投げている状態です。相手の状況は関係ありません。

TCP/IPとUDPのメリットとデメリット

両者のメリットとデメリットですが、データ送受信の信頼性という点でいえば完全にTCP/IPです。相手の状況を確認した上で受信可能な状態であれば送信をするからです。UDPは相手の状況を確認しないままデータを送信するため、サーバの準備ができていなければ反応はありません。データ転送速度の面で言えばUDPです。相手の状態を確認しないためSYNパケットやACKパケットの送受信が必要ありません。相手がデータを受信できる状況であればいきなりデータを送信できるUDPのほうが通信速度的に優れています。ですが最近ではインターネット回線の速度が劇的に向上しているため、TCP/IPでもそれなりに高速通信は可能になっています。

現状はどうか?

データのネットワーク上の扱いとしては現状ではOSI参照モデルよりもTCP/IPやUDPを意識したものが多いのが現状です。アプリケーションソフトウェア側で通信のエラー訂正や再送信要求を出したり、通信経路の設定をしたりデータを利用可能なデータ形式に変換したり、どの通信プロトコルを用いてデータ送受信をするかをすべて定義・実行できるからです。むしろデータ送受信のスピードや信頼性の確保のほうが実際の運用においては重要であるからでしょう。

ハブ・スイッチ・ルータの違い

ではここまでのお話を踏まえて、ネットワークハブとネットワークスイッチ・Wi-Fiルータの違いについてのお話をします。まずはネットワークハブですが、OSI参照モデルで言えば物理層に当たる装置です。物理層は読んで字のごとく物理的なものを司ります。例えば端末と通信装置(ONUやADSLモデムなど)の間に入れて電気信号を増幅したり、LANケーブルを物理的に接続したりする装置です。ネットワークに流れるパケットは基本的に電気信号で、光回線の場合はONUで光信号に変換しています。しかし、皆さんも小学1年生の理科の授業でやったと思いますが、乾電池から銅線を2cm離したものは豆電球が明るく点灯するのに対して、10cm離したものは少し暗く点灯するはずです。銅線が長くなるとその分電気が減衰するためです。電気信号を扱う以上ネットワーク上でも同じことが起こります。ネットワークハブはその電気信号を増幅することができます。しかしあくまで物理的なものを司るだけですので、複数台の端末から同時にインターネットを利用するなどはできません。

続いてネットワークスイッチです。一般的にはあまり馴染みがないと思います。家電量販店などではそもそもネットワークスイッチとして商品を扱うわけではありません。そして、先ほど説明したネットワークハブの高級品(ハブにしては値段が高いもの)にはスイッチの機能が内蔵されていて、俗にスイッチングハブという名前で売られていることもあります。OSI参照モデルではデータリンク層に当たるものです。データリンク層ではMACアドレスを見てデータをどの通信機器へ送るのかを判断しています。MACアドレスというのは端末に対してつけられている固有のネットワーク上のアドレスで、世界に一つしか存在していません。MACアドレスが振られるタイミングは工場で製品が製造されたときにROMに焼き付けられます。端末からサーバへデータを送信した際に、通信パケットにはMACアドレスのデータが入っています。スイッチはMACアドレスを読み取ってそのパケットを外部のネットワークへ出す必要があるパケットなのかどうかを判断します。例えば、PCが2台ありそれぞれが家庭用のネットワークに接続されているとします。そして端末Aから端末Bへ画像ファイルを転送するとします。この場合は端末Aと端末Bが同じネットワーク上にあるためスイッチはMACアドレスをパケットから読み込み、パケットにあったMACアドレスと同じMACアドレスをスイッチ自身が知っているかどうかを確認します。確認が取れた場合はその端末に対してデータを送信します。パケットのMACアドレスを見たけれどもスイッチ自身が知らないMACアドレスであれば他の通信機器(ルータなど)へデータを送信します。つまりわからないものはわかるものにパスするというわけですね。

Wi-Fiルータは家電量販店で販売されている際の商品の種類であり、昔はWi-Fiがまだなかったりあまり普及していなかったりしたため、ブロードバンドルータとも呼ばれていました。装置には背面を見ていただければわかるのですが、基本的にLANポートが4基とそれとは別に独立したLANケーブルを差し込む通信ポートが存在しています。LANとはローカルエリアネットワークの略でほとんどの場合は家庭内や小規模オフィスでLANケーブルやWi-Fiを使って接続されたネットワークのことをいいます。独立したポートにはWANと書かれていることが多いですが、WANとはワイドエリアネットワークの略で簡単に言うとインターネットのことになります。コンピュータ端末はLAN側にLANケーブルを差し込み、WAN側のポートには通信機器へのケーブルを(だいたいLANケーブルを使いますが)差し込みます。Wi-Fiルータにはネットワークハブやスイッチの機能が実装されていることが多いですね。

ルータはOSI参照モデルでいうとネットワーク層の装置です。通信パケットにはMACアドレスの他にIPアドレスが入っています。家庭用のルータには基本的にLANポート1基とWANポート1基がついています。ネットワークに接続する端末を増やしたい場合は別途ネットワークハブやスイッチを接続するのが普通なのですが、上記したとおりの理由で特にLANポートを追加する必要はありません。そしてスイッチではMACアドレスを見ていましたが、ルータではIPアドレスを見ることが可能になります。なぜかというとルータの司るネットワーク層ではIPアドレスを使って通信するからです。IPアドレスとは何かということですが、これはISPなどから振られるインターネットへ接続するときに使用する端末を識別するためのアドレスです。もともとネットワークはネットワーク上の特定のアドレスに対して情報を送受信します。つまり郵便と同じで住所不定の場合手紙が届かないのと同様にネットワーク上でアドレスが定まっていない場合は通信不可になります。IPアドレスは現在2種類存在しており、IPv4という形式とIPv6という形式になります。2021年現在ではIPv4からIPv6への過渡期ということで2種類存在してるわけです。そしてIPアドレスにはグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの2種類が存在しています。IPアドレスもMACアドレスと同じように基本的には世界に1つだけしか存在しません。ですが、グローバルIPアドレスを各端末に1つずつ振り分けていくと数が世界中の人口に対して圧倒的に足りなくなります。現在の社会は実に様々なものがインターネットに接続されていて、PCやゲーム機やスマホはもちろんのこと、最近ではエアコンやスマートテレビなどもあります。IPアドレスを振ることが可能な端末を一人が複数台持つのが当たり前なのです。しかしグローバルIPアドレスには数に限りがあります。現在はその数を増やすためにIPv6が策定されていて、今あるネットワーク機器やサーバ機器、各家庭や企業にあるネットワーク対応端末に振られるIPアドレスをネットワークを止めることなく移行させる作業の真っ最中というわけです。

しかし、その作業中にもグローバルIPアドレスを振ることができる端末の種類や台数はどんどん増えていきます。そこでグローバルIPアドレスに対してプライベートIPアドレスというものが存在します。まずグローバルIPアドレスをルータに対して振ります。DHCPという技術でISP側で現在未使用のIPアドレスをルータへ自動的に振ります。ルータの内部には簡単なCPUにフラッシュメモリ、そしてNATテーブルの3つが存在しています。フラッシュメモリ内にはISPから振られたグローバルIPアドレスがDHCPによって設定されます。ルータはこれでインターネット上にいる自分自身を確立します。そして自身がつながっている別のルータのアドレスを学習しフラッシュメモリに送信先として登録します。次に自身のLAN側に接続されている各端末のIPアドレスを確認し、IPアドレスがない場合はDHCPの機能を使って簡易的に各端末に対してIPアドレスを振ります。Wi-Fiルータはスイッチの機能も持っているのでMACアドレスも扱うことができます。

そしてルータはLAN側とWAN側に接続されたIPアドレスをそれぞれNATテーブルに格納します。NATとはグローバルIPアドレスをプライベートIPアドレスへ変換するための機能です。NATテーブルはそのIPアドレスを覚えておくためのものです。例えば端末に10.1.1.1というプライベートIPアドレスが振られていたとします。そしてその端末からインターネット上のウェブサーバに対して何らかのリクエストが飛んだとします。ルータは端末から通信の要求を受け取るとNATテーブルを使って10.1.1.1を192.168.0.1というアドレスに変換します。その後ウェブサーバまで要求が到達するとウェブサーバは要求された内容を192.168.0.1まで返信(リプライ)します。Wi-Fiルータはそのデータを受け取ると、NATテーブルを確認してどの端末からデータアクセス要求があったかを確認し該当端末へデータを送信します。ちなみに今回使用したIPアドレスはすべて例であり実在するIPアドレスではありません。

まとめ

今回はOSI参照モデルや通信プロトコル、ネットワークハブやネットワークスイッチ、ルータの機能の違いをお話しました。結構多めのボリュームでしたが一気に覚える必要はありません。ざっくりとこんなものだという感じで思っていただけたらと思います。ただ、専門的なお話をすることで扱っているデータの違いはだいたい把握いただけたかと思います、情報技術の資格試験には必ず出題されますので、受験を考えていらっしゃる方は頭の片隅にでも置いておいてください。では次回ですが、今回出た通信プロトコルのお話をしようかと思っています。通信プロトコルは結構多く存在していますが、通信プロトコルにも向き不向きが存在します。また現在のSNSなどは特に通信プロトコルを意識しなくても使用可能になっているものがほとんどですが、あえて意識してみることでどのような処理が行われているのかがわかりやすくなります。ご興味がありましたらまたお立ち寄りください。それでは失礼いたします。

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