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ストレージの容量をすべて使い切るとどうなるのか?

 おはようございます。またはこんにちは。もしくはこんばんわ。マゲっちSCと申します。2022年6月9日を迎えました。皆様いかがお過ごしでしょうか?6月も入ってから日本列島は梅雨のようなお天気になっていますが、実際に梅雨入りしているのは沖縄・奄美群島・関東・甲信となっており、いつどこの地域が梅雨入りするかはまったくわからないと言っていい状況ですね。傘を持って出た日は以て帰るのを忘れないようにしなければなりませんね。

 さて、前回のブログでは用途別にストレージのだいたいの必須容量をお話させていただきました。また、メインメモリが少ないとどういう事が起きるのか?ということで仮想メモリと代表的な方式がページングと呼ばれる技術であるということをお話させていただきました。
 メインメモリが足りないとだいたいどのソフトも動作が悪くなります。たくさんメインメモリを積めばいいのかというとそういうことでもないのですが、だいたい16GB~32GBほどあれば2022年6月現在では仮想メモリは基本的に発生しません。

ストレージの選定方法はどうしたらいいのか?

 では、今回のブログの本題に入っていきます。皆さんは補助記憶装置における記憶媒体を購入する際にどのあたりを確認されていらっしゃるでしょうか?おそらくですが最初に検討するのはSSDにするかHDDにするかという点でしょう。いわゆるシステムディスクにする場合はHDDよりはSSDの方がいいですね。しかしサブストレージにするならSSDかHDDかで悩まれると思います。手軽に持ち運べるUSBメモリも候補に入るかもしれません。
 次に気になるのが容量でしょうか。USBメモリの場合は基本的に低用量のものが多めですが、最近は2TBの製品もあるようですね。
 しかし、SSDやHDDに比べると非常に短命です。また、部分的なデータの欠損も起きる場合があり、あまり信頼性が高いとはいえません。それでも価格の割に容量は大きいため皆さんも2~3本程度はお持ちなのではないでしょうか?私も一応サブストレージやWindows10のISOメディア(インストールメディア)をUSBメモリで作っています。仮にUSBメモリが破損した場合のことを考えて、OneDrive(マイクロソフト社が提供するクラウドストレージサービス)にもバックアップを取っています。こうしておくことで必要なデータを安全に保存しておけますね。

 次に候補に上がるのがSSDになるかと思います。HDDと比較した場合に、データへのアクセス速度が速いという点が決め手になるのではないでしょうか?SSDの利点としてはその他にも省電力である点であるとか、動作音が静かである点、衝撃を与えても耐えられる耐久性コンピュータの動作が遅くなりにくいという点でしょう。
 しかしながらSSDが完全無欠なのか?というとそういうわけではありません。まず価格が高いです。フラッシュメモリという半導体を使用している以上これは避けて通ることができません。例えば1TBのHDDが買える金額を用意できたとします。その金額でもしSSDを買おうとするとSATA接続のものでは256GB、NVMe(PCIe接続)になると128GB程度ものしかなくなります。一昔前であれば128GBも選択対象になっていましたが、最低でも500GBが必須となりつつある2022年現在では、128GBのSSDはメインストレージとしては選択の対象外でしょう。256GBの場合はビジネス用途であれば問題はありませんゲーム用途やクリエイティブな作業を行う場合はオススメできる容量ではありません
 SSDの欠点は他にもあります。先ほどのお話は価格が高い割に容量が少ないという点でしたが、壊れる際に何の前兆現象もなくいきなり壊れます。ある日いきなり壊れるためPCトラブルに慣れていない方はどこが悪いのかがわからないはずです。ある程度知識や経験がある方はUEFI-BIOSを見てストレージにSSDが表示されているかどうかを確認しますが、それでももとに戻すのは結構難しいです。SSDが認識されているにも関わらずPCが起動しない場合はファイルシステムが壊れている可能性があるため、ISOファイルがあるUSBメモリなどでOSの基本的な機能だけを立ち上げて、ファイルシステムを復旧させられるかどうか試みます。しかし、それを行っても確実にシステムがもとに戻るかどうかはわかりません

 ではHDDはどうでしょうか?2022年現在ではHDDをメインストレージにすることはまずないでしょう。やはりアクセス速度の速いSSDに分があります。私も以前はSSDではなくHDDをメインストレージとして使用していましたが、一度SSDのアクセス速度を経験してしまうとHDDには戻れなくなります。他にもHDDはその構造上どうしても動作音が非常に大きくなります。またこれも構造上の問題なのですが衝撃に非常に弱いです。動作時の電力もSSDより大きいですね。
 しかしながら価格はSSDよりも安いため安価で大容量の保存領域を手に入れられますし、故障時は異音がするため
「あ、これはもうすぐ壊れるな」
という予測が立ちます。電源を切らずに必要なデータをバックアップしたあとで新しいHDDに入れ替えて、OSをインストールしたらバックアップデータを戻します。そうすることで以前の状態にすぐに戻すことができます。
 ですが最近ではビジネス用途のPCでもSSDを搭載することが多くなってきており、HDDは内臓でも外付けでもサブストレージとして文書・画像・動画・音楽などの保管庫としての使用が一般的になってきています。

ストレージの容量はすべて使うことができるのか?

 各ストレージのだいたいの長所短所がご理解いただけたところで次に気になるのはストレージの容量についてでしょう。まず皆さんが戸惑われるのはパッケージに書いてある容量と実際にコンピュータに取り付けた際の容量が違う点でしょうか?例えばパッケージには「500GB」と書かれていますがPCのシステムの情報を見ると実際には464GBしかありません。しかしこれはパッケージに書いてある容量がウソというわけではありません。パッケージに書かれている容量は正しい容量です。
 ここまでお読みいただいて混乱された方もいらっしゃるでしょう。両方とも正しい容量なのに数字が一致していないわけですから無理もありません。パッケージに書かれているのは人から見た容量です。つまり10進数で500と書かれているのです。
 しかし実際にSSDを扱うのはコンピュータです。コンピュータは人間と違い「10進数」ではなく「2進数」で扱います。2進数・10進数・16進数に関してはこちらで詳しく説明しておりますので、もしご興味がありましたら目を通してみてください。
 そしてコンピュータの内部ではbit(ビット)で処理をしています。が、データとして扱えるのは1バイトからです。1バイトは8bitのデータの塊です。
 人はこの「1バイト」を10進数として扱いますコンピュータは「2進数」で扱います。2進数は0と1だけしか扱えません。0→1ときてその次のデータがどうなるのか?と言うと次は「10」になります。つまり0→1→2→4→8→16→32→64→128・・・となっていきます。
 10進数では1000バイト集まると単位がかわり1KB(キロバイト)となります。しかし、2進数では1000バイトではなく1024バイトで1KBとなります。データの容量の単位はバイト→キロバイト→メガバイト→ギガバイト→テラバイトという順番に大きくなっていきます。そのためコンピュータ上では実際のパッケージに書かれている容量より少なくなるのです。

 前置きが少し長くなりましたが、では実際に容量いっぱいまでデータを入れてしまうとどうなるのでしょうか?最近のストレージはデータ容量がとんでもなく大きいため、いろいろなソフトやデータを入れてもストレージの容量いっぱいまで使い切ることは難しいと思います。
 私が大学生の時になりますが、初めて自分のPCを持つことができました。大学に入学したときに授業で使うため大学側が企業と提携してノートPCを全学生に配布していました。もちろんPC代金は入学金に含まれています。東芝のdynabookでWindows95のプリインストールモデルでした。当時のストレージはHDDとフロッピーディスクしかなく、まだDVDはおろかCD-RすらなくUSBもありませんでした。
 当時の私のノートPCに搭載されていたHDDの総容量は800MB(メガバイト)でした。今だと800MBは非常に低用量と言わざるをえないでしょう。CD-Rでも650MBや700MBありますし、DVD-ROMに至っては1枚で4.7GBです。そのため高精細な画像や動画・ゲームなどをHDDに入れてしまうとすぐに容量いっぱいになってしまうため、いろいろと気遣って
「これを入れるならこのデータはフロッピーディスクに移動させないと」
とか、
「このソフトはもう使わないから削除しよう」
とか、できるだけHDDを使用しないようにしていました。しかし初めてのPCということと、いろいろ試したいソフトなどがあり、画像ファイルも壁紙などに使うため保存していた結果、ある日とうとうHDDの容量限界に到達してしまいました。つまり800MB全部がソフトや何らかのデータですべて埋まってしまったのです。
 それに気づいたのはPCからの警告文で
「これ以上保存できません」
という旨のメッセージでした。
「あれ?」
と思ってノートPCのプロパティを開いて表示された結果に私は愕然としてしまいました。
 皆さんも試してみていただきたいのですが、Windows10または11の環境では「スタートボタン→エクスプローラ」をクリックするとウィンドウが開きます。そのウィンドウの左端にナビゲーションウィンドウがあります。ない場合は表示メニュー内にあるナビゲーションウィンドウをクリックすると表示されます。ナビゲーションウィンドウ内にある「PC」をクリックすると皆さんのPCの状態を見ることができます。クリックする際にPCの左隣にある矢印をクリックしないように気をつけてください。
 デバイスとドライブという欄に現在皆さんのPCが認識しているストレージがすべて出てきます。ゲージが表示されており、青い部分が現在何らかのソフトやデータで使用している領域です。残りの白い部分が空き領域です。私はこのゲージをすべて青にしてしまったというわけです。
 そしてHDDが正常であるにも関わらずすべてが使用されているという情報が出ました(先ほどお話したゲージの説明ですね)。総容量の数字を見ると「0バイト」と表示されてます。空き容量が0バイトならまだわかるのですが、本来「800MB」と表示されなければならないところが「0バイト」と表示されていたのです。
 私は当時PC超初心者でした。なのでろくに大学のPC管理部の方にも相談せず再起動をした結果PCが起動しなくなりました。ストレージの空き容量を全部使い切ったことでPCから異常なディスク扱いを受けてしまったわけです。

なぜ私のPCは起動しなくなったのか?

 ストレージそのものは正常であるのに私のPCは空き容量をすべて消費してしまったことで、コンピュータ・システムから「システムディスクが異常である」との判定を受けてしまいました。OSはあれからかなり進歩しましたが現在でも同じような状況になるはずです。
 なぜそんな事態になってしまったのか?ということですが、コンピュータ・システム上で動作するソフトはすべて「動作に必要な空き領域がある」
ということを私は当時まったく知らなかったのです。前回のブログでは仮想メモリのお話をしました。メインメモリの領域が足りなくなったときにストレージに仮想的なメインメモリを作るというお話でしたね。
 それに追加して各ソフトが動く際にソフトの規模によってはテンポラリファイルが作成される場合があるのです。テンポラリファイルと言うのは一時ファイルとも呼ばれていて、作業中のデータを一時的に保管するために仮に作成されるファイルです。例えば途中でソフトが異常終了してもテンポラリファイルが残っていれば、そこからある程度は作業の状態を復旧させることができる場合があります。しかし永続的に残るファイルではないため、自動的に削除されることが多いです。
 仮想メモリの他にこのように一時ファイルを作る場合があるため、ストレージの容量いっぱいまでデータを入れてしまうと最悪OS自体立ち上がらなくなってしまうのです。Windowsの一時ファイルは比較的長く保存されているようです。Windows10・11の一時ファイルは「スタートボタンを右クリック→ファイル名を指定して実行」をクリックしてダイアログボックスを出し、「名前」の欄に「temp」と入れるとWindowsの一時ファイルが入っているフォルダ内を見ることができます。もちろん一時ファイルなので使用していない場合が多く削除しても問題はありません
 他のソフトも空き容量がないと動作が遅くなったり快適さを感じることができなくなります。いわゆる「重たい」と感じる状態ですね。これはソフトの推奨環境を満たしていても起こります。特にゲームソフトや動画編集ソフトなどの大量のデータを扱うソフトは作業内容を覚える量が増えるため、必要な空き容量も大きくなる傾向があります。
 

ストレージの空き容量を増やすにはどうしたらいいのか?

 では、ストレージの空き容量を増やすためにはどうしたらいいのでしょうか?前提としてストレージはSSD、HDD、USBメモリなどすべてが対象です。システムディスクとして使用していなくてもすべて埋まれば中のデータにアクセスすることはできません
 まず空き容量を増やす手っ取り早い方法は使わないファイルやデータを削除することです。皆さんがご自身で作られたデータであればどのファイルを削除すればいいかがわかるはずです。最悪ファイルを開けば中が見られるものが多いはずなのでそれで判別ができますね。
 システムディスクの場合は使用していないソフトをアンインストールします。OSにバンドルされているソフトや購入時に入っていたソフトも不要なものはすべてアンインストールします。例えば家計簿ソフトを使っているけれども同じようなソフトが2~3本入っている場合は使いやすいものを残してあとはアンインストールしましょう。個人で判断がつかないソフトはネットで検索してみて、不要であればアンインストールします。
 次にシステムディスクに何らかのデータが保存されている場合は、USBメモリや内臓HDD・外付けHDDなどのサブストレージにデータをできる限り移動させます。コピーではなく移動です。Windowsの場合はCドライブはシステムディスクですが、それ以外のストレージはサブストレージ扱いになります。お手元にサブストレージになる記憶媒体がなければインターネット接続が可能という条件は付きますが、マイクロソフトアカウントを作成してOneDriveというマイクロソフトが無料で提供しているオンライン上のストレージへデータを移動させます。
 これはWindows限定のお話になってしまうのですが、「復元ポイント」を最新のもの以外を残して削除します。やり方はエクスプローラを開き、ナビゲーションウィンドウからPCを選択します。デバイスとドライブの中にCドライブがあるのでそれをクリックします。Windows10の場合は「管理タブ」をクリックします。メニューに「クリーンアップ」があるのでそれをクリックします。間違えてフォーマットをクリックしないように気をつけてください。
 Windows11の場合はCドライブを選択するところまでは同じです。Cドライブが選択されている状態でメニューバーの「・・・」をクリックするとその中にクリーンアップがあるのでそれをクリックします。クリーンアップがない場合はCドライブが選択されていません。ダイアログボックスが出たら「システムファイルをクリーンアップ」というボタンをクリックします。再度容量計算がされたあと新たにダイアログボックスが表示されます。「その他のオプション」タブをクリックして画面が切り替わったら、「システムの復元とシャドウコピー」の枠内にある「クリーンアップ」ボタンをクリクします。別のダイアログボックスが表示されるので「削除」ボタンをクリックします。もとのダイアログボックス内の「OK」ボタンをクリックすると最新の復元ポイントを残した状態で過去の復元ポイントをすべて削除します。
 復元ポイントはご自身で作ることも可能ですが、WindowsUpdateや一部のソフトをインストールした際にも自動で作成されることがあります。そのため身に覚えがなくても実はいくつか作成されていることがあります。この作業を行うことで人によりますが結構な空き容量が生まれます。私の場合はこの作業を行った結果約3GBほど空き容量が増えました。
 ただし、お気をつけいただきたいのが最新の復元ポイントよりも前のものには戻れないという点です。例えば「5月30日」と「6月1日」に復元ポイントを作成した状態で復元ポイントのクリーンアップを行った場合、残る復元ポイントは「6月1日」のみになります。つまり「5月30日」の状態には戻せなくなります。そのため頻繁にクリーンアップを行うのではなくだいたい2~3ヶ月に1回の割合で復元ポイントのクリーンアップを行うのがいいでしょう。

まとめ

 このようにストレージに空き容量がないとソフトの動作推奨環境を満たしていたとしても快適に動作しないことがあります。ビジネスソフトやユーティリティソフトは空き容量が少なくてもすみますが、ゲームや動画編集ソフトなどの様々なデータを大量に使用するものはそれなりに空き容量が必要になります。
 なぜ空き容量が必要なのか?というと各ソフトが動作する際に一時ファイルを作る必要があるからです。また、すべての領域を使用してしまうとコンピュータ・システムから「異常なディスク」と判別されてしまい、最悪コンピュータが起動しなくなります。
 ディスクがいっぱいにならないようにするために不要なデータやソフトは削除したり別のストレージに移動させます。お手元にサブストレージがない場合はオンライン上のストレージにデータを移動させましょう。空き容量はソフトによって違いますが、だいたい100~150GBほど空けておけばほとんどのソフトは快適に動作します。
 それでは次回ですが、グラフィックボードのお話をしようかと思っています。昨今マイニングで大活躍のグラフィックボードですがもともとはゲームのためのものです。また動画編集時にもハードウェアエンコードの場合はその計算能力を発揮します。が、そもそもなぜグラフィックボードは必要なのでしょうか?ご興味がありましたらまたお立ち寄りください。それでは失礼いたします。

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