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PCの初期設定は誰がやるべきか?

 おはようございます。またはこんにちは。もしくはこんばんわ。マゲっちSCと申します。2022年も6月を迎えました。上半期最後の月ですね。また夏も近づいてきており、暑い日も増えてきました。もう梅雨を通り越している感じが拭えませんが、皆様いかがお過ごしでしょうか?熱中症帽子のために水分と塩分を意識的に取るようにしていきましょう。
 前回のブログでは、ゲーミングPCにはどの程度のマザーボードが必要なのかというお話をさせていただきました。マザーボードまで意識してPCを購入することはほぼないと思います。自作する場合はまた別ですが、すでに製品として出来上がっているPCの場合は特に意識しなくても問題はありませんが、知っておいて損はありませんね。

PC購入時に気をつけることとはなにか?

 これはゲーミングPCでもビジネス用途のPCでも同じなのですが、
「PCの初期設定はいかがなさいますか?」
PC購入経験者であればこの言葉を店員さんから言われたことがあると思います。家電量販店やPCショップによってはサービスでしてくれるところもあると思いますが、大抵のお店ではオプション扱いとなっているところが多いはずです。PC販売店(家電量販店でもPC専門店でも)製品として売られているPCにはすでにOSがインストールされていて、その他必要(と思われる)ソフトもいくつかインストールされています。どんなソフトがインストールされているかとか、どのくらいのソフト数なのかはメーカーによって変わってきます。BTOパソコンの場合ほとんどがゲーミングPCになりますが、ゲーミングPCの場合は必要なソフトはOS以外はすべて自分でインストールすることが前提になっている傾向があります。中にはSteamインストール済みのモデルを販売しているところもありますが、基本的にはソフトを自分でインストールするという形式が多いはずです。
 しかし、OSがインストールされているとはいえ、すでに使用可能な状態になっているかというと実は「いいえ」ということになります。
 よく店頭で見かける展示用のPCは初期設定が終了しているため、デスクトップ画面が表示されています。
 一応補足させていただきますが、デスクトップ画面とはデスクトップ型PCの画面という意味ではなく、PCにサインインした際に最初に表示されるアイコンが並んでいたり、設定した壁紙が表示されている画面のことです。ノートPCでもサインインした直後に表示される画面はデスクトップ画面といいます。
 少し話がそれましたが、デスクトップ画面が表示されるということは初期設定済みということです。自作PCの場合はOSインストール時に同時に初期設定も済ませるためあまり意識することは少ないのですが、家電量販店やPC専門店などでOSインストール済みのPCを購入した場合、OSはインストール済みでも初期設定が終わっていない状態で手渡されます。
 そこで先ほどの一言として
「PCの初期設定はどうされますか?」
と聞かれるというわけです。もちろんお店側も営利団体ですから売上を出す必要があります。そしてほとんどの店舗が先程申し上げたとおりオプションとしてPC初期設定を扱っています。

PC初期設定の内容と価格帯とは?

 では、PC初期設定はどのような内容が含まれるのでしょうか?ネットで調べてみました。
・地域設定
・キーボードレイアウト設定
・Windowsの使用許諾契約
・マイクロソフトアカウントの設定
・PIN設定
・ウィルス対策設定
・リカバリディスク作成
・WindowsUpdate
8個ほど候補を上げてみましたが、だいたいどの店舗でも店舗側でできることはこのくらいだと思います。
 次に出張サービスです。実は上記した8個の中にはインターネットに関する設定が入っていません。なぜなのか?ということですが、どのご家庭がどのインターネット業者と契約しているかは店舗側ではわかりませんし、インターネット接続設定を行うにはISP(インターネットサービスプロバイダ)の出した設定事項が記入されている書類が必要になります。また、実回線も必要になりますので店舗での設定は不可能です。そのためご自宅への出張サービスとなるのです。では、出張サービスの場合はどのようなことをしてもらえるのでしょうか?
・PC初期設定とネット接続
・Wi-Fi設定
・周辺機器の接続と設定
・セキュリティ設定
PC初期設定はすでにお話したとおり、実店舗でしてもらえる8個の設定のことです。そして出張料金が別途必ずかかります。古いPCをお持ちの場合新しいPCにデータを移行する事もできるようですが、ここは要相談ということになるでしょう。
 また初期設定は店舗以外にもPCメーカーが独自に行っているものもあります。
 価格帯は店舗やPCメーカーによってまちまちですが、だいたい2~3万円前後となっています。
 例えばノートPCを購入した場合、本体価格が15万円くらいだとすると、初期設定代でだいたい2万5000円くらい、マウス代でだいたい2000円くらい、セキュリティソフト代で1万2000円くらい、リカバリディスク用のUSBメモリ代がだいたい1000円くらいです。合計するとだいたい18万8000円くらいになりますが、場合によっては19万円くらいになるでしょう。リカバリディスクは以前はDVD-ROMがついていたりストレージ内にリカバリデータが入っていたのですが、最近は購入後にユーザ側でUSBメモリに作成するのが一般的です。

初期設定の難易度とはどの程度か?そして価格に見合うものか?

 では実際の作業内容の難易度と価格帯はそれに見合うものなのでしょうか?PC初心者の方はおそらくですがどれも難しそうに見えるかもしれません。しかし本当にそうなのかをこれから紐解いていきます。今回はWindows10または11を例に取っていきます。
・地域設定
 まず地域設定です。これは何かというとPCで使用する言語やキーボードレイアウト、時計の標準時の取得に関わってきます。日本の場合はOSが日本語の場合がほとんどのはずなので最初から日本が選ばれているはずです。

・キーボードのレイアウト設定
 これはキーボードの種類の設定です。ほとんどの方は日本語キーボードをお使いのはずなので設定を変更する必要はありません。日本語キーボードを使っていた方が英語キーボードに変更する場合や、日本語キーボードを使っているのに間違えて英語キーボードのキーマップを適用してしまった場合に設定を変更するときに使用します。

・Windowsの使用許諾契約
 使用許諾契約と聞くと、思わず身構えてしまいそうになりますが、いわゆるライセンス認証のことです。ライセンスはPC購入時にもらうことができる25文字のコードのことです。このライセンスコードを入れなくても普通に使用することは可能ですが、一部の機能が制限されたりWindowsUpdateでのセキュリティ対策ができない場合などがあるため入力する必要があります。基本的に1回入力すれば終了です。

・マイクロソフトアカウントの設定
 マイクロソフトアカウントを作成することで、マイクロソフト側で用意されているサービスを使用することができるようになります。アカウントとはIDとパスワードのセットのことです。
 IDにはメールアドレスを使用しますが、ほとんどの方はプライベートでのメールアドレスをお持ちのはずですし、なかったとしても簡単に新規作成できます。Windows10では任意での作成でしたが、Windows11では初期設定する際に必ず必要になりました。マイクロソフトアカウントは無料でどなたでも作成が可能です。が、マイクロソフト側のサービスをまったく使わないとか、スマホを同期させない場合などは事実上不要です。なくても問題はありません。
 
・PIN設定
 PINとはなにか?ということですが、簡単に言うとパスワードみたいなものです。「みたいなもの」というのは厳密にはパスワードとは違うからです。パスワードはサーバに記録するため設定したPCやスマホ以外からも使用できます。つまりパスワードが流出すると誰でもあなたのアカウントに入れる可能性が高まるわけです。IDと一緒に流出した場合は確実にアカウントを乗っ取られてしまいます
 一方PINの場合はお手元のPCやスマホにコードを保存するためPINが流出しても、PCやスマホごと取られない限りは安全が保証されます。
 設定方法はどちらも同じなのでアカウント作成経験がある方であれば誰でも簡単にできます。

・ウィルス対策設定
 一見難しそうに思われるかもしれませんが、ウィルス対策用のソフトを購入し、それをインストールするだけです。その後インターネットに接続して最新版にする必要はありますが、それほど手間ではありません。インストールもインストールウィザードに同意していくだけなので非常に簡単です。

・リカバリディスク作成
 Windows10や11では「回復ドライブ」と言われているものです。何に使うのかというとPCの調子が悪いときに工場出荷時の状態に戻すために使います。ただ、ほとんどの場合は「システムの復元」でもとに戻ることが多いので必須ではありません。あればいいよねというレベルのものです。自作PCでもない限りはおそらくほとんどの方が修理に出されると思いますので必須というわけではありません。なお、いつでも作ることができるので無理にUSBメモリを購入してまで作成する必要はありません。

・WindowsUpdate
 Windowsを最新版に更新する作業です。ライセンス認証が正常に終了していれば、現時点で発表されているすべてのセキュリティ対策用のパッチや新機能が追加されますパッチというのは修正プログラムのことです。機能に不具合(バグ)やセキュリティ上の問題(セキュリティホール)があった場合にそれらを潰すために配布されます。これは1度行ったら終了というわけではなく定期的に行う必要があります。また、このサービスを受けるためにはPCがインターネットに接続されている必要があります

・インターネット接続設定
 ここからは出張サービスの内容です。インターネット接続設定はISPから皆さんのご家庭に届いているISPの情報やアカウントを設定して文字通りインターネットに接続するための設定を行います。基本的に光回線の場合や、ADSLでも複数のPCを同時にインターネットに接続する場合は別途ルータを購入しなければなりません。しかし、ISPによってはルータを貸し出しているところもあります。ルータの貸し出しサービスを受けている場合、ISPの方で最初からルータの設定を行っている場合があり、あとはLANケーブルやWi-Fiの認証をしてしまえば簡単につながる場合があります。
 また、光回線の場合は必ず宅内工事(光ファイバー引き込み作業)が必須になります。そのときにお手持ちのルータにPCやスマホを通じて無料で設定してもらえる可能性があるので(工事担当者と要相談)、設定時にどのデータをどこに入れればいいかがわからない場合でも問題ありません。ほとんどの場合は冊子にどの情報をどこに入れるかが書かれているため迷うことはほぼないはずです。
・Wi-Fi設定
 ほとんどの場合はOS側でWi-FiがONになっているはずです。OFFになっている場合はネットワークの設定からWi-FiをONに変更します。あとはルータ側にある「SSID」を入力してパスワードを入力します。ほとんどの場合はSSIDの下にパスワードが記述されています大文字小文字は区別されるので間違えないようにそのまま入力します。また、プライマリとセカンダリがそれぞれ記述されているはずですが、問題がない限りはプライマリ側を入力します。Wi-Fiは基本的にノートPCやスマホについています。最近ではデスクトップ型PCにもついている場合がありますが、古いデスクトップ型PCの場合はWi-Fiがついていません。ネットワークの設定を見てWi-Fiの項目がなければWi-Fiの機能は使用できません
・周辺機器の接続と設定
 周辺機器というのはモニター・スピーカーはもちろんのこと、プリンタやゲームパッドなどHDMIやディスプレイポート、USBで接続するPC以外のデバイス(装置・機器)のことです。最近はOS側にデバイスドライバが組み込まれているため、ほとんどの機器はUSBなどで接続したあと自動的にOS側で該当するドライバが検索されインストールされます。また、ほとんどの機器は「プラグアンドプレイ」に対応しています。つまりPCの電源が入った状態でUSB機器などを差し込んでもちゃんと自動で認識・動作するようになります。
・セキュリティ設定
 ほとんどの場合セキュリティ対策ソフトのインストールと更新作業になります。もともとOS側にファイアウォールという機能が入っていて、こちらが何もしなくても最初からセキュリティ対策はできている状態と言っても過言ではないのです。また、Windowsには最初から「WindowsDefender」というウィルス対策ソフトと同じ機能がついています。この機能はウィルス対策ソフトをインストールしなければ最初から働くようになっています。ウィルス対策ソフトをインストールするとWindowsDefenderは自動的に停止します。
 WindowsDefenderもウィルス対策ソフトもパターンファイル(ウィルスの情報ファイル)を更新する必要があるのは同じですが、ウィルス対策ソフトを別途入れた場合ソフトによってはPCの動作が重たくなる場合があります
 各種ソフトやドライバに関しても定期的に更新作業を行うため、OSと同じく何度も更新作業を行う必要があります。

OSの初期設定は本当に依頼する必要があるのか?

 少々長くなりましたのでここまでの状況を改めて整理してみたいと思います。
・地域設定:日本語版OSの場合もともと日本に設定済みのため設定不要

・キーボードレイアウト設定:日本語版OSの場合もともと日本語キーボードのレイアウト(キーマップ)になっているため設定不要

・マイクロソフトアカウントの設定
 マイクロソフト側のサービスを利用しなければ不要。必要に応じていつでも作成・設定が可能。Windows11を再インストールする際に必要ではあるが、インターネットに接続しなければ(LANケーブルを抜く・Wi-Fiを無効にするなど)なくてもインストール可能。

・PIN設定
 PCを自分以外誰も使用しない場合は設定する必要なし。必要に応じて後から設定可能

・ウィルス対策設定
 ウィルス対策ソフトは必須ではない。ウィルス対策ソフトを入れなければWindowsDefenderが最初からONになっている(一応、設定→プライバシーとセキュリティ→Windowsセキュリティを開いてウィルスと驚異の防止にチェックが入っているか確認してください)。

・リカバリディスク作成
 ほとんどの場合はシステムの復元で調子が良かったときに戻せる場合が多い。自作PCでもない限りは修理に出すという選択肢を選ぶことが多いはずなので「あれば安心できる」程度のもの。リカバリできなければ修理へ。

・WindowsUpdate
 店頭購入時でなくてもインターネットに接続できる環境があればいつでも可能。また、1度やって終わりではなく何度も行うもの。WindowsDefender使用時はパターンファイルがWindowsUpdateで配布されるため2時間に1回は行うことになる。

・インターネット接続
 ほとんどの場合はISPからの書面を読めば誰でも問題なく設定できる難易度ISPによってはレンタルされるルータに最初から設定が入っている場合もある。LANケーブルやWi-Fiでルータに接続すれば自動的にインターネットに接続可能になる。

・Wi-Fi設定
 Wi-Fiに対応したルータの場合は本体にSSIDとパスワードが書かれているため、そのプライマリ側のものを入力すれば接続できる。

・周辺機器の接続と設定
 ほとんどの場合はUSBなどでPCと周辺機器を接続するだけ。デバイスドライバはOS側に入っていて、周辺機器を認識すると自動的に合うドライバを検索・インストールする。

・セキュリティ設定
 OSに関しては行う必要なし(確認は必要)。各種ソフトやドライバに関しても定期的に更新作業を行うだけ。

 いかがでしょうか?冒頭で約2~3万円ほどかかるとお話しましたが、それに見合うだけの価値があるでしょうか?所要時間としては初めて行うとしても長く見積もってだいたい1時間~1時間半程度です。また、ノートPCの場合はマウスは購入したほうが操作性が良くなっていいのですが、セキュリティ対策ソフトやリカバリディスク用のUSBメモリは必須ではない、ということがおわかりいただけたかと思います。
 店頭でできる設定でもだいたい30分くらいで終わります。いかがでしょうか?今までPC購入時に店頭で初期設定をお願いされている方からすると、いかに損をされていたかがおわかりいただけたかと思います。

まとめ


 しかし、これらの設定を断ると
「初期設定を間違うととんでもないことになりますよ」
と脅しをかけてくる店員さんもいらっしゃるようです。とんでもないことというのはセットアップに1日時間が掛かるとか、一度間違うと変更ができないとか、最近のPCは設定が難しいとか、そういうことですね。
 ですが、ここまで読まれた皆さんはこれらのセリフがすべてウソであるということがすでにご理解いただけているはずです。PCの設定は必要に応じていつでも変更できます。設定内容もインターネットで検索すればスマホ片手に簡単にできます。皆さんも次回PCを購入する際は店員さんの言うことに惑わされて損をなさらないようにお気をつけください。
 では次回ですが、ストレージのお話をします。そして仮想メモリのお話もします。少しむずかしいお話になるかもしれませんが、ストレージの扱い方の注意が中心となる予定です。ご興味がありましたらまたお立ち寄りください。それでは失礼いたします。

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