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2024年のBEVはどうなる?

BEV(バッテリー電気自動車)市場は今後どうなるだろうか?「2030年にはエンジン搭載車の販売を終了しBEV専業になる」と言っていたメルセデスベンツは、2月の決算記者会見でこれを撤回した。この流れは今後も広がりそうだ。ホンダも含めて「◯年までに電動車だけにする」と宣言したOEM(自動車メーカー)各社は、おそらく年内に「もっと現実的な路線に変更する」「BEV専業への転換はしばらく様子を見る」と言い出すだろう。理由はBEV市場の冷え込みだ。欧州は景気が悪く、中国も景気は急減速。アメリカもムードとしては怪しい。となるとBEVは昨年ほどには売れなくなるのだろうか…。

 <評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通
F=某商社の商社マン


中華BEVは信頼できるか


 エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 昨年の世界ECV(エレクトリカリー・チャージャブル・ビークル=外部充電車)市場はBEVが1030万台、PHEV(プラグイン・ハイブリッド車)が420万台程度だと言われている。合計1450万台が「外部から充電できるクルマ」だった。では、今年はどうなるのか。いちばん新しい動きから予想してみたい。で、ゲストを呼んだ。この評価会議には以前に2回出席してもらった某総合商社の商社マンFさんだ。今回も情報をいろいろと持ってきてくれた。
自動車業界の事情通(以下=通) さっそく聞きたいことがある。日本には中国から安価な小型BEVを仕入れたい人たちがいて、物流会社を抱き込んでいろいろと動いていたが、あの話はどうなったのだろうか。
某商社の商社マン(以下=F) 何となくそういう話はなかったことになりそうです。たとえばデパートから配送を請け負う大手の丸和運輸機関は、FOMM製の改造キットを使ってスズキ・エブリイのガソリン車をBEVに改造する方法に転換しました。以前は中国製BEV商用車を輸入しようとしていましたが、改造BEVに切り替えるようです。ソフトバンク系の会社も改造BEVを使うようです。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) 日経新聞にその記事が載っていましたね。丸和運輸機関はアマゾンジャパンの配送では最大のデリバリー・プロバイダーです。FOMMは元スズキのエンジニアが興したR&D型のモビリティメーカーで、FOMM製の「エブリイ改造キット」は信頼性があります。改造車検も簡単に通ると聞いています。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) ICV(内燃機関搭載車)で壊れるのはエンジンと変速機だからね。得体の知れない中国製BEVを輸入するより、FOMM製のほうがずっとマシだと思う。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) その日経新聞の記事には、「荷主企業から脱炭素の要請が高まっている」と書いてあった。アマゾンが「CO2を出さないBEVで配送してほしい」と言っているのだろうか。

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