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『ざ・総括。』BMW・i5

オススメ度 評価せず(参考★★☆☆☆)

政治が買い物を強制した

前号で試乗したG60型BMW・5シリーズセダンは、900万円という車両価格のため「★評価はあくまで参考」としていたが本誌評価陣は★4つを与えた。その5シリーズと同じ車両骨格を使う今回のi5は、完全電動仕様のBEV(バッテリー電気自動車)で、G60型の5/7シリーズやi7と同じCLAR(クラスター・アーキテクチャー)Ⅱプラットフォームの最新版を使い、使われている部品やユニットは電池などの電動駆動系も含めて違いがあるものの、乗り味はそれ以上に「まったく違う」という。やはり重さが最大の難点だったようだ。

<評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通

ICE車と違う乗り味


エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) BMW・5シリーズのBEVだ。ICE(内燃機関)搭載の5シリーズには先月号で試乗してもらった。ドイツ車にはもう、かつての乗り味の良さはないと思っていたが、BMWは踏みとどまっていた。そこを確認できたのは収穫だった。で、今回は同じボディの車室内床面に電池を敷き詰めたBEVを作るとどうなるかを、みなさんにi5で味わってもらった。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) みなさんに乗ってもらったのはi5「M60 xDrive」の右ハンドルだ。前後軸を別べつの電動モーターで駆動するAWD(オール・ホイール・ドライブ=4WDと同義語)で、ほかのi5は電動モーター横置きで減速ギヤを介した直接駆動だからRR(リアエンジン・リアドライブ)だ。このxDriveは、前後軸は機械的にはつながっていない。完全な独立制御だ。車両価格は標準で1560万円。試乗車は某企業の社有車で、オプションにどれくらいお金を払っているのかは分からない。
自動車業界の事情通(以下=通) 社用車をBEVにする企業は「ウチは環境に配慮しています」とアピールしたいのだろうか。欧州ではカンパニーカー(会社が従業員に無償で貸し与えるクルマ)でBEVが嫌われ始めたと聞いた。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) カンパニーカーは通常リースで借りますが、BEVは電池のトラブルが多いし、故障したときの修理代もICE車より割高なので、リース料率が高くなりました。それと、リース期間が終わってリース会社に車両が戻されるケースが増えてきました。リース料が高いため再リース契約にはならないそうです。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) 日本でもテスラの再リース率がかなり下がったらしい。それが健全だと思うよ。BEVは珍しいから一度は乗ってみたい。で、一度乗ったからもういいや、次はまたICE車にしよう。そういう考えはクルマ選びとしては健全だし、BEVもICE車も同列に扱われているという証拠でもある。

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