ベンチャー企業の稚拙な広報文を添削する(20181120)

さすがに話が古過ぎるので前注

・VT企業が『演者志望の声優をわざわざオーディション外でスカウトしたくせに動画製作業務ばっか手伝わせて一向にデビューさせない』的な内情暴露されて発火、さらにそれに対応して出したプレスリリースがあんまりにも酷くて完全に炎上、という事件
・そして、どうみても若い娘さんしか集めてなかったけどマガモは半分はマジメに当時のオーディションに参戦真っ最中
・問題の広報文自体は割愛 (まあ探せば出てくるっしょ)

本題(当時のツイート)

僕は火中の栗大好物マンなので、例の広報文をごく一部『赤ペン先生』してみます。事態そのものの批評・断罪ではありませんよ(2期受かる気はべつに捨ててませんので)、「アップランド側が無謬なのだと仮定しても文章表現的にダメ」な箇所を指摘するという趣旨です。

まず各所に散らばってる『A子B子の個性称賛風dis』なんて全部切れ、と言いたい。そんな魂胆は正に"フラット"な読み手にはすぐ露呈するもので逆効果しかない、特にそれを初っ端から(3行目)やらかしたせいで文章全体の信用度に相当なマイナス補正かかってます

どーしてもそういうの入れ込みたいなら、後ろの方の謝罪パートのみに集約して「お二人のカクカクシカジカな個性は採用担当も高く評価していたもので、このような成り行きでその才能を失うことは弊社としても痛恨です」的に丸めるもんですよ!

後はなにより、「当方は一貫して誠意もってやってきましたが…」というのを散漫に羅列していった挙句の「『諸事情』によりすぐにリリースするか迷ってる」が、もう腰が抜けるレベルに酷い……(そもそもそんな文面を送りつけたのもだし、何より得々とその下りを引用・画像掲示してるのが)

だって、この文脈でいう『諸事情』って「内輪の問題だからお前らに説明する気ねーけど、呑めよ!」という威圧にしかならんのですよ、しかも当初の"お前ら"はもちろんA子B子として、今となっては読み手に対して。こんな文章公開するなら唯一念入りに釈明すべき要素こそを放置しちゃっている。

「該当のやりとりの時期は既存メンバーの活動に注力せざるを得ない(←ほんとはもっと具体的に書く)内情が当社にあり、それをつい『諸事情』と曖昧にお伝えしたことでお二人にはあらぬ疑念を抱かせてしまったのかも云々」
な取って付け感でも、誠意アピールとしては本文よりは格段にマシでしょうね。

他、大抵の人がお思いになる「全般にもっと淡々と書け」レベルは言及してると切りがないので、僕の知見において特にマズいなあと感じられたこの2点だけにしておきますが。

さても問題はそれらがマズくなってるのは実際そこに非があって取り繕い切れないのか、あるいは本来痛くもない腹なのに執筆した方が単純に文章ベタすぎたのか……僕としては後者であった上でつつがなくオーディション実施され、そして当然に選出していただきたいだけですね。

確か翌日、今度は『謝罪文』が発表される

「例の長文からヘタな印象操作目的の文言を切る」だけでも実にこの程度には体裁は整う、これは僕が先だって指弾した通りですね(しかしこれはドヤるようなことでもなく例えば士業の方ぐらいならよほどボンクラじゃなきゃ誰でも同じ感覚でしょう)

これを最初っから出しておけよ……というのはまた皆さま大方の常識的感性だろうでともかく、僕の前回からの変わらぬ懸念は「ア社の意思決定層のどなたかが【A子】との最終DMを『我が方に非がない事の物証』と認識しているらしいこと」に尽きます。

本当にギリギリにキツく書きますけど、【相手の行動に多大な影響が出るような自分(自社)都合を『諸事情により』の一語でごまかす】なんて所業は、
非がないのではなく誠意がない、というだけです。

友達付き合いですら、複数人で出かける前日にただの1人が「諸事情で遅れる、適当に現地合流するわ」は「仕方ないね」だろうけど、全員分の入場券持ってるヤツが「諸事情で遅れる、みんな入り口で待ってて」とだけ連絡してきたらそりゃ即フルツッコミですよね?

なんとなれば『諸事情』なる表現は説明放棄であり、他者の納得感が明らかに不要な些事ならともかくそうでない状況で迂闊に使おうものなら「まずはちゃんと中身言えや、それでこっちが納得するかしないかはその後!」となるわけです、親しき仲なら。

そんな気安さはないばかりか両者の立場に当然差があるとみなされる本件、しかも『ブラック○○』『○○ハラ』的ワードが乱舞しがちな昨今あの画像が一般にどういう感情を喚起するものか、ア社の上の方の方は本当に今一度賢明に再判断して頂きたい。

返す刀で言うと、相手方の「かしこまりました。~」は特にこんな事態に至ってしまっては『そうとでも返答しなければそれを口実に即破談にされる恐怖を感じた』的な解釈の幅を作れるもので、『有効な言質』なんかにはまるでなってないです、ほぼ全てのレイヤーで。

ですから今からでも、あのやりとりを抽出し「オレら全くミスってないよね?」方向ではなくむしろ「この部分こそが手落ちでした」と非を認め、更にやりとり当時の『諸事情』の内実を改めて開示するのが、結局傷が一番浅く済むと考えます。

単に当時としては外部に漏らしたくない情報だったとしてもこんな状況下ですら明かせないことはよほどなかろうし、先日書いた通り最低「人手足らんかった/現メンバー優先したかった」程度のしょうもなさですら、それはそれで既存ファン層繋ぎ留め効果ぐらいはあるでしょう(世間の反応は…)。

「匿名者の『言い得』は許したくない」って特に今様の企業感情としては分かりますけど本件でそのメッセージを発信できるのは『愚痴を聞いただけの輩が2人に無許可で漫画作成・公開、かつ今後A子B子を円満に登用成功』という細すぎる道においてのみで…

まあそんな可能性があり得る雰囲気ならあんな長文ブッパはしなかろう、という見込みの元に、僕もこんな「ぼくのかんがえる最強のリスクマネジメント」を披露してるわけですね。

(万万が一そういう急転直下の解決が訪れたら僕はマジ立つ瀬がないというか鴨鍋待ったなしレベルですが、まさかね!)

結論

僕の唯一視聴した朝ドラ「あまちゃん」で、主人公(駆け出しアイドル)の母親が腹黒なプロデューサーに向かって「普通にやって普通に売れるもん作りなさいよ!」と一喝するワンシーンがありまして、僕は今でも自分、もしくは他人に対して同じセリフを投げかけたいことがよくありますね。

まあより本音としては、個人レベルなんかではなく社会そのものの空気に対してですかね、特にここんとこ眺めてる感じだと。普通に歩けばいいところで五体投地で転がってくような謎ムーブがおおすぎる

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