優位性を意識した投資

競争優位

相対的価値 高い付加価値を低コストで実現できるのが理想
客が満足できるものであれば低い原価でも構わない
そういうものには割高な価格でも支払う これが差別化の本質

技量のある料理人のレストランやブランド品 人気のテーマパークなどが該当する
本来ニッチになりやすい事業だがこれらを拡大できるなら大きな収益になる
コストが嵩めば値上げで対応できる強みもある コスト増大を価格転嫁で対応できる
言い換えれば値上げしても客が離れない高くても選ばれる製品やサービスを提供している
企業こそ理想の投資先候補である

消費者向けのサービスの記述にカット野菜の例がある
時間の短縮と利便性から消費者が割高なカット野菜を購入するわけだが
それらのサービスはコストの目線では割高な付加価値かもしれない

しかし消費者目線からすると 包丁や冷蔵庫がない出先である場合
少人数な家庭で大量購入すると腐ってしまう場合など
個々で環境や事情が異なるかもしれない
一見割高に思えても実は合理的に目的を達成する方法だったりする場合もある
この辺の部分は価格ではない価値とは別の需要であると自分は思う
こういうニッチな需要こそ高い収益性につながりやすい部分であったりする

さらにその時間別の仕事ができて稼げるなら
こういう誰でもいい作業を少しコストが嵩んでも他所に依頼するのがいいかもしれない
苦手なことをわざわざ自分で全部やらず資本で解決するのは非常に合理的なやり方だったりする
これは事業でも同じで 旨味のない部分の外に出すことで合理化する
その委託を受けた外部からすると旨味のない部分でも旨味であったりする
場合もある というのが面白い


バリューチェーン

言い換えれば稼げる仕組みづくりで
なにをやるかよりもなにをやらないのかと言ったほうがよいかもしれない
どの部分ではなく仕組み全体のバランスで
本質を理解せずに一部を真似ても意味はない
それぞれがバランスを取って仕組みを形成している

少し蛇足になるが
非営利目的な事業もこの部分が重要というのは面白い
目的があって資金を集めているのだから その目的に対して資金効率を追求するのは当然だ
それを無視するのであれば単なる自己満足でしかない
極端に言えば自分より上手く運営できる人がいるなら
その人に立場を譲るか権限を与えて仕事をさせるべきである

慈善事業などはこういう部分が無視されがちで気持ちがどうだの言っている者が多い気がする
目的と手段が理解できず考えも合理的でないものにいくら善意があろうがうまくいくわけがない
価値を産み出す目的の仕組みに営利非営利は関係ない
善意などで生きていければ誰も苦労はしないのである

この部分は非常に重要な部分であるので是非
実際の書籍を購入して繰り返し読んでいただきたい

その具体的な仕組みづくりを簡単に書くと
目的に対しての手段は無数にあるわけだが
製品を作る際に どこまで自分たちでやるのか
素材から自分たちで製造するところは稀だろう
その場合は外部から仕入れ加工して提供することになる
自動車メーカーが全部自分らでとゴムの木を育ててタイヤを作ったり
鉱山を運営して鉄鉱石を採掘したりするようなことはしないだろう

製品の中でも細かい部品なども自分たちでやるのか
自分たちよりも上手くやれる外部から仕入れるのかわかれるし

その製品をどうのような形で社会に提供するのか
輸送はどうするのか 販売方法はどうするのかなど
たくさんの選択肢がありそれらを組み合わせて仕組みを作る

ライバルのノウハウを盗むようなネタがあったりするが
本当に素晴らしいビジネスは部分的な真似など意味がない
勝てる仕組みのためになんらかの捨てている部分がある
その部分の真似はおそらくしていない だからコピーは所詮コピーなのだ

製品やサービスではないビジネスとしての高い参入障壁はこの仕組みの部分
複雑に絡み合ったバリューチェーンの部分である

投資家には非常にわかりにくい部分であるがビジネスの理解を深めるのに
知っておいて損のない考え方であるので紹介させていただいた
こういう部分まで意識して投資している人は本当に少数だと思う

投資家目線で業界に拘る必要はないので業界の部分は省く
どうやれば他所と違うことができるかについての理論は面白い
それよりも競争になってない業界や事業を探すほうが楽ですけどね(笑)


同じようなものを提供しても差別化することはできる
簡単なものなら言語 同じ商品を提供するが特定の言語だけを使う店
それが複数の言語提供できるなら すべてが違う価値提案になり
外国人向けの飲食などこのようなやり方を意識して 付加価値分料金に上乗せしても
おそらく利用者は多いだろう 異国での母国語での飲食提供という大きな付加価値がそこにある
(差別化しやすい味などは別として)
顧客を拡大しようとするとこのようなやり方はできなくなる
業界が利便性を追求したために捨ててきた ものがここにはある

同業は仮にこれを真似をしようにも真似はできない
今ある仕組みの多くを捨てることになる
一見不自由な縛りに思えるがこの縛りこそが独自の価値提案に繋がる

この部分は面白い具体例がたくさん記載されているので
是非読んでみてほしい 事業の仕組みの面白さを感じられる

この価値提案が他所と同じで業界で横並びのようなことをやっている
組織に戦略ではないと厳しいことが記されている