最高は無意味?

先ず最高を目指すべきではないと出てくる
これまで特に疑問に思わなかったが 確かに最高とはなにか定義がない
無意味に多数の顧客を喜ばせるようなことを良しとしない
特定の規定やルールの中最高を目指すスポーツや試験とビジネスは異なり
ビジネスには目標を自由に定めることができる
誰もやって来ないような商売なら 常にナンバーワンオンリーワンであることができる

定員が決まっているようなものの場合 相手を潰してしまえば自分が浮上する
馬鹿げたやり方だが政党などでもこのようなことをやっている
しかしビジネスではその限りではない需要の奪い合いの面はあっても
新たに需要を増やすこともできるわけで相手に勝つことに大きな意味はない
目的は相手に勝ってシェアを奪うことではなく利益を上げること
結局雇われ社長が多く 自己資本を投じていない経営者が多いので
この辺の大きな勘違い以上の間違いが多いのであると思われる

最高というのは客によって異なる すべての客に最高というのを満たすのは
無理ゲーでありそれを目指すからおかしなことになる この部分の理解が足りない


目標に向かっての最良の方法を目指すべきではあるが最高を目指すべきではない
大切なのはその軸になる目標をなににするか であるなら目指すものは異なるはずである
目標というのは価値提案に置き換えることもできる
その目標のためにどのような手段 方法をとるのか その数は無数にあるだろうが
それぞれ最適な方法を目指し 環境や社会の変化に応じて変化していくものだと思う

無意味なシェア獲得を狙った投資がその費用を超える収益を得られるかというとそれも疑問
価格見合わない過剰に良質のものを提供して競争を仕掛けても同業は誰も得をしないし
客は一時的に得をするが それで消耗して資金が乏しくなれば
永続的な価値提案が困難になり客も長い目線で不便になったりもする
客には価値に見合う満足を与えることが重要で過剰なそれは不要
客と事業者は利益を奪い合う関係でもであるのだ

この辺は経営者と投資家の目線の異なる部分かもしれないが
投資家の欲しいものは売上やシェアを大きくすることではない
投じた資本に対して効率よく収益を上げることであり 長くそれのできる事業を常に探している

この手の事業を考えるときには外食がわかりやすい
牛丼や回転寿司などどこかがシェア取りを仕掛け皆が同じ方向を目指してしまっている
極端に書くなら目指すべきは牛丼のシェアではなく 吉野家というシェアということ
牛丼なら競争であるが 吉野家であるなら競争にはならない
店のレイアウトやメニューを増やしサービスを変えて客を増やしたかもしれないが
優位性のあった肝心なスピードの部分を殺してしまっている

結果 同じような店での勝負になってしまい 下手をすればファミレスとの勝負にもなってしまっている
回転寿司も同じで客数増加のために踏み込むべきではない部分に踏み込み
当然労働者の負担は大きなものになっているだろう

これらの経営を否定するわけではないが少なくともポーターの理論を理解して行動している
とは思えない非合理的で期間の短い方針で 自分はとても投資対象にはできない

これらは家電やパソコンなど同じようなものを作りシェアを奪い合い
誰も勝者ならなかったという事例と同じである

当然であるが特化したやり方は客の数が限られ需要限界も低い しかし収益率は高くなりやすい
自分が望まなくても同業がシェアを取って来るような業種は嫌でも競争に巻き込まれるので
投資すべきではないと考える

成長ありきで動いている需要限界の低い事業は上場には不向きである
APカンパニなど非上場で客を特化した利益率を重視するならもっと良い事業になっていると思う
この手の成功事例は壱番屋で カレーという分野よりもココイチという分野でトップではないだろうか
成長鈍化で上場企業らしくはないがおかしな拡大でカレー戦争になって収益率が落ちるよりはマシである
資金もあり大きな資本に組み入れられている現状
上場の役割は終わっているので非上場にしてしまうのがいいのではないでしょうかね

こういう安定収益を得られる事業を規模の小さい頃に投資したなら売る必要はまずない
成長は乏しくても投じた金額に対して毎年大きな価値を生み出し続けている
こういう投資こそ個人が行える 小型事業への投資の本当の妙味である

独自性が強く参入障壁が高ければ事業拡大は難しくても高い収益を狙える
市場が小さく大きな資本が入りにくいというのも経営では悪くないが投資としては妙味がない
だから前者でありながら拡大余地のある事業 特に海外で成功しそうな事業を自分は探している
海外で大きく成功しなくても国内の成功である程度のカバーは可能であるし
海外が大きく成功すれば 事業として大きな爆発が可能
時間は掛かるがリスクを小さくリターンを大きく考えた
自分のやり方の基本はこの辺から生まれていて
その分時間が掛かり資金を動かす際の機会損失というリスクがある

しかしポーターの考えに基づけば全てを満たせる方法はないのでどこか捨てる部分が必要
この辺のリスクを避けるために過剰に回転するならまた別のリスクが浮上する
それなら最初からその部分はやらないと決めてしまってそこで最善を探ったほうが良い

なにをやるかではなく なにをやらないか この部分は投資と共通する
バフェットではないが難易度の高い事業を捨て 難易度の低い事業を探す
難易度でリターンが変わるわけではない

全てを上手くやるのではなく なにかを尖らせてその部分を真似できないくらい上手くやる
もちろん需要のある場所で行う必要はあるのだが
この辺は漁にも似ている 魚の多いところには同業がたくさん集まる
魚がいなければ 人はいないが漁はできない 大切なのはこのバランスである