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就労移行支援と出会うまで

2023年の立春の頃。

セラピストの道を中断して数ヶ月が経過。

私は一日のほとんどをベッドで過ごし、外出時は電動車椅子を使う生活にシフトして療養に徹していた。

生活費は、生活保護と体調の良い時に細々としていた僅かなクラウドソーシングの案件の報酬(勤労控除で得たお金を電動車椅子レンタルに充てていた)。

元から気忙しい身にとって、社会とほぼ繋がらず寝てばかりいるということはとても心許なく、日々精神状態は悪化していった。

繋がりたい。誰かに視認される場所にいて、話したい。

クラウドソーシングでは、それは叶わない。

けれども、どう考えても数分立つだけで脱力感に襲われ変な汗が出る状態では到底復職などできない。

「年末年始、少しでいいからシフト入れない?」

と当時のリラクゼーションサロンの上司に言われたが、自分の頭すら洗うことが難しい状態で人様の体への施術などできるはずもなく、戻れるアテなどなかった。

罹患して1年弱。
私は、もしかしたら少なくとも当面はこの病気は治らないのではと感じていた。

だとすると、どう過ごす?

稼げる保証もなく、その場限りのクラウドソーシングの仕事だけをたまにやるだけ?

療養という必要性はあれど、ずっと誰とも会わずにお家の中にいる?

・・・嫌だ。寂しい。不安になる。

社会的孤立が精神を蝕むことは、若い頃のうつ病からの離職で散々経験していた。

私にとって、所属意識や人との繋がりが日常的に感じられない事はかなりの苦痛を伴う。

長年かけて安定してきた精神が、再燃するかのようにこれ以上悪化するのは避けたかった。

・・・でも、こんな体でどうやって社会と繋がる?

「病気でも働く」「障害者 繋がる」「療養  社会活動」

そんなワードで日々ネット検索をしていた。

私は、自分の性から働くのが1番だと思っていた。

H先生の見立てでは、当時PSは5。

「この段階で仕事が出来るのは、現場にちょっと出て簡単な指示をすればいい社長さんくらい」

というユーモラスな表現が当てはまる状態だった。

私の場合、ブレインフォグより倦怠感や痛みが強く出るタイプのため、どう考えても事務職しか選択肢がなかったが、それでもいきなりの就職は難しく思えた。

そんな時、上記キーワードでヒットしていたのが「就労移行支援」。

平たく言うと、障害のある人が就職する事をサポートする国の制度で、民間企業が受託し開設している学校のようなもの。

「体力に自信が無いけど働きたい」人への最適解のような事がサイトには書いてあった。

利用の条件は、
①基本無職であること
②障害者手帳or自立支援医療受給者証を持っていること

折しも、20年弱のメンタルクリニック通いでメンタルの手帳や自立支援医療受給者証ならすぐ申請できる状態だったため、先ずは近所の事業所に問い合わせをしてみた。

感じの良いオペレーターさんが、私の状態を聞き取っていく。

「コロナ後遺症で仕事が出来なくなって」と言うのに勇気が要った。

散々、「あなたは肺が綺麗だからコロナ後遺症じゃない」「コロナ後遺症ねぇwww」と何人もの医師に笑われてきたから。

でも、事業所のオペレーターさんは、「そうでしたか〜、大変でしたね」と優しく言ってくれて、「まぐさんの状態ならまずは見学や説明も受けられますよ。車椅子が入れるかどうか確認しますね」と当たり前のように受け入れてくれた。

コロナ後遺症を否定されない。
この状態の私でも、居場所ができるかもしれない。

それがとにかく嬉しかった。

そして、折り返しの電話で建物に車椅子が入れることを確認したうえで日程の調整をした。

問い合わせてから1週間ほど後、真っ白だったスケジュール帳に「就労移行支援」の予定が入った。

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