見出し画像

【エッセイ】和風旅館最大の「縛り」は?

ヒルトンのCM「とまるところで、旅は変わる。予定でいっぱいの休暇」篇がネットでちょっと話題になっている(本家のYouTube広告は11/15時点では削除されている)。

俗にいう「比較広告」の一種で、大型和風旅館のフロントらしき場所で和装の女性が一気に時間など宿のルールをまくしたてるのに対し、ヒルトンなら時間に融通がきいて寛げるよ…という内容だ。

かなりカリカチュアチックな作りで、真面目に「和風旅館をdisってる」なんて怒るもんじゃないだろうけど、いろんな意味でホテルに比べて和風旅館の方が「縛り」が多いと感じている人は多いんじゃないだろうか。

その「縛り」の際たるものは、このCMが強調する「時間」じゃなくて、一泊二食というスタイルだろう。

従来は団体客も宴会客も多かった和風旅館にとって、食事付きのスタイルは「絶対」。個人客へと客層がシフトしても、日本人は短い休みにせいぜい多くて二泊ぐらいなので、食事付きの方のニーズが高かったことが伺える。

とはいえ時代は変化、インバウンドも増えて日本人の意識も変わった。和風旅館にも連泊を望む客が増えているのは当然のことだ。そこで気になるのは、やっぱり朝夕の食事付きのシステムなんだろう。

客視線で言えば、やっぱり選択肢が多い方がいい。例えば京都での宿泊。名旅館と言われるところで、美しい庭を見ながら、お部屋で京料理…というのも1泊ならいい(余談だが、名旅館は大抵部屋に風呂がなく、大浴場もない。家族風呂のような浴室に、部屋でかわりばんこに入る形。これって究極の「縛り」かしらん^^;)。でも連泊はちょっと御免…。

でも、最近お気に入りの町家造りのグルメホテルなら、ホテルで和食やイタリアンを食べてもいいし、名店を予約したり、ホテル付近に点在するカジュアルだけど美味しい店に行ってもいい。先日3泊した時の夕食は、1回はホテルのイタリアン、1回は憧れの老舗懐石料理店、1回はホテル近くのベトナム料理ってな感じだった。京都のような都会であれば、これができるんだよな。

問題は、温泉街とか地方とかの和風旅館の場合。夕食なしの宿泊にしても、逆に付近に美味しいお店があるかどうかという話にもなる。

オレ的には、思いっきり高級で美味しい料理を提供できる宿は二食付きを維持してもいいと思う。けれど、中クラス以下で、少し中途半端な会席料理を出すくらいであれば、思い切って朝食のみとか、会席じゃなくてもっと簡易な夕食に転換した方がいいと思ったりする。焼肉を夕食にしている旅館も登場してるしね。

このためには、客の方が先に和風旅館=会席料理の呪縛から逃れる必要があるかも…。だけど、オレたち世代はともかく、若い世代ならとっくに頭、切り替えてるかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?