前島賢の本棚晒し【復刻版】04:上遠野浩平『ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王』


本記事は、電子書籍ストアeBookJapanに、連載「前島賢の本棚晒し」第32回として2015年3月13日に掲載されたものを、加筆修正の上再公開したものです。
記述は基本的に連載当時のもので、現在とは異なる場合がありますが、ご了承ください。
連載時に大変お世話になりました、そして、再公開を快諾頂きました株式会社イーブックイニシアティブジャパンの皆様に厚く御礼申し上げます。

 勝手に『ブギーポップ』特集も後半戦突入。
 今回は4作目『ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王』だ。

 上遠野浩平によれば、当初は『ブギーポップ』シリーズの完結編となる可能性も想定して書かれていたという本作(次の第五作『夜明けのブギーポップ』が、ブギーポップの誕生秘話を描くエピソード0にあたる話なので、ひとまず今回の勝手に特集を初期5作6冊で句切りとしたのは、この理由による)。
 前作『ブギーポップ・イン・ザ・ミラー「パンドラ」』が泣ける青春アクション小説だったのとはうって変わって、本作は、一言ではとても説明できない……上遠野っぽいとしか言いようがない小説である。上遠野っぽいって何だよ、と言われると説明に困るのだが……ひとまず、あらすじの方から見ていこう。

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