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クレジットカードのIC化のせいで不正利用は増えている??

直近の不正被害額の推移

2020年3月、日本クレジット協会は2019年第4四半期のクレジットカード不正利用被害の集計金額を発表しました。

これにより2019年を通じての被害金額が揃った形ですが、主にオンライン決済における被害金額を示す「番号盗用」、およびその他の被害による金額は256億円となりました。前年の219.4億円との比較では約16%の増加となります。

クレジットカード不正利用被害金額推移 2019最新

対して「偽造被害」は減少傾向にあります。

対前年比ではなく、8年前の2012年から見ると約1/4程度、前回の記事でも触れた日本でIC化を必須とすることが発表された2017年から見ると1/2近くまで被害額は減少していることがわかります。(それでも年間で18億円近くの被害は出ていますが・・・)

偽造被害が減少している背景

偽造被害が減少傾向になっている要因は、間違いなくクレジットカードのIC化のおかげであると考えられ、その背景は主に以下の2つになります。

1)加盟店(対面の店舗、実店舗など呼び方は様々)でのクレジットカードを決済する端末が磁気ストライプ型(接触決済)ではなく、ICチップを読み取って決済する端末(非接触決済:端末とクレジットカードが接触することなく決済ができることから)にリプレイスされていることと

2)カード会社が発行するカードがICチップ搭載が標準化されていること

※ちなみにこれら2つの背景におけるそれぞれのコスト増(加盟店であれば新しい端末へのリプレイス費用。カード会社であればカード発行コスト。)は身銭を削って行われています。。。多少国などからの補助もあったかもしれないのですが、大部分を民間企業が被って不正を撲滅しようとしているのです!

それでも以下の図の通り、まだまだその認知率は60%程度であるので、まだまだ国もしくは加盟店やカード会社からの訴求は必要そうですね。。。

(参考)ICクレジットカードの認知・利用率

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 出展元:日本クレジットカード協会 ICクレジットカードに関する消費者意識調査より http://www.jcca-office.gr.jp/topics/topics_77.html


ここまででなんとなくですが「偽造被害」が減少傾向にあることの背景をご理解いただけたかと思いますが、それらと「番号盗用」による不正利用の増加がどう因果関係にあるのか、についてを記していきます。

偽造不正集団はどこに・・・?

もう一度上記にある被害額推移のグラフを見てみると、2013年までは「偽造被害」のほうが多く、それ以降は「番号盗用」のよる被害のほうが多くなっているのです。ここから読み取れるのは、不正集団の矛先が変わったのではないか、ということです。

不正集団は効率重視であるといわれています(実際のところはわかりませんが)ので、偽造はIC化により相当のコストがかかるようになってしまい、そこまでうまみにある(犯罪を犯すリスク と 得られる利益 を天秤にかけたとき)ものではなくなってしまったため、彼らが偽造による不正から手を引いたものと推測されます。

ここまでであれば、「では不正集団はクレジットカードの不正自体から手を引くのでは?」というように考察してしかるべきなのですが、彼らが番号盗用に手を付け始めたのです。それはなぜなのか?については次回の記事で書かせていただこうと思います。

この記事を簡単にまとめると

・カードのIC化の推進によって偽造による不正利用は確実に減っている

・その背景には、加盟店の端末のリプレイスとカード発行会社のIC標準化があった

・しかし不正集団はその矛先を番号盗用による不正利用に変えてきている


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