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世界の中心を探しに行く

「作者が語る、セカチュー現象。」として掲載されていたnoteに加筆し、同人誌版「死なれちゃったあとで」に掲載したバージョンに更新しました。【2024/06/07改訂】


経緯を書くと長くなるけど、そのまんま書きますね。

2005年当時、俺は福岡でフリーライターをやっていた。といってもそれまでの会社勤めをやめて、実績ゼロのまま突然そう名乗り始めただけなので、まあ実際は全然仕事がなかった。1年のうち、仕事してたのって実質3カ月くらいじゃないかな。四捨五入で無職。そういう状態が2年ほど続いていたわけです。

最初は「少しずつ実績を積んでいけばそのうちなんとかなるんじゃないか」と思っていたのだけど、これが1年たっても2年たっても増えない。先が見えなくて精神が蝕まれるレベルまで来ていたので、一念発起して宣伝会議の「編集・ライター養成講座」を受講することにした。

といっても、「学びに行く」という気持ちはさらさらなかった。「プロを目指す」ではなく、「すでにプロになっている」という前提で、他のプロたちが参加する講座で果たして自分は通用するのか。それを見極めるための受講である。

開催地は業界人が多く集まる東京ではなく、福岡開催だった。とはいえ、初回ガイダンスに行くと、沖縄以外の九州全県からタウン誌の編集者が参加していたので、腕試しにはちょうどいいだろうと思った。もし通用しなかったら? それはもう「向いていない」ということなので、きっちり足を洗って別のカタギの仕事を探すつもりだった。当時、本当に自信を失っていたので、動機の半分くらいは「やめるきっかけ作り」みたいなところも正直あったと思う。

その講座の卒業制作で作ったのが、このインタビュー原稿です。

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