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ラノベ#7



前前々回のあらすじ・イスから落ちた。





    【魔王様は倒されたい7話】


「いや、お前たちがやった方が早いやん!!」

「効率悪いって!!見ろって!!小人40人でトンカチ運んで10分は経ってるやん!お前らデカいのが運んだら6秒やって!」

「さっきから水飲むしかしてない小人おるな!」

「おい!デカいヤツが座る用のイスを小人100人くらいで運んで来るなって!全部無駄やって!!デカいヤツが働けって!」

「デカいヤツが小さい手ぬぐい持ってるのは、どーゆーつもりなん?」

そんな叫びを何故か6時間ほど無視され続け、声が枯れた頃、気づけばリフォームは完了していた。

こんな無視され続ける中で叫び続けるより、自分も作業に加わった方が早く終わったのでは?と思うのは2時間も後になってからだった。


とゆうか、魔王城のマップが変わるのはゲーム内の仕様変更なんやから、特に木材とかトンカチとかいらんかったやろ。。
システムの何かをどうにかする的なアップデートの技術のアレで良かったやろ。知らんけど。

リフォーム作業が終わり、またジジジっと作業員の周りにデジタルノイズが走り、小さな作業員達が消えていった。
大きな作業員達は、ノイズをまとったまま、歩いて帰っていったのは、意味が分からなかったので、私はこう言った。

「意味が分からん」


『はい、はーい!すみません!工事が正しく行われたかの最終チェックをさせて貰います〜まずこの部屋から始めますね〜』
と言いながら、現場のヘルメットをかぶった千手観音が8人入って来た。

『ナット・ボルト止め、ヨーシ!』
と言いながら、8人が千本の指、計8000本の指で1つのボルトをビシッとさす。
8000本の指が向けられてボルトめがけて凄い風が吹く。

『水平、ヨーシ!!』
『塗装漏れ無し、ヨーシ!』

「ちょっとタンマ!タンマ!!
一回、冷静になろう!な!

、、、それぞれの指で、それぞれ違う箇所を一気に指差し点検してくれ!
一ヶ所に千本じゃなく、千の箇所に指一本ずつ。今のところ君達の良さを全く生かしてない!!

あと、8人バラバラに違う部屋を分担して見て行ってくれ!数の利を生かしてない!
そして今更やけど、なんで君たちは工事に参加してくれなかったんや??君たちが1番輝けるタイミングはきっと工事中やったんや。
そんで、“ちょっとタンマ。”ってめちゃくちゃ久しぶりに言ったわ。
“タンマ”って冷静に考えたらなんや??
誰か知ってる観音いる?」

『タンマの語源は、「Time out」(待った)がなまった説、「一旦待つ」が略された説、短い休止を意味する「短間」説、タンマ刃牙など諸説あるン〜ダモン』

「君、その語尾、なんや??“ン〜ダモン”って?
タンマの語源知ってる凄さと喜びが薄れたわ」

『あの、さっきから観音相手に“君”呼ばわりは無いと思うで。』

「あ、はい。すみません。」

『われわれ、現場観音やって長いけどキミ呼ばわりされんの始めてやわ』

「現場観音???」



そこで、目が覚めた。

「、、、、、、、あいつ、タンマの語源の時、サラッと“タンマ刃牙”って言ってたの何やったんや?バキはハンマやろ。。。」
と言いながら洗面所へ向かう。

とりあえず、今夜からはリフォームされた城で働けそうだ。
こう思うと、少しだけ楽しみになった。




          ❇︎

仕事が終わり、さぁ、家に帰るか。。と重たい腰を上げた時、同僚の、ほまれが嬉しそうに話しかけて来た。

「先輩〜〜!!今日、軽く飲みに行きません??
実はわたし、今日バイト休みなんですよ〜!!」

「バカっ!だから職場でバイトの話をするなって!!」
と小声で言いつつ、チラッと係長を見る。
係長はフリスクを耳元で振って、
『、、、、11』
と言った後、フリスクの中身を全てテーブルの上に出して数を数え出した。
『くそ、中身は4粒やったか。』
出したフリスクを箱に戻す。

最近、ずっとアレをやっている。
どうやら集中していて、ほまれのバイトの話は聞こえて無かった様でホッとした。
「軽く飲みに、、か。そーいや最近、お前元気無かったしな。遅い時間まではムリだけど、パッと飲みに行くか!」
「やったー!!」
「では、係長、お疲れ様です!」
「お疲れ様で〜す」

『17、、、、、くそ。4粒やったか。』
と言う係長の独り言を聞きながら事務所のドアを閉める。

「係長、バグったんかなぁ」
「アレ、怖いです。」

などと言いながら会社の近くにあるサラッサラ定食のサラサー亭に来た。
ほまれは常連でやたらココに誘って来るが、私は大昔にランチ時に一回来ただけで久々だ。

『はい!いらっしゃーい!!おや!ほまれちゃん!久しぶりだねぇ!!』
と景気の良い声でゴツい40代位のマスターが出迎えてくれる。

『はい!お疲れ様ー!!』
と、マスターにそのままテーブルに案内されて座る。
『何にする??』
と言いながら渡されたおしぼりを受け取る。
「えーっと。そうだなぁ〜。」
とメニューを見るほまれに、
「今日は奢りだから、なんでも好きなの頼めよ。」
と、少しは年上らしい事を言う。
「えー!?本当ですか!?ありがとうございます!!
んじゃあ、まずは生ビールとー、、。あと、このハイボールが一つと、焼酎麦のソーダ割りと水割りを一つずつ下さい。あとはジンリッキー2つとバーボンで良いのがあればロックで」
「飲み物は、その都度頼んだ方が良い」
「あっ、じゃあ次からそうします。先輩は何を飲みますか?」
「今回のはキャンセルせーへんのや。あ!僕は、生で!!」
『はいよー!!』
と、威勢の良い声で厨房に帰って言った。


「ちょっと先輩、聞いてくださいよー!!わたしのバイト先、上司が変わったんですけど、その新しい上司が、どーもウマが合わなくて、、」
と、ドーンと机を叩き、顔をうずめうなだれる。

「酒飲んで45分後の会話をノンアルで?」
などと言っていると、酒が来た。

『はいよー!お待たせしました!!まずほまれちゃんの、生ビールと、ハイボールと、焼酎麦のソーダ割りと水割り、ジンリッキー2つとバーボンロックです。で、お兄ちゃんは生だね!』
と言いながら、アイスクリームを手渡して来た。
「、、えっ?この店、“生”って頼んだら、生キャラメルソフトが出てくるタイプの店なんですか?!」
『はいよ!そうだよ!!』

、、、、んじゃあ、しゃあないかぁ。
「あと、すみません、生ビール1つ下さい」
『かしこまりましたー!あと、お食事どうしましょう!?』
「んーと!どうしようかなぁ??前来た時に頼んだアレ今日あります??なんて言う料理だったかな?あのー、ほら!ひき肉とかネギみたいな草をぐっちゃぐちゃにしたのを紙みたいな食べ物で包んで握り潰して鉄の上で焼いてある、あのー、」
『はいよ!ギョーザね!』
「そうそう!ギョーザ!」

オリジナルメニューやなく、ギョーザの名前出て来んのかい。

「あと、アレ!ほら!あのー、チャーハン状の〜、、」
『あいよ!チャーハンね!』

“チャーハン”状のて既にチャーハンゆーとるがな。

「あと、アレ!!なんて説明したら、、ほらー、あの、前に来た時食べた、あのー、羊の皮膚をグルっグルに巻いたヤツの上に、新鮮な肝臓をスライスして、アブラかけて最後に羊の皮膚だけ捨ててゴマかけて、キクラゲ乗せてキクラゲ捨てるあのー、」
『はいよ!いつものアレね!あるよ!!』

なんか、凄いのが来そうな予感。。

マスターはいそいそと厨房に帰って行った。

「ま、とりあえずカンパーイ!!」
と生キャラメルソフトで乾杯をした。
「で?バイト先の上司が?」
「そうなんです。今までの上司は楽だったのになぁ〜。」
「うん、うん。そうなんだ。」
「その人、酷いんですよ?めちゃくちゃ仕事回してくるし、、」
「うん、うん。それは大変だねぇ」
「なんか、馴れ馴れしくてスキンシップも多いし、、」
「うん。うん。それは辛いね」

(ええやんけ、仕事と言う《する事》があって、更に話し相手もおるんやろ?)
という気持ちは一切出さず、グチには反論せず完全に聞き手に回るという“日本一のヒモ男”赤羽 貴志(著)  【就職したくない人のための極楽ヒモ生活入門 】を読んで得た知識で会話を進めていると、さっき頼んだ料理が来た。

『はいよー!お待たせ!!まず、チャーハンと!ギョーザと!』
(あ、生ビール先に欲しかったな)とは口には出さず、
「ありがとうございます」
と皿を受け取る。

『あと最後にこちら、レバ刺し大革命!!』

「レバ、、刺し、、、大革命!?!?」

「うわぁ!!コレ!好きなんですよ〜!レバ刺し大革命!!ここのオリジナルメニューで、他では食べれないんですよ!」

と喜ぶほまれをヨソに、最近知り合ったアイツと同じ名前の料理に唖然としていた。

アイツは思ったより、近くにいるのかも知れない。。。



       《糸売く》

あとがき:
いまさらですが、タイトルは
『かぐや様は告らせたい』のモジりです。



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