ミラノ風ドリア

高校生のときに飽きるほど行ったサイゼリヤ。

部活終わりに「サイゼ行こうぜー」って誰かが言えばみんなぞろぞろついていき、ミラノ風ドリアだよなって笑いながら食べる。

馬鹿みたいに粉チーズかける同級生がいた。「温玉はお金かかるけど粉チーズはかけ放題じゃん」って、ドリアの表面が見えなくなるくらいまでかけて、挙げ句の果てにスプーンに出して直接食べてた。元気かなあ、あの子。

食べ終わったらSnowで自撮りしまくってた。今よりも精度が低い時代だから、唇の加工がずれちゃったりして、それを笑いあってた。あの頃のわたしたちは最強だった気がする。

そんな思い出があるから、わたしはサイゼリヤが大好き。いちばん安いミラノ風ドリアも大好き。

「サイゼで喜ぶ彼女」ってこないだ話題になってたけど、サイゼこそ好きなのになーって思ってた。

100万ドルの夜景が見える、お洒落な東京のカフェで食べるご飯に青春の味はしないもん。

今でもミラノ風ドリアを食べると、高校生の時の思い出がするすると蔓みたいに出てくる。粉チーズとか、浜練のきつさとか、文化祭とか。楽しい思い出ばっかりじゃないけど。

青春の味がするミラノ風ドリアが大好きだ。

いつから女は、お金をかけなくちゃ喜ばない生き物になっちゃうんだろう。あんなに幸せだったのに、今でもあの味で幸せを感じるのに。

サイゼリヤ「でも」喜ぶんじゃなくて、サイゼリヤ「だから」喜ぶの、わたしは。

ここで一句

急かしてもないのにみんな熱々のドリア頬張る真冬の夕べ





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