プラトニック・プラネットはプラトニックラブを求めているのか

 この記事に何でだか行き着いた人は、Juice=Juiceの「プラトニック・プラネット」という曲をご存知だと思う。

 この曲はキャッチーなメロディーに対して、歌詞がかなり難解だと感じた。ここから、「プラトニック・プラネットの主人公(私)は、プラトニックラブを求めているのかエロスを求めているのか問題」が生じた。

 歌詞をひとつひとつ考えるというのは初めての試みなので、ぐだってしまうかもしれないのだが、やってみたい。


「アプロディーテー ちょっぴりいい感じなんじゃないの」
 アプロディーテーは愛と美と性を司るギリシア神話の女神。アプロディーテーが歌詞の最初に出てくる時点で、ものすごくエロス的要素を感じる(実際、アプロディーテーとエロスはセットにされることが多い気がする)。ちょっぴりいい感じなのは、私とあなたの関係だろう。

「ほらね見て 肌の調子も超最高 でも でも」
 恋すると肌が綺麗になるのはよく言われていることである。それに加えて、それだけあなたに会うため準備してきているということだろうか。

「マグダレーネ 今日こそアクションがなくちゃ」
 マグダレーネMagdaleneは、ドイツ語圏の女性の名前らしい。マグダラのマリアが由来になっているらしい(ここでいきなりギリシア神話から新約聖書に飛ぶのどうなの、って思うけど)
 マグダラのマリアは西洋美術でよくテーマにされる女性。罪深いとされていた、おそらく娼婦から改悛して聖女になった。ここだとまだマグダレーネの意味がわからない。

「もしかして 心変わりしてしまうかも かも かも」
 マグダレーネが女性の名前であることから、「アクションを起こす」のはあなた、「心変わりしてしまう」のは私、だと思う。アクションは、「付き合おう」という言葉を私に言うこと、だと思う。逆に私は、あなたに対して何度もアクションを起こしている。でも、煮え切らないあなたに対して「もしかしたら心変わりしてしまうかも」と言っている。しかし実際は心変わりすることはなく、あなたに対して「心変わりしちゃうかもよ?」とアクションを求めているのだと思う。
 マグダレーネの由来がマグダラのマリアであることは述べた。だからマグダレーネから、「罪深い女性」「変わる」を要素として解釈するのが良さそう。「変わる」はそのまま心変わりに掛かっている。では「罪深い女性」は?あなたは、ほかに彼女がいて、その状態で私と肉体関係を結んでいるのではないか。完全に想像だが、「彼女より君の方がいいよ」や、「可愛いね」など言いながら、「付き合おう」「彼女とは別れる」は、言わない男だと思う。
 この辺り、マグダラのマリアの解釈難しい。

「この地球の青さが熱を冷ましてしまうなら いっそあなたを連れて金星まで行っちゃいたい 本気で」
 金星の神はヴィーナスで、これも愛と美の神。ヴィーナスはローマ神話の神で、ローマ神話はギリシア神話をもとにしている。で、ヴィーナスに対応しているギリシア神話の神が、アプロディーテーになる。2人は厳密には違う神。だけどAメロの最初でも出てきているから、同じ神と解釈して良い気がする。
 この地球の「青さ」とは、あなたの彼女のことではないか。地球は、あなたと彼女のプラトニックな恋愛を表してる気がする。で、金星はあなたと私との恋愛を表している。「彼女があなたに冷たくて寂しいなら、私は貴方のことを愛しているから、私にしなよ」ということなのではないだろうか。

ここからサビ

「ぜったいあなたじゃなきゃヤだよ 飛び出してプラトニック・プラネット」
 プラトニック・プラネット=地球=あなたと彼女との恋愛だと思う。彼女はやめて私と付き合ってよ、という意味だと解釈した。

「すっごい世界が知りたいの この瞳でわかるでしょ」
 この辺は大丈夫な気がする。

「絶対私の方がいいよ 回ってるプラトニック・プラネット」
 私の方がいいよ、って言っている時点で、あなたに彼女がいることが確定した気がする。回ってる、は地球の時点のことを意味している以外、あるかな?
 ここで全然関係ないが、金星の特徴を思い出した。金星は、地球にいちばん近い惑星。ここから、私はあなたに近いし、あなたの彼女のこともよく知っているけれど、付き合えないというもどかしさもあるのかな、と思った。

「抱きしめ返してあげるよ すべては許せないけど」
 抱きしめ返してあげるよ、と言っているということは、あなたの彼女は抱きしめ返してくれないし、それをあなたが不満としていることを、私に話しているんだと思う。だから、私なら抱きしめ返してあげる、って言っているんだと思う。あなたの彼女は、プラトニックラブなだけではなくて、少しあなたに冷めているのかもしれない。だから、抱きしめ返してくれないのかもしれない。
 大好きだから許せないことはあるものだけど、すべては許せないとは何だろう?彼女がいて、私の好意に気づいていながら、別れずに関係を持っているあなたの煮え切らなさを許せないと言っているのか。関係ないけど、ここの里愛様が最高。

2番

「プロメテウス そっと胸に火をつけたの」
 プロメテウスは、人間に火を与えた神である。あなた=プロメテウスなのではないか?あなたが私の心に火を与えた、つまり恋心に火をつけたのではないかと考える。

「一度でも知ってしまえば戻れないもの」
 ここは結構難しい。一度でもあなたを好きなことを知ってしまったら、あなたを好きになる前の自分に戻れない、という意味とか。一度でもあなたとの肉体的な快楽を知ってしまったら、もとの関係には戻れない、という意味とか。色々解釈できそうだけど、2番はそんなにエロスを押し出してる感じがないから、私は恋心説を推す。曲全体を考えたときも、恋心説が良いと思う。

「この地球に林檎がキスして引力生まれた」
 ここでの地球は、あなたとあなたの彼女の恋愛、っていうのは一旦置いておく。林檎がキスして引力が生まれた、というのはすなわち、私が恋に落ちたことを表していると思う。

「きっとあなたと私 見つめ合えばジェネシス 運命」
ジェネシスは発生、起源、創世記の意味。旧約聖書の第一書の名前。あなたとの恋が始まる、という意味だと思う。創世記の中には、アダムとエバの話が出てきて、それが人間の始まりだとされている。ここから、あなた=アダム、エバ=私として考える。アダムとエバは知恵の実(諸説あるけど林檎だとされる)を食べて、原罪を背負った。2人の恋が浮気から始まっていると考えると、原罪と同じように、「罪深い」行為から「始まる」恋だと言える。アダムとエバの話から、Bメロの前半の林檎とも繋げられるのではないか。ちなみに知恵の実(林檎)はエバがアダムに食べさせたもの。エバからアダムにアクションを起こしている点でも、整合性がとれそう。


2番サビ


「全然我慢できない衝動 抜け出してプラトニック・プラネット」
 ここは1番サビと解釈同じでいい気がする。

「言葉なんていらないけど 約束がほしいの」
 ここの解釈難しい。
 あなたは私に、「可愛いよ」とか「君の方がいいよ」とか言う人だと思う。でも私が欲しいのはただの薄っぺらい言葉ではなく、彼女というポジションだと思う。「私と付き合う」という約束が欲しいのだろう。

「伏せたキラキラの目尻に 滲んでるプラトニック・涙」
 伏せたキラキラの目尻は、メイクでキラキラしているんだと思う。あなたに会うために毎回気合い入れてメイクしているんだろうな、と想像できる。プラトニック・涙は、純粋にあなたを思う気持ちから出た涙ということを表している。
 1番で結構エロス的要素があると解釈したけれど、私の目からプラトニック・涙が出ているということは、私はあなたをかなり純粋に想っていると考える。

「気づいてないふりが下手な 意気地なしはもうやめてよ」
 あなたは、私の気持ちに気づいていないふりをしてやり過ごそうとしている。そんなことは私もわかっている。そしてどっちつかずなあなたに対して、意気地なし!と言っているのだと思う。

ラスサビは1番と同じ。


結局、私はプラトニックラブを求めているのか?


私は、プラトニックラブを求めていると思う。

まずタイトル的にもそう考えないと微妙。

次に、私は、あなたを金星まで連れていきたいとか言っているが、彼女になりたいと思っている時点で、プラトニック・プラトニックでの恋愛、プラトニックラブをしたいと思っていると考える。あなたと彼女は今、プラトニック・プラネットで、プラトニックラブをしている。彼女というポジションを得るということは、すなわち私はプラトニック・プラネットであなたとプラトニックラブをするということだと思う。

マグダレーネも全体を見ると解釈できるかもしれない。私=罪深き女性から改悛したマグダラのマリア、だとすると、罪深い行為=浮気をする女を悔い改めて=改悛、プラトニックな恋をしたい、と解釈できるのでは?

あなたとの関係はもう既にプラトニックではないけれど、プラトニック・涙が滲んでるということは、私のあなたに対する気持ちはプラトニックなんだろう。あなたが求めるから抱きしめ返してあげるし、あなたに熱を持たせようと金星まで行けるけれど、本当にあなたとしたいのは、プラトニック・プラネットでのプラトニックラブだと思う。


こんな感じでプラトニック・プラネットを解釈してみたけれど、中々難しかった。誰か見てくれたなら嬉しいな。

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