『告白撃』住野よる著

「表紙の絵が綺麗だなぁ」と軽い気持ちで読み始めた、住野よるさんの『告白撃』。
予想より遥かに自分の胸をえぐってきた。

「告白撃」住野よる [文芸書] - KADOKAWA
2024年5月22日初版

おそらく、初めにあらすじを載せるのがセオリーなのだと思う。
だけど、私がこうやって文章にして残しておきたいことは、読みながら何を感じ、読み終えた後に何を考えたか、なので本の紹介は最小限に留めることをお許しいただきたい。

単なる「青春だなぁ」ではなかった。
友達以上恋人未満、のお話でもなかった。

でも、自分にも身に覚えがあって、登場人物の感情・会話・空気にいちいち共感できた。なかでも、響貴に。
私は知り合いから「バランスの人間」だとか「聴き上手」と言われることがよくある。
加えて「シニカル」「夢がなくて目の前のことを精一杯やってる」このあたり全部同じ。
もう、響貴そのままじゃんって思うけど、案外誰もが響貴の一面を持っているのかもしれない。

とにかく大切で仕方がない人に対して、間違いなく「愛」は生まれるんだけど、それが「恋」を経ての「愛」かと聞かれたら、答えはなかなか難しい。友達を熟成(もはや発酵?)させると、恋をすっとばして愛になる気がする。慈愛の類の愛。

人間関係に相応しくない表現かもしれないけど、コツコツと関係を積み上げてきた経験がある人に、ぜひ読んでみてほしい一冊。



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