授業でファイナンスを習ったあと、今経済学をやっています。わたしがバンドン工科大学の学生は本当に優秀だなと感じるのは、授業で習ったことを自分の身の回りの出来事に応用したり、これまでの知識と組み合わせてさらに理解を深めようとするところです。
頭が良いだけでなく、知的好奇心があり、また様々な知識や出来事を複合的につなげていく能力がとても高いのです。優秀な人間の特徴を示しています。
本題に戻しますと、インフレと株価は本当に連動しているのか、腹落ち感がないうえに、実際の値動きも違うように見えるけど、という話です。
インドネシアはインフレの国です。インフレがどうして起こるのかといえば、通貨が弱いから輸入材の価格が上がっていくというのと、人口ボーナスの影響でしょう。
さらに、労働力が増えてインプットが増える効果と、増えた労働力が収入を得て消費が増えることで需要が増えることで需要供給曲線が動いて価格が上がるという原理です。
他にも政府が最低賃金を上げることで、政策的に需要供給曲線を押し上げるという現象もみられます。インドネシアでは将来も給料が上がり続けるという期待値も高いです。
そういうわけでインドネシアではインフレが進んでいるのですが、クラスメイトから「なぜインフレで株が上がるのか、直近の現状だけ見るとインフレ率の方が株価の上昇率より高い気がするが、それはなぜなのか」と質問があり質疑応答しましたので書いてみます。
1.なぜインフレになると株価があがるのか
実際、Indofoodの株価は15年で4倍になっています。インドネシアのIndexも4倍ですから平均的な上昇率ということです。要はインフレによる売り上げ増はあったものの、販売個数を増やせていないか、インフレコストをうまく価格転嫁できずに利益率が悪化しているか、PERが下がったか、いずれかの現象が起きたのでしょう。
2.インフレ率の上昇の方が株価の上昇よりも高く見えるのはなぜ
ここ最近の話です。ロシアウクライナ戦争のせいで、小麦価格が上がる、原油があがる、アメリカがドルを引き締め始めたせいで対ドルでインドネシアルピアが弱含み、輸入材の価格が上がる、という現象が起きていて、いわば日本と同じ状態にあります。
日本の株式市場はインフレ以上に上がっていますが、残念ながらインドネシアの株式市場はインフレ率と同じようには上がっていません。
それはなぜなのか、いくつかの仮説を説明しました。
悪いインフレを需要曲線で描くとこんな感じです。
三角形の面積が小さくなっていることがわかりますでしょうか。Consumer surplusとProducer surplusがともに減少し、経済活動に伴う利益が減少します。個人消費が落ちているんです。その分世の中をめぐるお金が減っているということでもあります。
同じインフレでも、需要の増加に伴って価格が上がる時はこの三角形の面積は大きくなります。個人消費が伸びてお金ががんがん世の中をめぐっている感じです。
でも長い目で見れば大丈夫。株価はこういう上げ下げはいつものことで、結局は上がっていくのは歴史が証明している。気にせずに投資をしてください。
話はどういう株に投資をすべきか、やはりインデックスに投資をすべきかの話に続いていきました。