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インドネシアのアリサン・イブイブ(有閑マダムの宝くじクラブ?)のご紹介

どの授業だったか忘れましたが、Arisan Ibu Ibu(イブ達のアリサン)という魅惑的な単語がたとえ話で出てきて、検索で上がってきた画像がパンチのある画像だったため、興味を惹かれ調べてみました。
ちなみにIbu(イブ)というのは奥様という意味です。母親という意味もあります。インドネシア語は単語を二つ重ねることで複数の意味になりますので、Ibu Ibu=イブ達というわけです。
わたしがイブという単語からイメージする女性は、デヴィ夫人や黒柳徹子やマツコのような大きく膨らませた髪型をしてドレスで着飾ったお金持ちの女性です。奥様というよりは淑女と訳しました。

googleの検索結果

ArisanはGoogle翻訳するとLottery Club、宝くじクラブと出てきます。

Arisan Ibu Ibu(アリサン・イブイブ)って何するの?

有閑マダムが同じ境遇のマダムたちと一緒に定期的に集まり、お金を出し合いくじ引きで当たった人がお金をもらうという相互扶助のシステムです。
わたしはこの仕組みを聞いたときに、本当に金銭的に厳しい人を助ける仕組みというよりは、ゲーム性を高めたり集まる目的を作るための娯楽に近いんじゃないかと感じました。

もしかしたらもともとは日本の頼母子や無尽と同じく、金融が未発達だった時代の相互扶助だった可能性はあります。

なぜ娯楽目的だろうと推測するかというと、有閑マダムがやると相場が決まっていること(男やキャリアウーマンや学生はしない)お金に余裕がある人がやること集まる口実に使われていること、からです。

クラスメイトにArisan Ibu Ibuのことを聞いて回ったとき、まず女性陣にArisanをしたことがある人はいる?と聞いたらゼロでした。
なんでしないのと聞いたら、「そんな暇ない、忙しい」と言っていました。
「いや君たちいつもカフェに集まってだべっているじゃない」と危うく言いそうになりましたが、こらえて、高校や大学の同窓会にいいんじゃないの?集まる口実になるじゃないと聞いてみました。
それでも「うーん、Arisanはもっと年を取った人がやるイメージだな」との反応でした。

男性陣にも聞いてみました。「”Arisan Laki Laki(男の宝くじクラブ)”はないのか?お父さんやお爺さんはやっていないか?」と聞くと、「あれはイブがやるものだ。男のアリサンはない。」と言っていました。言葉の響きが面白おかしく感じたみたいでにやにやしてました。

Arisan Ibu Ibuの波及系=Arisan Keluarga(家族のアリサン)

Arisan Ibu Ibuというのはイブ達のアリサンという意味ですが、この会にはメンバーの旦那や子供も参加することがよくあるそうです。あとで述べる沖縄の模合(もあい)も同じです。
そこから派生し、家族単位のArisanというのがあり、複数家族が集まるArisan Keluargaがあると聞きました。Keluarga=家族という意味です。

やることは一緒のようです。

ArisanはIbu IbuもKeluargaもセールスマーケティングの対象として魅力的らしいです。アムウェイやニュースキンの勧誘をするやつが出てきて、つまはじきにされる絵が頭に浮かびました。

沖縄の模合(もあい)に参加した体験談

わたしの大学時代の先輩に沖縄出身の方がいて、卒業後は地元に戻り銀行員になっています。
沖縄に旅行に行ったときに先輩を訪ねたところ、ちょうど夜に高校時代の同級生の集まりがあるから参加しないかと誘われ参加したところ、それが模合の集まりでした。

わたしは日本史に出てきた無尽、頼母子が現代に続いているのにとても興味がありいろいろ教えてもらいました。

沖縄の模合は男、女、年代関係なく作られていて、多いのが地元の幼馴染、高校や大学の同窓会的なもの、会社の同期らしいです。
その先輩の模合は沖縄の進学校の模合で、メンバーの中には父親同士も模合をやっていて2世代にわたる模合仲間もいると聞きました。
この会は模合メンバー以外に、高校の同級生女子たちも集まっていて、さながら同窓会の様相を呈していました。

そこに来ていた女性で、岐阜大学に進学してそのまま岐阜で就職した方がいらっしゃった(たまたま正月で帰省中)ので、女性でも模合をしているのか聞いてみたら、していると言っていました。「岐阜大学で模合をしようと友達に声をかけたら引かれてしまって、模合って沖縄だけなんだと知った。すごくいい仕組みなのにね。」と笑っていました。

先輩によれば、模合では積み立て方式で1人数万円ずつくらい出し合って、順番にメンバーがお金をもらっていく仕組みになっていて、基本的にはくじ引きではなく、その時お金のニーズがある人がもらうらしいです。結婚とか出産とか家を建てるとかですね。
数万円単位になるとお金を途中で出さなくなっちゃう人がいそうですねと聞いたら、「そうなんだよ、模合の破綻というのがあって、よく問題になるんだ」と言っていました。
その先輩は銀行員なのですが、銀行では模合を作ることは禁じられていると言っていました。それと何個も模合を掛け持ちすることも禁じられているそうです。模合の連鎖倒産があるからです。
個人的にお金を貸し借りしているようなものなので、模合が破綻したときに資金繰りに困り銀行の金に手を出すといった不正につながるリスクがあるのでしょう。

ちなみに、インドネシア語のArisanをGoogle翻訳してみると、英語では”Lottery club”、日本語では”宝くじクラブ”と出てきました。DeepLは翻訳できなかったらしく、Arisan、ありさん、と出てきました。
日本語の頼母子、無尽、模合はどう訳されるかと思って調べたら、頼りになる母子、際限がない、という意味の直訳英語が出てきて、模合はMoaiと出てきました。
AIは古典に弱いと聞きますが、そのせいかもしれませんね。古い言葉はデジタルになっていないことが多いですから学習素材が限られているのかもしれません。



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