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【第10回】 アメリカ、イギリスにおけるエリート教育の根源

~その現地訪問によるインタビューを通じて2007~

※私が2007年にアメリカ、イギリスの学校を訪問してまとめたものです。訪問から月日が過ぎてはしまいましたが、希学園の根幹に通ずるものがここにあるので、各種データは当時のまま、文章部分に修正を加えています。

イギリス編 Harrow School
回答者:Barnaby J Lenon

 Harrow Schoolはロンドンにほど近いミドルセックスに位置しています。学校訪問の際、学校見学ツアーに参加しました。500エーカーも広さがある敷地は広すぎて全てを見学し切れませんでした。学校が誇る最新の建物や歴史の深い建物を見学することができました。400年以上もの歴史を持つ学校であるため、学校内には古い建物がたくさん建ち並んでいます。その中で最も古い建物は、学校創立初期に授業を行ったといわれる教室です。

 Harrow Schoolでは当時、卒業生が教室の壁に名前を刻むという伝統があり、初代インド首相やウィンストン・チャーチル首相を含む歴代英国首相の名前を見ることができました。その他に、1872年に建築された教会では、毎週日曜日に全生徒が各宗派の下にそれぞれ集まっています。

 敷地内には釣りやカヌーができる湖や、2005年に改装されたばかりのオリンピック選手の練習にも使われるという公式陸上競技用のフィールド、さらには各寮ごとに所有しているテニスコートが広い敷地内に点在しています。最新の建物としては言語学習ビルがあり、そこでは様々な言語を学習できます。さらに科学・技術ビルには、コンピューターや最新の機材を取り入れ、生徒達は高い技術を学ぶ事ができるのです。

 生徒も講師も全員がHarrow Schoolという一つの地域に住み、歴史深い建物と充実した施設の中で有意義な学生生活を送っています。

チャーチル首相の名の刻まれた演壇

■特色
・完全寄宿制男子校
・学業だけではなく、スポーツ・芸術面でも才能を発揮させる生徒を多数輩出している。
・試験に合格するためだけの教育だけではなく、リーダーシップ・自己達成・自主性・他人を尊敬する心・創造性・責任感など、社会に役立つ人間を育成している。
・全教員が学校内に住んでいる。
・全人教育を行っている。
・生徒のケアが充分にされている。

学校管理棟

■ボーディングスクール -寮制度- について
※寮における主要な人物とその役割
①House master:生徒の総合的な監視役
②House tutor :生徒の学業面での面倒を見る人
③Matron   :寮母(住み込み、メディカルケアも出来る)
※寮の良い点
①他生徒との共同生活で分かち合いの大切さ、思いやりを学ぶ。
②通学の不便さなどを感じない。通学時間を有効に使える。
③通学生のように9時~4時と限られた時間内で勉強を詰め込む必要がない。④週1回寮を訪れ、勉強の進度などについて相談に乗ってくれるAcademic Tutorがいる。

集会場(昔の講義室)

■カリキュラムについて:生徒の興味・やる気を育て、個々の能力に合った分野の試験で良い成績を収めさせる。
Sixth formの特徴
①自ら勉強する習慣をつける。
②自分の時間の使い方に責任を持つ。
③チームワークとコミュニケーション能力を身につける。
④各生徒にはAcademic Tutorがつく。
⑤寮では自室を持つ。
⑥Sixth former専用のテレビ室とキッチンがある。

 次回は校長への質問とその回答という形で、引き続きHarrow Schoolについて紹介します。


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