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【第2回】 アメリカ、イギリスにおけるエリート教育の根源

学校訪問に際しては学校の代表者と会い、まずは希学園の概略を理解してもらいました。
 
 希学園はエリート教育への大きな流れを作るスタートラインとして花開き始めました。この英才教育を標榜する進学教室というものが、志望校に合格するという第一義的な目的であらわれ始めたのですが、そこから得られた知識なり教養なりというものが将来のリーダー、将来のエリートとして君臨していくための大きな糧になっています。このような流れが新たにできあがってきたのです。その究極の姿としてスーパーエリート養成機関を標榜する塾として希学園が産声を上げました。

希学園はこの5ヶ条を基本方針としています。
<基本5ヶ条>
[第1条] 希学園は主として難関中学を目指すものを対象とする多数精鋭のスーパーエリート塾である。
[第2条] 「切磋琢磨」する努力を尊重する。克己心で自分の怠け心に打ち克つこと。
[第3条] 熱血講師による魅力ある授業のみを提供する。
[第4条] 科学的なデータと指導経験に基づく受験指導こそが真の受験指導である。
[第5条] 人に迷惑をかけない、自分を律する不屈の精神力を培う。

多くの方が希学園を認めてくださっているのは、我々が子どもたちに、合格するための力をきちんと与えているからだと考えます。知識を押しつけるのではなく、知的好奇心旺盛な子どもたちが自発的に興味を持ち、集中できる授業をいかに行うか。一人ひとりの個性を尊重し、引き出し、伸ばしていくということを講師たちは常に念頭に置いているからだと思うのです。
 また、『自分で勉強していく』という姿勢を身に付けてもらうようにしています。入試は一人で闘っていくものだから、最終的には自分で乗り越えていかなければならないハードルがいつか現れます。そのとき、自分の気持ちに打ち克っていくような精神的強さをどこかで与えていきたいのです。このことは、まさに、スーパーエリート養成の基盤ともいえるでしょう。

さらに、私が日本における私学教育にかける保護者の期待についても、その概略を以下の点において説明しました。

日本では厳しい経済情勢にも関わらず、私立中学・高校への受験者は微増傾向が続いています。特に中学受験ではその傾向が顕著にあらわれています。
 その理由としては、第一に、保護者の公教育に対する不安が挙げられます。『ゆとり教育』の中で子どもの学力低下が進んできました。さらに追い打ちをかけるように、2004年から新学習指導要領が実施され、授業時間数や授業内容が大幅に削減された公教育のもとで果たして十分な学力を育んでいけるのかといった心配が私学志向を強めているのです。
 第二に、落ち着いた教育環境が確保されています。選抜試験により、学力的にある程度均質な生徒が入ってくるので、教師も生徒一人ひとりに目が届きやすく、サポートもしやすいのです。勉強やクラブ活動に専念できる環境が整っているのです。
 第三に、少子化により、子ども一人あたりに対する親の期待・情熱がより大きくなってきました。不況とはいえ、私学に通わせても何とかやっていける自信が『我が子には良質の教育を』といった思いにつながっているのです。
 授業面でも、自由研究課題の豊富さ、すなわち、物事に対して深い洞察力を培うトレーニングや各種検定試験への挑戦など様々な独自の取り組みが行われています。また、知育だけではなく体力づくりやあいさつ・マナー・他人への思いやりなど人間教育に力を注いでいる学校が少なくないのです。

しかし、実際に日本と欧米の学校教育におけるエリート教育の相違点は雲泥の差を感じています。この違いを埋めるために、ボーディングスクールに対してインタビューによる聞き取りを開始していきました。

つづく。


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