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【第14回】 アメリカ、イギリスにおけるエリート教育の根源

~その現地訪問によるインタビューを通じて2007~

※私が2007年にアメリカ、イギリスの学校を訪問してまとめたものです。訪問から月日が過ぎてはしまいましたが、希学園の根幹に通ずるものがここにあるので、各種データは当時のまま、文章部分に修正を加えています。

おわりに

■ボーディングスクールを選ぶ理由
 なぜボーディングスクールなのかという質問には、両親の考え方がすべてであると思われます。例えばTaftを案内してくれた佐久間さんによれば、父親はconsultingの仕事、母親は画廊を経営していて、娘を自立させようと小さいときからinterに入れました。そして母親はten schoolsのことをよく研究してTaftを選んだと言っていました。
 特に日本の女子の場合、未だ(とりわけ今の親の育った時代と比べて)将来の職業設計に対して不安材料を抱えています。やはり「自立」の道を選択させたいと親は思います。したがって、ボーディングスクールに行かせた意味は将来アメリカ社会を含む国際社会において、仕事をさせるにはもってこいの教育システムだからなのです。なぜなら本来の自由競争社会と男女平等の意識の最も強いアメリカで育った、国家エリートを育成する教育システムだからです。それとは反対にボーディングスクールを卒業しないで3年以降帰国した生徒もいました。それも両親がそのようにさせたと言っていました。すなわち、アメリカ型の教育とその後の国際社会エリートの道でなく日本型の社会エリートへの道を送らせようと考えが変わったのです。

■篤志家財源が支えに
 自由な物の考え方を養成できるその裏付けとなるのは、完全に財政的に独立していることです。各校を見学して共通していたのはその施設設備の立派さです。ボーディングスクールのかわりに別名Independent Schoolと呼ばれるゆえんです。もともとの設立の源が当時の篤志家が作った学校が発展を遂げており、その膨大な維持管理費はその後の篤志家財源(寄付)が基になっているのです。また、その篤志家の財源による建物には必ずその人の名前をつけました。○○○ Hallというようにして半永久にその名を誇ることができるようにしているのです。したがって各校の案内の中にその財政的裏付けとして年間を通じた財政確保の詳細が必ず掲載されているのです。
 また、入学希望者に対しての学校のStatusとして示していることにもなります。学校の経営感覚はその財政担当部長の手腕が大きく評価されるのです。おそらくアメリカの大学と同様、どのような財政的かかわりをするかが学校のトップの手腕と言えるかもしれません。
 ただ、各学校代表者とのインタビューで寄付そのものがadmissionを得るのに必要かという質問には「ノー」でした。しかし、適性を得る面接が本人だけではなく、両親との面接があり、そこで話し合われることが教育方針だけではなく、財源寄付も話がでるということです。
 確かに年間を通じた指導力そのものがハイレベルであり、またExeterなどの運動施設はオリンピック公式会場で使用できるものも数多くあり、全部の見学をするには短期間では廻りきれない程でした。そんな充実した施設の中での指導であるだけに高額な維持管理費をまかなうためにたゆまない寄付集めが大きな学校経営の基盤を作っているとも言えることは明らかです。

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