空想スクール#3「午前塾」

これもイニシャルにすると同じだが、関西にある、古くから貿易都市として栄えたK市は、東京御三家に匹敵する私立中があるように、昔から中学受験が盛んな地域である。

だが、その背景には、さまざまな身分の人が往来するため、家庭の格差が激しく、それがために公立教育現場は激しい争いが多く、学校側も厳しい規制と「独特」な教育法で有名である。

格差が大きいため、イジメも多い。現在では、20人に1人が不登校。「不登校傾向にある子」も合わせると、10%以上であることは明らかだろう。

こうした背景から、近年中学受験、高校受験向けの中規模学習塾のEは、午前スクールという、不登校向けのプラグラムを開始している。

学習塾は基本的に13時以降〜22時ごろまで稼働するため、午前中空いている教室を不登校者向けに開放するというビジネスモデルである。始めた当初は、それほど利用者が増えなかったが、ここに来て公教育の評判の悪さと、学習塾Eの面倒見の良さが評判を呼び、今では、午後の通塾者を上回る利用者数となっているそうだ。


K市東地区のエリアマネージャー古瀬さんにお話を伺ったところ、「開設当初からスタディサプリの他、オンライン動画教材を提供する非営利団体と提携したことが大きかった」ということだそうだ。

EDORGJAPANの公教育の教科書に準じた動画授業は、教えるのがうまい学校の先生の授業を動画にしたもので、現在は小4〜小6までの授業動画が全カリキュラムに対応して視聴可能だそうだ。スタディサプリは、中学部は揃っているが、小学部は公教育に対応しているわけではなく、ニーズにあった動画がそれほどなかったが、ここに来て非営利団体が助成金と寄付金によって、小学生が学校に行かなくても困らないように動画教材を制作したそうだ。いずれも手頃な価格で視聴可能なため、保護者生徒の評判も上々だ。


学習塾Eに通塾する生徒たちは、オンライン教材で学習すると、チューターに気軽に質問できる。学校と違って自分のペースで学べるため、算数国語の授業動画を上の学年まで視聴し、受験勉強にまで手をつけてしまうケースも珍しくない。


通塾する小6のW子さんによれば、「勉強だけでなく友達もできるから、塾だけでいい」そうだ。W子さんは、私立女子中へ通うため、受験勉強しているが、「学校に行く時間が省略できて効率的に学べるし、午後にバレエやピアノを習いに行く時間もあるから、学校に行かなくてよかった」とも。


今後、公立学校がよほど良くならない限りこの流れに逆らうのは非常に困難かもしれない。



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