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きっぷあれこれ啓上候 vol.0001

【用語】「普通列車」とは何ぞや

JRが年間3シーズンに発売する企画乗車券に「#青春18きっぷ」があります。予め定められた期間の内、5回分をJR旅客線全線に乗り放題できるきっぷです。1人で任意の5回分、または複数人で1人を1回分に割り当てて使うこともできます。ただし、普通列車のみ有効で、たとえ別途特急料金を支払おうとも新幹線や特急列車に乗車することはできません。

さて、青春18きっぷの券面には、「普通列車乗車券」と記載があります。この「普通列車」とは一体何なのでしょうか。

▲ 青春18きっぷ 平成14年度冬季版

1.1 「快速」は普通列車ですか?

青春18きっぷでは、普通列車のみ有効となっていますが、快速列車にも乗車が可能です。関東地方では、中央特快、快速アクティ、快速ラビット、関西では新快速、関空快速、丹波路快速などがありますが、いずれも青春18きっぷで利用することが可能です。

では、青春18きっぷに記載の「普通列車」とは何を指すのでしょうか。JR各社が乗客との間で旅客運送契約を結ぶ際の約款にあたる「#旅客営業規則」第3条に次の通り規定されています。

旅客営業規則第3条
(4)「急行列車」とは、特別急行列車及び普通急行列車をいう。
(5)「普通列車」とは、急行列車以外の列車をいう。

では、「急行列車」とは、何でしょうか。旅客営業規則を見てみます。

旅客営業規則第57条
旅客が、急行列車に乗車する場合は、次の各号に定めるところにより、急行列車ごとに特別急行券又は普通急行券を発売する。

西日本旅客鉄道株式会社旅客営業規則

旅客営業規則第57条によると、急行列車に乗車するときは特別急行券又は普通急行券を発売するとありますから、特別急行券又は普通急行券が必要になるのが急行列車というわけです。同57条の対偶をとると、「特別急行券又は普通急行券を発売しないときは、急行列車ではない」となり、よって急行列車でない以上、急行券を発売しないのが普通列車といえるわけです。

1.2 【結論】

普通列車とは、急行料金のかからない列車のこと。よって、新快速、特別快速、快速も普通列車である。

1.3 だから、青春18きっぷで乗れる列車がこれ

青春18きっぷは、普通列車乗車券ですから、新快速も中央特快も、快速リゾートしらかみ号にも乗れるわけです。リゾートしらかみ号は全車指定席の快速列車ですが、指定席券は急行券ではないので、青春18きっぷで利用できるという理屈です。また、JR北海道やJR東海で見られるホームライナーにも乗車できます。ライナー券は急行券ではないので、ライナーは急行列車でなく普通列車、ゆえに青春18きっぷで利用可能という理屈です。

1.4 結局、急行とか普通って料金種別なのよ

例えば、日豊本線の6929M列車は国分発鹿児島中央行きの普通列車です。ただ、竜ヶ水駅だけは通過するので快速ではないかと思われる方もおられると思います。しかし、快速の明確な定義は旅客営業規則にはありません。極端な話、ノンストップで走ったとしても急行でなければ(急行料金が不要ならば)普通列車なのです。

また、国分・鹿児島中央間には、特急きりしま81号が運行されていますが、錦江駅と竜ヶ水駅だけ通過となりますから、先ほどの6929Mとは錦江駅に停車するか否かの違いだけになります。その一駅の違いが特急と普通列車の違いなのかというと、複雑な気もしますが、理屈からいうと特急料金が必要だから特急なのであり、特急料金が不要だから普通列車なのです。確かに特急料金を必要とする根拠を錦江駅の通過に依拠しているのかもしれませんが、仮に各駅停車であっても特急料金を必要とするなら特急なのです。すなわち、特急や急行、普通というのは、速度種別というよりは料金種別の意味合いが強いといえるのです。取り分け、乗車券類に見られる種別は、すべて料金種別といって差し支えないでしょう。

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