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03 基本の手法、けれんの手法(メソッドの話)

メソッドとは解決法のこと

このレッスンでは、いろいろなカタカナの言葉が出てきます。01では「プリンシプル」。今回出てくるのは「メソッド」です。

本当は、僕はカタカナ言葉が好きではないので、そのかわりにメソッドの日本語訳の「解決法」という表現を使うほうがいいのかもしれません。でも、この「解決法」という言葉は、ケンカとか、トラブルの「落とし所」みたいな語感があるので、創作には向かない気もしています。

そんな理由から、

● どうやって、不思議なことのように見せるのか、その手口。
●プリンシプルと呼ぶほどでもない、秘密の動き。

を、このレッスンでは「メソッド」と呼ぶことにします。でも「手口」もまた、「犯罪の手口」みたいに使われるので、へんなイメージですよね。

それでは、前回のレッスンでトリックを例に挙げて、「メソッド」のイメージをつかんでいくことにします。

でも、言葉の定義については、あまり難しく考えないでくださいね。このレッスンでも、創作のための変なカタカナ語は、「プリンシプル」と今回の「メソッド」を含め、全部で3つしか出てきませんし、今は無理に覚える必要はありません。

前回のレッスンの後半で紹介した、「トロンプルイユ」を題材としたトリック。以下のような流れで、実際のマジックは進行していきます。

トリックの概要
○子供の頃に作った、手書きのトランプを見せ、観客に1枚選んでもらう。
○スケッチブックをテーブル代わりに使い、観客のカードを混ぜて並べる。
○マジシャンは目隠しをして画鋲で一枚のカードを刺す。
○スケッチブックを立てると、トランプが落ち、1枚だけが画鋲で止まっている。
○ところが、それは観客のカードとは、微妙に違うカード。
○画鋲を外すと、1つのマークが画鋲と共に外れ、観客のカードになる。
○なぜ、画鋲なしにスケッチブックにカードが留まっているかを確かめると、スケッチブックにカードが描かれているだけ。

これは(観客に見える)ストーリーがステップで並べてありますが、その中で「不思議な部分」だけを抽出してみます。

「観客の選んだカードだけがスケッチブックに貼りつき、1枚のカードではなく、描かれた絵になってしまう」

さて、どんなふうに、この部分を実現したらいいのでしょうか?どんな方法があるのでしょうか?

自分がこのトリックを作りながら、頭を悩ませている……と、想定しながら読み進めてみてください。

僕が想い浮かべた、3つのメソッド

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