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リールをめぐる冒険

今、Noteを見返したら10月以降放置していた。たった4本の記事だけで放置とは情けないが、次は釣りに行く記事を書こうと思って月日が流れた。

実際この冬は全く釣りにも行けなかった。プロジェクトが立て込んだり、やっと行けるかと思うとプロジェクトメンバーに新型コロナ陽性者が出たりとタイミングを逃し続けた。この時期は海に行っても生命感を感じることが少なく、行くとしたら管理釣り場だろうと、逆に気軽に行ける気がして本腰を入れて計画していなかったこともある。

ただし、この間ヒマさえあればリールをいじっていた。もはや釣りのNoteではなくリールのNoteであると開き直ることにする。釣行の記事書いたところで1mを超えるシーバスとか100kgを超えるマグロなどが登場する見込みは無いし。

New Recordをめぐる冒険


メインで使っているAbu Garcia Ambassadeur 4600C R.GUNNAR Sprintはカスタムを重ね、すっかりエリアトラウト用になってしまっているが、海で使うアンバサダーが欲しいと思い一昨年中古で購入したのが Abu GArcia Ambassadeur RECORD 40(RCN40)だった。購入の決め手はずっと参考にさせてもらっている「アブのお姉さん」の記事であった。

2005年発売の、アンバサダーにしては最近のモデルであり、随所に工夫を凝らしたアブガルシア渾身の新型であった、らしい。
だが、革新的な機構はマーケットの支持を得られず、数年で発売は中止し廃盤となってしまっているモデルだ。

従来の番手表示ではなく、あえて二桁にして新しいレコードアンバサダーの世界築いた最新モデル。
40番は4000番サイズに該当し、淡水・海水のルアーフィッシングはもちろん、船の小物釣りに対応します。
50番は5000番相当の大きさで、オリジナルサイズのトップウォータープラグをキャストするのに最適なサイズ。
60番は6000番サイズなのでライギョ釣りやヒラメ、タイ、マゴチ、カレイなどの船つりに。
いずれのモデルも、リトリーブ時メカニカルブレーキが切れ、リトリーブ時の巻上げが軽いワンウェイ・メカニカルブレーキシステムを搭載。ブレーキロックの数も増え、よりシビアな釣りに対応します。

・ワンウェイ・メカニカルブレーキ
・6点式遠心力ブレーキ
・防錆インスタントアンチリバースベアリング(ソルト対応)
・インスタント・アンチリバース
・エルゴグリップ付きアルミサムレスト
・ニッケルテフロンコーティングウォームシャフト
・クラウンカットブラスギア
・カーボンマトリックスドラグワッシャー

1. メカニカルブレーキを最大に締めても、それがリトリーブ時には切れるので、常にハンドルの軽い巻上げが可能(ワンウェイ・メカニカルブレーキ)
2. ウォームシャフトをニッケルテフロンコーティングすることで耐久性が大幅に向上
3. 従来よりもブレーキブロックの数が6個に増え、ブレーキの調整域が広がりました。またブレーキブロックパーツも脱落しにくい構造になりました。
4. 耐久性、耐熱性、耐摩耗性、スムーズな滑り出しを高次元で実現したカーボンマトリックスワッシャーを採用。メインギアは錆にも強いブラス製。

ピュアフィッシング・ジャパンのサイトからAbuのお姉さんが引用したものを引用

実際手に取ると、細かいところまでしっかりと作られている感じがする。シャロースプールも格好良いしカップにステッカーが無くシンプルなのも良い。とはいえ中身の構造は従来のアンバサダーとあまり変わらないので実際のところ工業製品の精度としてはそんなにレベルは高くない。

面白いのはスプールの中にワンウェイローラーが組み込まれており、投げる時にはスプールシャフトも一緒に回転し、巻き取る時にはスプールだけ回転するという構造となっている。

ウルトラキャスト式のアンバサダー(UCではない)の場合はスプールの回転性能を上げようとするとスプールに内臓するベアリング交換したりオイルチューンを行ったりするが、このリールの場合はここのベアリングは巻き取りの時にしか使わないのでキャスティングには全く影響が出ない。(ちなみにベアリングのサイズは1040)

時々、スプールにベアリングじゃなくブロンズブッシュが入っていた!と憤る方がいるらしいが、アブも「そんなところにベアリングなんてコストの無駄」とでも思っていたのでは無いだろうか。

キャスティングに影響するのは、スプール両端のカップ側に配置されたベアリングだ。(サイズは1030)

キャスティング時にスプールシャフトも一緒に回転するが、これを両端のベアリングで支えるのはクラシックモデルやUCと同じ原理となる。ウルトラキャストとUCの良いとこ取りをしようとしたのかもしれない。

実際これがどのくらいキャスティングに影響するかというと、自分のレベルでは違いが全くわからなかった。いや、恥ずかしい話だがそれを確かめる前に大バックラッシュを起こし、その日はRCN40を使うことなく終わってしまったのだった。PE1.2号でダイソージグをぶん投げようとして失敗したのでいつかリベンジをしたい。

ベアリングをめぐる冒険

しかしこのモデル、いじりがいがあるのも確か。
なぜならノーマルでもベアリングが6個も入っている。(IARを入れて)
カップ両端 (2)、スプール (1)、スプール内ワンウェイローラー (1) 、コグホイール (1) 、これにIARで合計6個。

で、ポン付けで入れられるだけ入れてみたのが現在の仕様。

  • スプールベアリング x2

  • シャフトベアリング x2

  • コグホイール x2

  • ウォームシャフトx2

  • PON x1

  • ワンウェイローラー x1

  • インスタントアンチリバース x1

  • ハンドルx4

合計15ベアリングとなっている。しかもウォームシャフトはベストタックル謹製。

香川塩ビ工業さんいつもお世話になっております。

ラインアラームをめぐる冒険

リールのカスタマイズは完成した。さて何を釣ろうかと魚釣り関係のサイトを見ていると、沖堤防の動画が目に飛び込んできた。ドラグを緩めてラインアラームが鳴るところが実に心ときめく。
ラインアラームが鳴り響く時、それは大きな魚が針を咥え逃れようともがく時。釣り人なら誰しもロマンを感じる瞬間では無いだろうか。

そうか、自分のリールにはラインアラームが無い。ならば付けてしまえ。

だがパーミングカップモデルのアンバサダーでラインアラームがついているのは6000番台のみ。
アンバサダーは4000番台も5000番台も6000番台も、フレームとスプールの大きさが違うだけで両方のカップは大きさに関係なく付け替えられる。とはいえカップにステッカーが貼られているとちょっと微妙な感じがしてあまり乗り気にはなれない。

だが、RCNシリーズはカップにステッカーがなく、しかも型番はハンドル側のみ。これは作るしか無いとヤフオクで安いRCN60を狙うこと数ヶ月。なかなか出品がなかったがやっと出てきたRCN60HCを落札し、サクッと付けたら出来上がったラインアラーム付きの4000番台アンバサダー。

ついでに折角入手したリールなのでとこのRCN 60 HCもフルカスタムに着手。

お約束のベストタックル謹製ウォームシャフトにベアリングてんこ盛り、ついでにギア比も5.3:1から6.3:1に変えてしまえ、ナイロン6号を200m巻いたらローギアじゃかったるい。

しかしそこに落とし穴が潜んでいた。

メイン&ピニオンギアをめぐる冒険

6点遠心ブレーキ用の6.3:1のギアは4600C R.GUNNAR Sprintにも入れていたし、RCN40のものと同一なのでRCN60にも簡単に付けられるだろうと考えていた。だが、RCN60にそれを付けたらリールが組めない。なんとスプールシャフトがピニオンギアに入らないのだ。
計測するとRCN40、RCN50のスプールシャフトのメインプレート側は他のウルトラキャストのアンバサダーと同じ3mm径だがRCN60のシャフトは3.5mm径となっている。

これは困ったと思ったが、そういえばUCシリーズのピニオンギアの内径は3.5mmと書いてあるのをみたような気がする。

https://enbi.jp/shopdetail/000000000432/

しかもステンレスギアらしい。ブレーキがどうなるかはわからないが、一度ダメ元で試してみようと思う。

そしてフルコンプへ

とりあえずギア比は5.3:1のままで一応RCN60HCのカスタマイズは完了したのだが、その段階で未使用保管品のRCN60を発見。やはりシャロースプールは欠かせないので落札し、出来上がったのがこれ。

ここまでくると、RCNシリーズも50でフルコンプになる。自分でも何やっているのか分からなくなりかけていた時に、またしてもヤフオクでRCNのボロボロの格安を発見。
ついにRCN(右)が全て揃った。
理論上、渓流のイワナから船のマゴチ釣りまで釣りができるラインナップとなったのだが、生憎まだなんの釣行計画も立っていない。
桜の季節になるまでには行こうとは思っているのだが怪しいものだ。

New Recordの面白さ

たまに、メーカーがものすごく気合を入れて開発していたにも関わらず、市場から全く評価されずに消えてしまう工業製品がある。自動車で行ったらポルシェ928がそうだろう。911の欠点を解消し、アメリカ市場で求められる豪華なGTとして作られた渾身の車種だったが思ったほど売れずにいつの間にか消えてしまった。ポルシェファンは911みたいな見た目でないと、どんなに中身が良くても認めないらしい。

アンバサダーの評価もそれに近いのかもしれない。どうせアンバサダーを使うなら見た目はクラシックの方が良い、というか古いアンバサダーが最高であって90年代以降の簡素化されたメカのものは味気ない。そもそも性能を求めるのならシマノやダイワを使うか、アブでもレボ使う。アンバサダーは古典的で開高健で釣りキチ三平でないと認めない…

それでもメーカーの開発者は、製品の質の向上とコストダウンを命じられ、真面目に考えて作ったのだろうと思う。パーツは絶対に複数の機種で使い回すはずのアンバサダーシリーズにおいて、RCN60のメインシャフトはこの機種専用としか思えない。ワンウェイローラー入りのスプールもこの機種にしか使えない。スプール単体での販売も見たことがないので、マルチスプール運用もできなければ恐らくアベイルが軽量スプールを開発することもあり得ない。外装以外で専用パーツが多いというのは、それだけ将来へ向けた投資を行ったということに他ならない。

せっかく揃えたリール達なので、これからのシーズンはどんどん使って魚を釣るつもりだ。


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