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ウィズコロナ時期の劇場の集客について考えてみた

一部の県で緊急事態宣言が解除され、劇場などの再開についてもガイドラインが出ました。

↑ ガイドラインのリンクはこちらです。

このガイドラインを読んで、今日はウィズコロナ時期の集客について考えたことを書こうと思います。
ガイドラインに書かれていた集客に関わる項目は下記です。

・ 座席は原則として指定席にするなどして、適切に感染予防措置がとれる席配置とするよう努めてください。
・ 座席の最前列席は舞台前から十分な距離を取り、また、感染予防に対応した座席で の対策(前後左右を空けた席配置、又は距離を置くことと同等の効果を有する措置 等) に努めてください。

これがどういうことを示しているかというと、売れる席が減るということです。
客席全部が埋まった状態を着席率100%として、前後左右を空けた席配置、又は距離を置くことと同等の効果を有する措置、これを数字にすると、もし前後左右に2mずつ(ソーシャルディスタンスの基準距離)空間を取った場合、劇場の席はだいたい幅50cm前後90cmくらいなので満席でも15%前後の席しか使えないそうです。2mではなく1席ずつ空けることにしたとしても50%。ちなみに日本より先に再開しようとしている中国の劇場は30%を上限にしているそうです。

着席率

どれだけの席が埋まれば採算が取れるのか私はわからないのですが(いつか調べたい)、完売しても15%、もしくは50%の席の分しかチケットが売れないというのは今までのチケット代では採算が合わないだろうということは想像に難くありません。

では、どうするのか。選択肢は二つです。
①チケット料金を上げる。
②別の形態のチケットを売る。

①チケット料金を上げる

仮に15%前後の席しか使えない場合に元の興行と同じだけの利益を得ようとするとチケットの料金は10倍に跳ね上がるそうです。さすがに…ガチの観劇沼の住人でもおいそれと10万のチケットは買えませんよね。買えたとしても、以前までの観劇回数は維持できないはずです。

結果としてチケット代の限界を越える高騰は、劇場から客足を遠ざけることになってしまい、アフターコロナまで観客をつなぎとめることを難しくしてしまうように思います。
それに、ウィズコロナ時期は、観客側も行きたいけれど行って大丈夫なのか、と従来よりも観劇に慎重になる傾向が強まると思います。慎重になってしまう心理に加えて、チケット代も高騰するとなると、やはり足は遠のいてしまうのではないでしょうか。

もちろんある程度の値上げは必須だと思いますが、売れ残ってしまっては状況は悪化するばかりです。単価と販売数のバランスが大切なため、観客心理とのせめぎあいでよくて2倍、3倍程度までなのかと個人的な感覚としては思います。会場チケットだけに頼れない状況です。他にも手を打たなければいけません。

では、どうするのがよいのか。

②別の形態のチケットを売る。

この中にもやり方はいくつかあります。
例えば、特典などの充実したプレミアムチケットを作り、こちらに関しては高額で取引することにしたり、採算性の高いグッズとのセット売りにして利益率を増やすなど、です。

とはいえチケットの全体数が少ない中で単価を上げても限界はすぐです。

やはり、ここはライブ配信を並行で使っていく必要があるのではないでしょうか。

緊急事態宣言による外出自粛の期間に、ライブ配信は一気に身近なものになりました。今までライブ配信をやったことのないアーティストたちがこぞって配信を始め、そのファンもライブ配信を見ることが日常になりました。配信疲れという言葉ができるほどでした。コロナショックにより、ライブ配信はより手軽によに身近なものになり、人々の抵抗感が下がった状況が今です。

この人々のライブ配信慣れの流れを頼りに、劇場が再開してからも会場からライブ配信を合わせて行い、そのチケットを売ります。もちろん有料です。価格帯の目安はわかりませんが、個人的な感覚としてはもともと見たかった作品のライブ配信であればチケット代の3~5割程度の値段ならライブ配信チケットを購入すると思います。

一枚の単価は安くとも、ライブ配信であればチケット枚数の上限がなく、住んでいる場所の制約で見たい気持ちはあるのでなかなか舞台を見に行くことができなかったという客層も取り込むことができます。

ライブ配信を行うときのクオリティの担保や、公告方法など、ライブ配信ならではの対応が必要となるため、そんなに簡単にいくことではないかもしれませんが、まだしばらくコロナの影響が続くことを考えると、私たちの愛する劇場が生き残っていってくれるためにも、ウィズコロナ時期に新しいやり方を試すことは必要だと思います。

コロナの影響でデジタルのやり取りでできることの多さに気づきましたが、
同時に生だからこそ感じられるものがあるということを多くの人が強く感じています。
生の大切さを知り、求める人には、生ならではという付加価値のついた少し高めのチケットを購入してもらい、空席となってしまった分の採算は人数無制限、観客側の移動などの負担のたい気軽なチケットとしてライブ配信チケットを売る。このnoteの現時点での結論です。

こんなにも劇場を恋しく思ったことが過去あったでしょうか。この想いは消えません。エンタメの灯も決して消えないと信じています。劇場の扉がまた開かれるとき、コロナを乗り越えたその先に見えるさらに輝ける景色を心待ちにしています。

エンタメに関わる全ての人々がまた思い切り想いを遂げられる日が一日でも早く来ますように。


おすすめの作品などを教えていただけるととてもうれしいです。