見出し画像

人生の節目にバカになる #岡村歌謡祭

5年ぶり2度目の、岡村隆史のANN歌謡祭に行った。
放送されるまでが歌謡祭だということで、一週間たって振り返る。
レポートは公式のものをみてください、あとタイムフリーで聴けるうちに聴いてください。その後に続く「ヌーさん」こと、King Gnu 井口さんのANN0も含めて。

5年前は初回の歌謡祭だった。日本各地からオールナイトニッポンのヘビーリスナーが集合するとんでもない機会が現れたと思い、先行予約で即チケットを手に入れて、夏前から心の準備をしていた。

ところがその年の秋、父親が癌で入院することになり
祖父も容体が悪くなり、ぼくはぼくで会社をクビになって点々と仕事をしたりして疲れてしまって、北海道の実家に一時帰ることになった。

チケットは先行で自宅に届いている。
母親は、ぼくが実家に居続けることを望んでいる。
ひどく葛藤した。
結果、父と祖父に挨拶をして、ぼくは青函トンネルを抜け
夜行バスを乗り継いで上京して初回の歌謡祭に参加した。

そのちょうど1年後くらいに二人とも他界した。父の死に目にはギリギリ会えた。あの時、ぼくが実家をまた離れることをゆるしてくれたふたりに感謝している。
だから、2回目以降は法事の日程と重なったりして参加できなかったし、
ゲストもどんどん豪華になってチケットも取りにくくなってしまった。

あれから5年後の9月29日。全く同じ日ではないけども、あの頃に似たような心境でこころが疲れてしまっていた。
ふとTwitterを見たら歌謡祭の当日券が発券されるというツイートを見かけた。そしてしばらく見てなかったハッシュタグ #99ann を見たらチケットを余らせている人がみつかった。

行こう。

それだけだった。思い立った。
横浜市民なので会場は近い。当日の約束をキャンセルさせてもらってサイフとタバコとケータイだけ持って家を出た。
チケットは余らせている人から無事に譲っていただき、お礼にお水を渡した。

勢いでTシャツを買った。

画像1

「バカになれ」って書いてある。
そう。ぼくはバカだ。毎週欠かさず深夜ラジオを聴くバカ。
突然思い立って横浜アリーナに行くバカ。
開演ギリギリまで、カラッカラになったスノードームやよゐこの落書きを見るために並ぶバカ。

5年ぶりにみて思ったこと。これはもう、ただのラジオ番組のイベントじゃない。
ラジオが発端になっているけど、年1回の歌謡祭というルーチンができたので毎週のラジオが歌謡祭のためのストーリーとしての番組にもなっているし
歌謡祭が番組1年間で触れた内容のハイライトにもなっている。

初回は、まだナイナイのオールナイトニッポンが終わった直後でもあったので内輪ノリというか、手探りでイベントを作り上げている感じも強かった。
でも、もう「知っている人だけが笑えるもの」じゃなくて、「次につないで行くための集大成」になっていた。

1年に1回、「あなたが好きなものはこれだけステキなものなんですよ」と教えてくれる場所になった。

出てくる人もステキなバカしかいない。
10年以上前の1回のスクープしか関係がないのにコントに付き合ってピアノを練習して披露するバカ。
毎回デビュー曲しか歌わせてもらえないのにバッチリ歌い上げるバカ。
自分の曲を下ネタに替え歌されてるのに満面の笑みで出てくるスポンサーバカ。
ゆでたまごについて熱く語るバカ。
「ワインレッドの心」一曲で会場の空気を掴むバカ。
いちコーナーのBGMを全力でカバーしきるバカ。
たった一回コンサートで歌ったカバー曲を1日に2回も披露する大御所バカ。
突然の音楽キッカケで面白い4文字を考えるのに瞳孔が開くバカ。
牛乳いじりに毎回丁寧に応えるバカ。
担当を外れたのに高校のユニフォーム着させられ歌わされるイエスマンバカ。
ハガキ職人大賞のBGMだけじゃなくてファンファーレまで完コピするバカ。
たまたま当時プッシュされてた曲が勝手に番組でアンセム扱いされてただけなのに毎回きちんと長野から参加するバカ。

そして、パーソナリティが一番バカ。
番組冒頭で「スターにさせてもらいました」って言ってたけど。
この日のためにサックス練習するとか、どれだけバカになるために力注いでるんだよ。大河ドラマの撮影あるんじゃないのか。

画像2

でも、バカなのに全力なのは最高なことだ。
開き直りじゃない。
全力でバカをやるには大変なカロリーが要ることをしっている。
自分だったらどこか照れが出たり、斜に構えてみたり、「今の自分」を織り込んでみたくなるだろうに、皆、要求される高めのバカ度に直球で立ち向かう。

バカなことでも、全力でいけば、歪かもしれないけど大きな輪ができていく。続けて行くことの大事さと、ここにいてもいい意味を改めて感じさせてくれて、バカに戻してくれて本当にありがとう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?