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あんなにも死が怖かったのは、よりよく生きようとしていたからかもしれない。

私は、死にたくなんかなかった。

もちろん、未だ生きているのだけれど、
いつかであろうと死にたくなんかない。

けれど、いつかは死んでしまう。
死にたくない。
死ぬのが怖い。
だから、生きている。

命を惜しんで、生きてきた。
死なないために。

けれど、
本当に命を惜しんでいたのだろうか?

血圧が高めなのに、
メタボ。運動は気が向いたら時だけ。
晩酌と称しては、嗜む以上のアルコールを飲む。
医療保険を入り直そうと思いながらも、放置。

この状況を続けたら、どうなる?
自分の健康に対して、不安しかない。

私は、健康に自信があるけれど、
その信頼を失ったら?
病気にならないでいられる?

これは、緩やかな自殺だ。

私は、死にたくないと言いながら、
サイレントキラーに殺されようとしていた
のではないだろうか?

放置。惰性。怠惰。

手を打たなければ、悪くなる一方だと知っていながら、動こうとしない。
命を養うどころか、蝕んでいる。
自ら進んで。

やっと気づいた。

私は、死にたくないと言いながら、
死にたかったんだね。

命を惜しむだけの人生。
誰からも求められず、満たされず、
この世界に不要な命を終わらせたかった。
無意識に、そう願っていた。

そして、生きることしか考えない命と
辻褄を合わせるために、
不要でない人間になろうと必死だったわけだ。

自分には価値がある。
それだけの努力をする。
他者から認められて、安心する。
認められずに、不安になる。
認められないなら、生きている価値はない。

承認欲求のスパイラル。

死にたいという声は、本心だった。

ずっと認めることができなかったけれど、
死にたくなんかないと思い込んできたけれど、
肉体は願い通りに、緩やかに死に向かっている。
今も、着実に命を削っている。

私は、生きたくなんかなかったんだな。
命は、生きようとしていたけれど、
私は、死にたかったんだね。

命を惜しむだけの人生なんて、
生きる価値がないから。

私は、命を使って、死にたい。
生きるのではなく、死にたい。

生きようとするから、
死が怖かったんだよね。

命のゴールは死なのだから、
生きようとすればするほど、
生きることそのものが恐怖になる。

私は、死にたい。
死ぬために、生きている。
命を使い切って、死ぬ。

生きることは、単なる過程。ただの現象。

どう生きるか?
ではなく、
どう死ぬか?

ゴールは死と決まっているのだから、
死を目標にすればいい。

私は、死にたい。
死ぬために、命を削る。

自暴自棄とは、違う。
命を使い切って死ぬとしたら、
たくさん使えたほうがいいもの。

先ずは、命を養う。
なによりも、体を労わる。

病気になるような生活はやめる。
自分を楽しませるための
ご馳走や美酒は、毒なのだ。

楽しみが命を削るのなら、
それは、命の楽しみではない。
魂があるなら、それも喜んではいない。
肉体だって、食べ過ぎや飲み過ぎは苦しい。

なら、楽しみはなにを満たしているのだろう?

心?
思考?

命を削って、楽しむなんて、悪魔の所業だわ。
なんで、そんな酷いことをしてきたのだろう?

死にたかったから。

そうなんだ。本当に。
私は、死にたかったんだね。

好きになれなかったからね。
太った自分も、血圧が高い自分も。

万が一、病気になったら、
私は病気を憎み、
過去の自分を恨み、
自分の人生を呪うことで、
死と向き合うことを避けようとするのだろう。

病気になった自分を許したりしない。
愛するなんて、できるはずがない。

私は、想定外の自分を認めないだろう。
それは、自分を殺していることと同じなのに。

よりよく生きようと願ったら、
無意識に自殺させられそうになった。

なら、よりよくなんか生きなくていい。
正しくなくても、ダラしなくても、
ルーズでも、おっちょこちょいでも、
ダメと言われ続けた私のままでいい。

どんな自分も赦す。
無駄に命を削って死ぬくらいなら、
どんな罪深い私だって赦すよ。

社会にとって不要でも、
誰からも愛されなくても、
命は祝福されている。
誰の命も平等に。

それを信じて、赦そうよ。
もういいよ。

遅刻する私。
財布を忘れて買い物に行く私。
ビジネス用語がわからない私。
知ったかぶりする私。
見栄を張る私。
嘘をつく私。
意地悪な私。
人に好かれたい私。
死にたい私。

全ては、甘えなのかもしれない。

そんな自分を、変えて行かなければならないのかもしれない。

だとしても、
今は、そんな自分を赦して。愛して。

よりよく生きなくていいから、
ありったけの命を使い切って、
死んで行こう。

生きようとしなければ、
死ぬことも少しは怖くなくなるかな?

命を全うして、安らかに死んでゆけたらいいな。

間違っているかもしれないけれど、
生きることではなく、
死ぬことを目指してみようと思う。

 fumori 


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