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命の尺度なんか、いらない。

人生の成功なんか諦めていた。

ずっと前に。
成功というより、人生そのものを。

一生に一度の人生。
せっかくなら、与えられた命を活かしたい。
やりがいのある仕事をして、生きてゆきたい。

なんて耳触りのいい言葉で誤魔化しつつ、
膨大な承認欲求を満たしたいだけだった。
それしかなかった。

やりがいという承認欲求を諦め、
生活のためだけに働くことに嫌気がさし、
かといって飢え死にする勇気もなく、
引き取り手のない感情を抱えていた。

こんな人生、嫌だ。

生きがいを探して、
一般論に歯向かい、
社会的不成功を味わい、
お金も、地位も、立場も得られず、
快適な生活を我慢する人生。

いいわけないよね。そんな人生。

人生が思った通りにあるのなら、
なぜ、こんな人生が起きているのか?


私の人生がこうなったのには、理由がある。

望まない現実は、私が選択を間違えたから。

現実は、過去からのギフト。
選択の結果が、今。

良かれと思って選んだはずなのだけれど、
今ある現実に文句をつけているのなら、
どこかで間違えたのだろう。

ずっと上辺の事象に原因があると思って、
アレコレ拾い出しては、後悔して、
自分を責めることで、向き合わずにいた。

望まない現実は、
私だけのせいではないけれど、
私の選択の結果だった。

そう考えた方が、楽だということに、
今更、気づいた。

今ある全てが、選択の結果だとしたら、
今日選んだことが、未来になると確信できる。

確信があれば、投げやりな選択をしなくなる。
選択の精度が増す。
望む現実に近づいてゆく。

人生って、そうやって築いてゆくものだった。
大切なのは、何かを成し遂げることより、
今の選択が未来であることを知り、
日々、精度を上げてゆくこと。

人生は、とても細やかなもので、形作られてゆく。

望まない現実は、
いい加減な選択をしてきた自分のせい。

過去の選択に責任を持つことによって、
未来の可能性を信じられるようになる。

誰かや、何かのせいにするだけ、
未来は力を失ってゆく。

自分の世界ではなく、
誰かのための未来になってゆく。


なら、私の最大のミスは、
生きがいのある仕事をしたい
という選択なのだろうか?

探すものではなく、
やり続ける中で出会うものだから?

身の丈に合わない野望のせい?

失敗した理由なら、いくらでも。
ただ、選んだ以上は、叶うと思うんだよね。
命が尽きるまでに間に合うかどうかの問題で。

なので、
叶わなかった目線ではなく、
願いは必ず叶うというポジションから
捉え直してみるとさ、

うまくいかない人生にも必要性を
見出さなきゃならないわけで、

社会的不成功者として
人生を無駄にする代わりに
培ってきたものってなんだろう?

って考えてみたらさ、
それが願いを叶えるために
得なければならなかった手段
だったんじゃないのかな?

とか思えてくるのだもの。笑える。

こんな人生で失ったものが、
年金。収入。まともな人生。社会性。

だとしたら、得たものは、
失敗。挫折。我を通す。我慢。忍耐。

到底、役に立つとは思えない経験ばかり。
ネガティブな過去を解釈し直してみよう。

私は、失敗が怖い人間だけれど、
人生を賭けて失敗し続けてきたし、
挫折しまくっても未だに生き延びている。
案外、しぶといサバイバーとも言える。

私は、無責任な人間だと思っていたけれど、
我を通す代わりに、
裕福ではない生活を引き受けてきた。

私は、自由を望んでいるけれど、
側から見れば、そこそこ自由に生きてきたとも言える。

自由の対価として、
ダメ人間の烙印は押されたけれど、
今や職を転々とすることに制限のあった時代の方が
どうかと思う価値観が主流になってきたしね。

失敗しても生き延びるしぶとさ。
選んだリスクを引き受ける覚悟と責任感。
私の思う自由に、やっと時代が追いついてきた…?

ということにしてみたら、
これまでの人生で培ってきたものって、
この先、出会うことになるやりがいのある仕事に
必要な手段なのかもしれない。

人生に意味があるのかわからないし、
意味がないから無為に生きられることもあるし、
自分なりの解釈を捉え直すことで、
人生がリバースすることもある。

そう考えると、
誰の人生にも無駄はないのだと思う。

人生を失敗だと言い切っていたのは、
私の中に成功者像があったというだけの話。

それに適わない自分を無意味と捉えていただけで、
そもそも人生には、失敗なんて存在しなかった。

私がその価値観を選ばなかっただけ。
選ばなかったのは、
それ以上に叶えたい何かがあったのかな?

命を測る尺度なんか、いらない。

人生には、失敗なんかない。

ただ、残り少ない人生が、
準備だけで終わらないように祈るばかりです。

fumori

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