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2020年4月5日『鳥の日』

本を読んだ

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 生物の体色や視覚の仕組みについて、著者によるカラー写真とともに解説する本。チョウは実は紫外線を視認してて……とか、メジロの目の周りにある白い模様の意味は……とか、タマムシの発色は色素じゃなくて表面構造によるもので……といった感じ。
 構成のストーリー性が弱く、事実を羅列している、といった印象を受ける本。書き口も、読み物というよりは図鑑や教科書に近く(もっといえば科学論文の「Result」のような)、無味乾燥なものだったため、私はあまり没入できなかった。生物全般に興味がある読者だったとしても、抵抗なく読み進めるのは難しいのではないかと思う。逆に昆虫や鳥類、植物に強い興味があるマニアだったら良いのかというと、今度はそれぞれに割かれているページが少ないため、不満足になってしまうのではないかと感じた。内容自体も、昔どこかのネット記事で見たな、という事柄が多かった。


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 あらゆる粒子がボーズ粒子とフェルミ粒子に分類されることを解説するとともに、それらの特性について紹介する本。波と粒子の二重性や、波動関数といった量子力学の基礎も説明している。また、量子力学の学問分野を切り開いた科学者たちの歴史についても学べる。
 量子力学にちょっと興味がある人が入門書として読むのにとてもふさわしい本だと思う。たとえば、ボーズ粒子とフェルミ粒子を学ぶにあたって必要な量子力学の事柄は、決して踏み込みすぎないよう、難易度を抑えていることが節々から感じられる。数式を最小限にとどめていることや、想像しやすい比喩を用いていることも、読みやすさの一因だと思う。また、重要な科学的事実の説明が繰り返し行われるので、ページを戻ることなく、一気に読了できる。
 特に第5章「ボーズ粒子と超流動」と第6章「フェルミ粒子と超伝導」では「超流動」や「超伝導」といった現象を解説しているのですが、前章までに学んだ事項を用いて論理的にその原理を説明してくれるので、科学的な推論の楽しさや、メカニズムを解き明かすための議論の面白さを知ることができると思う。
 私も学生の頃に量子力学の基礎を学んだけれど、あまりにも抽象的、かつ非直感的すぎてついていけず、ほとんど数式の暗記で試験をパスした記憶がある(物理学を専攻していない学生には珍しくないことだと思いたい……)。
 この本を読むことは、それらの曖昧な知識を具体的に再定義してくれるという点で、有意義だったと感じた。パウリの排他律ってそういうことだったのね……。
 なんとなく量子力学やったけど何もわからなかった! でも興味はある! という人にはおすすめ。高校数学レベルの知識があればついていけると思う。面白かったです。

ガストの肉

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