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如月詩集

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物語の断片のようなもの。夢の切れ端のようなもの。
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2022年8月の記事一覧

世界の反転

蝶のキッスを受けて 花は 世界を 反転させる 花が、あなたに キッスしたなら もう 「あなた…

6

君の世界の話

世界は、君が思っているより ずっとずっと広い 誰かの後を追うなんて 馬鹿げたことさ 小さな…

6

交換可能な世界の始まり

「見ているもの」と「見られているもの」との 交換可能な世界が 開いている その扉は  「見…

3

キュベレー

キューブの中は 息苦しいだろう ずっと 水底に 沈んでいるようなものだから 君が 疲れ果…

2

ノックするドア

ドアノブに おそるおそる 手をかけた君 鍵は、君の腕の中を 伝って降りてくる まわしてご…

3

変化の目撃者

ほら、見ていてごらん 風が 変わるよ 神々しいほどに 潔く 舞い散る 言の葉の 踊り子たち…

2

自由な女神

女神は 不自由だった  自由は、つかみ取るものではなく 追い求めるものでもない 常に リリースし続けるところに 現れる状態だと 知っているから どこにも つかまらない だれにも 掴ませない 風となった女神は やっと 不自由を 解放した

水道橋

これまで 渡ることばかり 考えていた 「橋」だったが この橋は、誰も渡らない 水を渡すため…

5

かげ

「月影」を「月の光」 「人影」を「人の姿」と訳すのは あまりに乱暴ではないか? 同じ「かげ…

4

遠野に吹く風

かくり世の 道なき道を 儚きものら 闊歩する  唄はば さざ波 うつし世に 風の吹く日は

4

鬼の子孫

額に 二つの瘤を持つ 仔猫がいる この瘤は、角を折られた跡なのだ 立派な角が 生えるはず…

7

ガラス玉

玻璃の珠が 世界を映す あなたという花を 中心にして 全方位に 開かれた 裏返った宇宙

3

イルカ

イルカは、かつて 水中を出て  地上の奥深く、森にまで進出した種族 なのに何故、再び海に…

4

森へのいざない

木が まとう光は たとえ 目隠しされたとしても あなたの皮膚が 感じ取る あなたの肌が見る その光は あなたを森へと いざなうのだ