わたしの大好きな小説について。

わたしはここ2年とある小説にハマっている。[小説家になろう]というサイトに掲載されている小説だ。
桜瀬彩香先生の書く薬の魔物の解雇理由(https://ncode.syosetu.com/n2357dn/)という、薬の魔物シリーズ作品のひとつである。シリーズというのは続編があり今も更新されており、またその世界観の中で本編に関わらない違う話がある。

まず先にわたしは小説が苦手だ。
漫画は好きでも文字だけの小説は苦手だった。
しかしこの薬の魔物の解雇理由、全980話。文字数は8,115,547文字である。また、続編の薬の魔物の継続理由の現時点での文字数は328話3,278,795文字である。
合わせて11,395,342文字だ。

文庫本12万文字を仮定しても94冊である。
意味がわからない。
わたしは小説が苦手なのだ。
しかしわたしはこの物語が書籍化されたら買い続けるだろう。それくらい魅力的な小説なのだ。マジで。

この小説はカテゴリとしては異世界恋愛に入る。
しかし恋愛要素はほぼない。いや、主軸ではあるので恋愛ではあるのだが、恋愛要素はほぼない。何を言ってるのかわからないがわたしもよくわからない。ただ、恋愛とは得てして繊細なものであり劇的なものではなくじわじわと進んでいくものだと思えばカテゴリ恋愛は理解出来る。本当に恋愛モノだろうか。

この物語について沢山の人に知っていただきたく、あとは作者様にお礼が言いたくてわたしはnoteに登録した。というわけで、今回はこの物語について語りたい。そしてあわよくばこれを読んでくれる人にもこの物語の面白さを知ってもらい、書籍化して欲しいという狙いのもと宣伝させていただきたい。

なお、書籍化は長さ的に無理である。

ファンタジー世界は好きだろうか。
竜が空を飛び妖精が踊り魔物が誘惑してきて精霊が存在する。この物語は全てが隣人として存在する。隣人と書いて変換でカタカナが出た。リンジンおのれ許さない。閑話休題。女主人公、ネアハーレイが呼び落とされた世界はそんな世界だ。元の世界と変わらない文明を持ち、隣に良いのか良くないのかわからない隣人たちがいる世界。パンの魔物などが路地裏にいたりしてたまに馬車に踏まれてへしゃげていたり、梟がカサカサ丸めた包装紙のようだったりする。
そんな世界で自称まともなネアハーレイがカテゴリ恋愛の中、戦ったり狩ったり誘拐されたり暴れたり美味しいものを食べたり、とある事件から他人に心を開かずに生きてきたネアハーレイが生き生きと自分を取り戻していく。そんな物語である。
ちなみに魔術があるこの世界でネアハーレイの叩き出した数値は4である。30ないと生きていけない。具体的に言うと洗濯もできない。それでもネアハーレイはこの世界で息を吹き返すように隣人たちの関わりによって生き返っていき、周りを巻き込んで皆の心の在り方を変えていく。

まずは150話まで読んで欲しい。
普通のなろう小説なら意味がわからない話数だと思う。だがこの物語は980話あり、世界の中では約2年と少しのお話だ。150話まではたった1〜2ヶ月なのだ。この世界の良さは日々にあるのだ。その世界での祝祭や奇祭、日々を丁寧に生きていく。空が晴れているにどれだけの情報が詰められているのか、我々がそこに存在するように匂いや色を教えてくれる。だからこそ文字数が多く、我々は彼女たちの周りにいるのだ(幻覚)。
150話までと言うのは、クリスマス…薬の魔物の世界でいうイブメリアあたりまでだ。そこでようやく主要キャラが揃う。そこからはもう桜瀬先生の描くくすまもの世界にゆっくりと落ちていくだけだ。

活字が好きな人なら150話は簡単だろう。沢山文字があって情景描写が細かく、ネアハーレイの見る世界は毎日驚きと彩りに溢れている。1話から読んでいて世界観がわからないのは当たり前なのだ。主人公ネアハーレイはその世界の理を知らない。だからこそ彼女が理解できないことは我々も理解できない。しかし読み進めていくにつれ世界の理が少しずつ理解でき、読むのが楽しくなっていくのだ。

980話までにさまざまな伏線や仕掛けがあり、それらが読み進めるたびに被弾し悶絶しながら、ネアハーレイを含む他のいろんな人物の人生も描かれていく。
いわゆる逆ハーに近いこの物語だが、逆ハーではない。ネアハーレイは浮気者ではないし情緒は消え去っているが彼女に集まるものたちが求めるものはそれぞれ違うだけである。死なずにこの世界の理を知り手に入れるまでがこの物語のストーリーである。

そしてこれを読んで興味を持ってくれたあなたが980を読み終え、完結記念の『選択の魔物の失踪理由』を経て『ジョーンズワースの魔術師と雪白の歌姫』まできたら、きっとあなたは1/980に戻るだろうと思う。

実際勧めてハマってくれた人の8割はそうなった。

そしてハマれそうにないなという方には是非最初に
『ジョーンズワースの魔術師と雪白の歌姫』を読んでいただきたいと思う(https://ncode.syosetu.com/n6535ff/)。この物語は時間軸的には続編である継続理由と同時進行での執筆作品なので、順番としてはどう読むかは人の自由だ。
十二国記での『魔性の子』が最初に読むか読まないかの違いくらいなのでどう読んでもいいのである。人によっては戦争になるやつだ。
『ジョーンズワースの魔術師と雪白の歌姫』はいわゆるエピソード0であり、薬の魔物の解雇理由の時間より少し前のお話である。長いの読むの面倒だなぁ〜と思ったあなたはこっちを読んでみるといいかもしれない。
そこには、これまでの世界の理とは全く違う別の世界の扉が開くまでの女の子と男の子の小さな小さな命を賭けた冒険のお話が待っている。
泣く。尊い。サラちゃんの契約者が尊い。尊死。
閑話休題、この物語とくすまもは重さが違うので注意である。あんな軽いギャグと真面目と展開の愉快さある???ない。くすまもすごい。そしてジョーンズワースせつない。つらいすき。

という訳で、初めてくすまもを読んで欲しいと思って良いところをあげようと思ったら語彙力がどんどんなくなっていく現象に見舞われたのでおしまい。


読まないとほら、今あなたの後ろ、終焉の魔物が。

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