詰将棋との付き合い方(1)

最近、ゆるーく詰将棋を解いています。
毎日7手詰を10問と+α。あとはタイムトライアル形式で。

詰将棋との付き合い方については人それぞれですが、
詰将棋が好きな人、キライな人、強くなりたくて頑張っている人、いろいろいると思います。将棋のトレーニング方法は「棋書、詰将棋、棋譜並べ、実戦」と昔から言われていますし、だから「やらなきゃ!」と思っている人が多いように思います。
やるなら楽しくやれたほうがいいですね。

■私の昔話

(ここは読み飛ばしていただいても構いません)
私の場合、将棋を始めたのがいまから24年前。ネット対局もなく、本を読むかリアル対局かNHK将棋の時間しかなかった時代。初心者には棋書は大抵意味不明(専門用語がわからない)で、NHK杯は眠くなってしまい、周りには強すぎる相手しか居ない状況。なのでできることは詰将棋くらいしかなかった。というわけで、週刊将棋や近代将棋(昔あった将棋新聞と雑誌)、将棋世界の短い詰将棋を解いていました。読めるところがそれくらいしかなく、あとは観戦記などを読み物として、棋譜は追わずに流し読みするくらい。

雑誌の付録にはお世話になりました。次の一手や、5手詰などが多かったですね。なかでも近代将棋の付録はそれらがバランスよく配合されていて、やさしい語り口のヒントが書いてあり初心者でも取り組みやすい内容でした。今はそういった本がないのが惜しまれます。

読めるものが少なかったため、読める部分を繰り返し解いてました。なので、棋書、詰将棋、棋譜並べ、実戦の4つのうちでは詰将棋が一番好きでした。
というか他ができない。好きも嫌いも言いようがなかったです。
そんなわけで5級くらいのときから詰将棋サロンを考えてました。当時は高校生で通学や授業中という考え事をしやすい時間がたくさんありましたし。なお、サロンは1問に一週間くらいかかりました…。

昔話が長くなりました。


ここからが本題。

■今の級位者の方へ


現在は1手詰、3手詰の良書がたくさん出ているので、初級者の人も入りやすくなりました。ただ、ありすぎるために、あれこれやってしまいがちです。

まず、自分のレベルを把握し、どのように詰将棋に取り組むか考える。

「詰将棋はしますか?」「何手詰をといてますか?」と聞くと、初級者の方でも3手詰、5手詰と答えられるかたがいて、でも1問解くのに結構時間をかけて苦戦していることが多いです。1問解くのに5分とか10分とかかかっていてなかなか解けなくてツライと思っているようだったらやり方をかえたほうがいい。(長く考えるのが好きな方はそれで良い)

強くなるためのトレーニングとして詰将棋に取り組むのであれ短時間で数多く解けるようにしたほうが良いです。
解くというより「詰む形を頭に入れる」のが大事。

短手数の詰将棋の本は一回読んだら終わりではなくて、繰り返して解く
一度やったことがあるからといって、何分も考えた問題は身についてはいません。
詰将棋は詰むことがわかっている局面なのですが、それ自体を「詰み形」と記憶し、実戦でそれが出てきたときに見覚えのある形と認識して瞬時に詰み筋が閃くようにしたい。

※「短手数」が具体的に何手か、というのは棋力によります。高段者にとっては1桁は単手数ですが、5級の方には1手3手くらいまで。

たとえ話として、計算の話をします。
足し算をするとき。1+1は2、2+3は5…など、ある程度の年齢になれば使い慣れて記憶しています。とくに数えたりしないでしょう。
でも頭に入っていない小さい子は、右手で2本、左手で3本と、指を立ててから1.2.3.4.5と数えたりします。
詰将棋で時間がかかっている人はこの状態だと思ってください。
頭金の問題はたくさん出でくるので覚えている人が多いでしょう。これは○+1」のようなもので、すでに記憶しおわった条件です。なにかの数に「+1」(頭金のこと)をしたら答え(詰む)と「知っている」のです。

知っている問題は、見た段階で答えの図が浮かぶようになります。それが「詰み形を記憶する」ことです。結局は駒の配置と組み合わせ。1手詰は足し算。基本的な3手詰は九九くらいのかんじ。駒数の少ない3手詰をうんうん考えている人は九九を足し算としてとらえて「7+7+7+7は…」と考えている状態です。そしてその状態にも段階があって、7+7が14で…と基本形を塊で記憶していれば、「14+7、もういっかい+7」に置き換えて考えるなど、応用がききます。でも7+7が14の部分すら覚えていな場合は、省略がきかない(覚えてないので、閃かない)、すべての応手に対して確認作業が必要になってしまいます。それは過剰に時間がかかります。

いかに早く読むか、そして読む部分を省略するか、というのは指し将棋において重要なスキルです。
本筋がひらめく=余計なことを考えなくて済む、ように詰将棋で習慣づけられるといいですね。

詰将棋は筋トレのようなもので、重すぎる負荷は苦痛なだけです。
ほどよくできる課題を、気持ち良い回数こなして上達していきましょう!

* * *
実践的なタイムトライアルについて書きたかったのについ長くなってしまいました…。これについてはまた明日。

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