5級を育てるプロジェクト(1)始まり

「5級になりました!」

一昨日の朝、LINEを開くと嬉しい連絡があった。
8/28から将棋のレッスンをはじめたYさんからだった。

教える側と教わる側とで相談し、「1か月でウォーズ5級」を目標に設定して、毎日取り組んできた。そしてスタートから20日目にして5級昇級を見事達成した。

先回りして断っておきたいのだけれど、「5級」まで1年かかる人もいるし、容易く数日で達成してしまう人もいる。そもそも向き不向きがあるし、かけられる時間にも個々に差があるし、他のゲームの素養があればスタート地点がだいぶ異なる。今回のケースはたった1つの事例に過ぎない。

でも、教える方と教わる方がどんな取り組みをしたのか、という成長記録を残しておくのは有意義なことかなと思い、これを書き始めた。

■そもそもなぜこのプロジェクトをはじめたのか

Twitterで7月にこんな話が出た。

そもそも、将棋の級や段の認定は非常に曖昧である。

強さの指標として「プロと2枚落ちを卒業したらアマ初段」と言われたりするけれど、プロの指し方(優しさ?)次第だし、駒落ちだけじゃなくて平手で指すための知識も必要だ。
そして、道場や将棋クラブなどのコミュニティごとに段・級を認定していて、○○道場の初段と▲▲クラブの初段は、極端にいえば二枚落ちレベルで棋力差があることだってあり得る。通常は級も段も上がる一方なので、仲間内で指していて新規参入が少ないコミュニティは段級がインフレする。

私はこのあたりの問題を解決するために、下の方の級位認定はテストで取れたら良いと思うし、初段以上は獲得のために対人対局だけではなくて一定の基準をクリアするための試験を設けたらいいんじゃないかと考えている。(詳しくないけれど、柔道や空手には試験があるらしい)

私のライフワークは「将棋のメソッドを作る」こと。段・級のレベルを定義することは非常に重要なことだ。重要だからこそ、なかなか設定することができずにいる。自分の運営する教室であっても。

以前、私の将棋歴(アマ5級まで) を書いた。
最初に7級の認定を受けてから、38日後に5級になったわけだけれど、当時はネットのない環境で、道場に通うしか級を上げる方法がなかった。さらに、家から道場までの距離があったので、それほどの回数いくことができず、認定後4回目にして5級になれた。

いまの時代、将棋ウォーズ(以下、ウォーズと書く)というスマホ対局アプリがあり、多くの人が登録していて、日本将棋連盟公認となっている。そして5級からは認定状の申請ができる。
つまり「ウォーズ5級」はひとつの指標になるのではないかと思う。

そして、将棋を全く知らないor駒の動きを覚えたくらいの初心者さんで、これから強くなりたい人にレッスンをした場合、どれくらいの期間で強くなれる(上達させられる)のか。
ウォーズ5級になるためにどれくらいの知識、経験が必要なのか。
何を教えたらいいのか。

…気持ちが重すぎて、前置きが長くなってしまったけれど、
そんなことを考えているときに目の前にちょうど良い人が現れた!!

社会人。将棋のルールは知っている。でも勉強したことはない。興味があって教わりたい。

いろいろ話してみて、本当に習いたそうだったので、言ってみた。
「私の実験に付き合っていただけますか?」と。
そうしたら「結果を出します!」との超前向きな回答。

そんな状況のもと、レッスンが始まった。

※つづく

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