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鬼門と鬼 吉田八幡神社

雨の降る金曜の夜、私は水戸にいました。
八重洲から水戸行きの高速バスに乗ってみたところ、前半かなり渋滞して電車にしておけばよかったかもなんて思っていました。(ところが帰りは電車にしてみたら線路で車が脱輪したとかで遅れるし、電車の行き先が2回変更になるしで変わらなかった)

とりあえず個室の一番安く泊まれるホテルにしたのですが、これが久しぶりに「ボロボロってこういう感じ?」っていう禁煙だけど、タバコ臭い部屋でした。
でもまあ一晩だしと寝たところ、夜中に目が覚めてなんかくすぐったいような感触があります。
何と、耳元で蚊が鳴いてる!えーーー!11月に?
すでに手足3か所刺されていて、まだまだ血を吸いたい様子。
これはたまらんとフロントに行って、最初は虫除けをお願いしたけど夏に同じ液体蚊取りで喉が痛くなったのを思い出して、結局部屋を変えてもらいました。
1つ上の階に行ったら、古さは同じですがそれでも使用頻度の差が感じられるツインの広々した部屋です。
シングルと違って浴衣でなくバスローブもあるし全然違う。

時は2時前 丑の刻。
ちなみに調べたら1つの刻は2時間で4つに分かれています。
丑三つ時ではなく丑二つくらいでした。
鬼門、つまり艮(丑寅)の神社に翌日行く(もう当日だけど)わけで、これを消極的に見れば、「なんで真夜中に蚊に刺されて移動とかしてるわけ?」だし、積極的に見れば「蚊の心配をせずに広い部屋で寝られるぞ!」となります。
目が冴えて寝そびれ、5時くらいにやっと寝て7時に起きました。

水戸駅から水郡線に乗り換えて常陸大宮駅で下車。
そこからローカルバスで50分ほど乗って、三浦杉前で降ります。
仙骨先生からのミッション。
予約したのは11月11日11時
「行きにくい場所にあって簡単には行けないんだ」ともらった名刺が、吉田八幡神社。元は八幡宮

少しは理解しておこうと事前に検索した記事によると、水戸のあたりは徳川光圀の八幡潰しの歴史があり、生き残れた八幡神社はごくわずかということです。
この一帯に現存する八幡神社として珍しい存在だけど、来る人は少ないでしょう。
もちろん行きにくいこともあるけど、もう1つ理由があります。拝殿への石段の踊り場に柵があって上まで行けないようになっているので、神社巡りが好きな方にもちょっと不完全燃焼なのです。

これより先立ち入りを禁ず

大杉の枝が落ちると危険なので立ち入り禁止というのが公式理由だけど、仙骨先生のつぶやきはそれ以外の理由も暗示していました。

元の名は鎌倉杉だったが三浦杉に変更された


拝殿でのご祈祷は氏子さんと紹介がある方のみ。
そこは私の崇敬する長田神社に近いところもあるけど、長田神社は宮司さんがたくさんの神社を管理されていて常駐されていないからなので、誰でも予約は出来るように神社前の看板に連絡先があります。
ここはさらに紹介者の条件が入ります。(なんだか紹介状をもらって行く病院みたい)
その紹介者こそ、仙骨先生なのでした。

行きにくいと言っても、先日ORで一緒の時間を過ごしたたみちゃんやひろえさんも行ったそうだし、他に何人も山川さん→仙骨先生→のラインで行っていると思われます。
私は何事か話題になってもたいてい周回遅れでのんびりしてるので、今頃行く訳ですが、私には私のミッションがあるのかもしれません。

バスを降りると少し戻りながら左の道に入り、少し歩くと右手に鳥居が見えて来ました。
社務所には宮司さんの奥様が待っておられて、気さくに話しかけてくださったので話が弾みました。不思議だったのはお話中に突然風もないのに、ぼたぼたぼたっ!とどんぐりが大量に落ちて来たことです。
熊も出るかもしれないけど猪が出たり、ハクビシンやリスやなんとムササビもいるってお聞きしました。(ムササビは「ホー、ホー」って鳴くらしい)
まあ山ですからね。
ご祈祷前にトイレをお借りしたら人懐こくてとっても可愛いお犬様がいました。

正直なところ、吉田八幡神社の名刺をいただいた時に行ってみようかとは思ったけど、最初は外から見てくるだけでいいだろうと思っていて、祈祷をお願いするとは考えていませんでした。
それは桜井識子さんの本で、神様は中と外で拝む人に差別をしないと知っているからです。お願い事を中だから叶える、外だから叶えないという区別はないのです。
ただし周りがうるさくて集中出来ないとか、ベストな状態で全力で祈りたいとか人間側の都合により祈祷するのはありです。神主さんが正式に拝むので神様が普段山の上にいたとしても確実に来てくださるから見える人や話せる人にはいいと思います。
お賽銭も無理して高く出してしまったと惜しむくらいなら、自分が違和感のない額の方がよいです。清らかで素直な気持ちの方が通じると思います。
それでも、今回は紹介をいただいたので事前に連絡くらいはした方がいいだろうと、標準的な5000円くらいと思って電話でご祈祷もお願いしたら、実際は15,000円で驚いてしまいました。
「うわー、やっぱやめときます(汗)」と言いそうになったのだけど、自分から電話したのでお願いすることにしました。多分知っていたら(余裕のある時に行こう)と思ったことでしょう。

でも実際にご祈祷を受けてみると、とても内容が詰まっていて、神社のご由緒に関連する九尾の狐とか文言が入る独特の祝詞もあり、他にもいくつもご祈祷が続き、それだけの価値はありました。最後には玉串奉納や自分のパフォーマンス時間をいただけたので、私はひふみ祝詞を歌いました。

終わってから、何か聞きたいことはありますか?と問われ、あれこれ質問してたくさんお話を聞く事が出来たのでたいへん満足しています。なぜかダライラマのお経CDまで聞かせていただいちゃったし。
詳しくは書きませんが、宮司さんはどうしてもこの神社を継ぎたくなくて長年土地を離れて暮らし、氏子のための断れない行事で年5回しか帰ってこなかったのに、運命的な出来事が次々に起こり、吉田八幡神社を再興する役目を受け入れることになったといいます。

そして、ここに来ることになったのは、私が仙腸関節のぎっくり腰の話を仙骨先生にした時に、先生が昨年宮司さんに協力して鬼門と裏鬼門のご神事を行った後に腰をやられたという話になったからでした。
宮司さんいわく「先生の声は平伏すほど凄いですよ。」
八王子では先生の大声を聞くことはないだろうし、私にはどんな声なのか謎のままでしょう。

扁額を入れてくださって下アングル

江戸から見て鬼門にあるこのエリアは鬼と深い関係があります。
拝殿内の準備が終わるまで外で待機していて、屋根に鬼の面があるなとわかっていましたが、気付くのは10人中2人ですよと伺いました。
境内には9つあった鬼のうち7つが現在残されており、直々に場所を教えていただいて記念に写真を撮りました。

歴史や地形や運命の綾を学んだ有意義な旅でした。


道の駅まで送っていただき、帰りのバスを待つ間、あまりに青森産にんにくが安かったので祈祷のお札と一緒に頑張って持ち帰った私でした。

こんなに入ってこの価格

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